ドル円見通し 米3月PPI発表から1円を超える急落、132円割れはひとまず回避(23/4/14)

高値133.38円から132.02円へ1円を大幅に超える急落となったが、132円割れはひとまず回避して14日未明には132.79円まで戻した。

ドル円見通し 米3月PPI発表から1円を超える急落、132円割れはひとまず回避(23/4/14)

ドル円見通し 米3月PPI発表から1円を超える急落、132円割れはひとまず回避

〇ドル円、4/13夜の米3月PPI上昇率鈍化により直前高値133.38から132.02へ1円超の急落
〇132円割れは回避し4/14未明には132.79まで戻す、その後132.50近辺で横ばい推移
〇昨日発表の米3月PPIは大幅低下、前日発表のPPIの鈍化と共にドル売り要因となる
〇4/13の米長期債利回りは総じて上昇、米株価も上昇
〇132.79以下での推移中は一段安余地ありとし、132.02割れからは131円台中盤への下落を想定する
〇132.79超えからは反騰継続とみて、4/13夜高値133.38試しとする

【概況】

ドル円は4月13日夜の米3月PPI上昇率が顕著に鈍化したことで直前高値133.38円から132.02円へ1円を大幅に超える急落となったが、132円割れはひとまず回避して14日未明には132.79円まで戻した。その後は132.50円近辺で横ばい推移となっている。
3月の米PPIは全体の前月比が0.5%低下となり横這いとみていた市場予想を大きく下回り2020年4月以降で最大の落ち込みとなったため、前夜のCPIの鈍化傾向と共にインフレ鎮静化と利上げの早期停止及び年後半に利下げへ向かう可能性が高まったと市場は受け止めた。

ドル円は4月5日夜安値130.63円から反騰入りし、4月12日昼高値で134.04円をつけて3月24日安値129.63円以降の高値を更新したが、4月12日夜の米3月CPI発表後に132.73円へ急落し、13日夜にかけては133円割れを買われつつ133円台前半での下げ渋り持ち合いで推移していたものの、米PPI発表から一段安となった。連夜の下落は4月3日夜から4日夜と5日夜へ3夜連続で下落したときに近い動きであり、今夜の米3月小売売上高やミシガン大消費者調査の内容次第では3夜連続の下落へ進む可能性もあると注意したい。

【米3月PPI、前月比は2020年4月以来の大幅低下】

米労働省による3月PPIは全体の前月比0.5%低下となり2月の0.0%(速報の0.1%低下から上方修正)を下回り市場予想の横這いに反して大幅に低下し、マイナス幅は2020年4月以来の大きさとなった。前年同月比は2.7%上昇となり2月の4.9%(速報の4.6%から上方修正)から大幅に鈍化して市場予想の3.0%を下回り2021年1月以来の低水準となった。
コア指数の前月比は0.1%低下となり2月の0.2%から鈍化して市場予想の0.3%を下回った。また前年同月比は3.4%で市場予想と一致したが2月の4.8%(速報の4.4%から上方修正)から大幅に鈍化した。

4月12日夜に発表された3月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.1%上昇で2月の0.4%から鈍化し、前年同月比は5.0%で2月の6.0%から低下し2021年5月以来の低水準だったが、PPIの鈍化によりインフレ鎮静化とFRBによる利上げ停止及び年後半に利下げされる可能性が高まったと市場は受け止めた。
4月13日に発表された新規失業保険申請件数は前週比1万1000件増の23万9000件となり市場予想の23万2000件を上回ったが、これも労働需給が緩み始めている可能性を示唆するものとしてPPIの鈍化と共にドル売り要因となった。

【株買い・債券売りで米長期債利回りは上昇】

4月13日の米長期債利回りは総じて上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.05%上昇の3.45%となったが、米PPIの鈍化を受けて3.37%までいったん低下したもののNYダウの大幅高により株買い・債券売りの裁定が働いたことで上昇に転じた。4月6日に3.25%まで低下したところからはやや持ち直し気味の推移だが3月2日の4.09%から大幅低下した水準にとどまっている。
30年債利回りは前日比0.06%上昇の3.69%となり、一時は3.61%まで低下したところから上昇に転じた。利上げに敏感な2年債利回りは前日比0.02%上昇と3.98%となったが、一時3.89%まで低下してから上昇した。

一方でNYダウは前日比383.19ドル高と上昇した。4月5日から11日まで4連騰したところから12日は38.29ドル安と下げたが、利上げ停止が速まったとの期待感が優勢となり景気敏感株が買われたようだ。ナスダック総合指数も236.93ポイント高と上昇したが、米長期債利回り上昇では売られやすいところを先行きの利下げ期待が優勢となって買われたようだ。
ドル円にとってはFRBの利上げ停止が速まったことでのドル売りで急落したものの、米長期債利回りが上昇したことで132円割れをひとまず回避したというところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は4月10日深夜高値133.86円と4月12日昼高値134.04円をダブルトップ型とし、4月12日夜の下落でダブルトップの中間にあった11日夜安値を割り込んでから下げ渋りの持ち合いに入っていたが、13日夜に持ち合い下放れから一段安となり、4月5日夜安値以降の上昇トレンドから転落している。14日未明への戻りも続かずに上値の重い印象のためまだ一段安余地ありとするが、13日夜安値を割り込む場合は14日夜から18日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では4月12日夜の反落で遅行スパンが悪化し、13日夜の下落で先行スパンからも転落した。その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを下回るうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とし、強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとする。

60分足の相対力指数は4月13日夜の下落で20ポイント台へ下げ、その後も50ポイント以下での推移が続いているのでもう一度20ポイント台を試す可能性のあるところとみる。50ポイント超えからは戻しに入るとみて60ポイント台前半への上昇を想定するが、その後の反落注意とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月13日夜安値132.02円を下値支持線、14日未明高値132.79円を上値抵抗線とする。
(2)132.79円以下での推移中は一段安余地ありとし、13日夜安値割れからは131円台中盤(131.70円から131.30円)への下落を想定する。131.50円以下は反騰注意とするが、132.50円以下での推移か直前安値から1円を超える反騰へ進めないうちは週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)132.79円超えからは反騰継続とみて13日夜高値133.38円試しとするが、133円台序盤では戻り売りにつかまりやすいとみる。

【当面の主な予定】

4/14(金)
休場 タイ、インド、ギリシャ
15:00 (独) 3月 卸売物価指数(WPI) 前月比 (2月 0.1%)
21:30 (米) 3月 小売売上高 前月比 (2月 -0.4%、予想 -0.4%)
21:30 (米) 3月 小売売上高・除自動車 前月比 (2月 -0.1%、予想 -0.3%)
21:30 (米) 3月 輸入物価指数 前月比 (2月 -0.1%、予想 -0.1%)
21:30 (米) 3月 輸出物価指数 前月比 (2月 0.2%、予想 -0.1%)
22:15 (米) 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 0.0%、予想 0.2%)
22:15 (米) 3月 設備稼働率 (2月 78.0%、予想 79.0%)
23:00 (米) 4月 ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値 (3月 62.0、予想 62.0)
23:00 (米) 2月 企業在庫 前月比 (1月 -0.1%、予想 0.3%)
25:00 (英) テンレイロ英中銀委員、講演
27:15 (独) ナーゲル独連銀総裁、講演


注:ポイント要約は編集部

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