ドル円見通し 日銀新総裁会見から円安が加速、4月3日高値超えた後は修正安気配(23/4/11)

米国市場時間に入ると全般ドル高の流れとなり深夜高値で133.86円をつけて4月3日高値133.74円を上抜いた。

ドル円見通し 日銀新総裁会見から円安が加速、4月3日高値超えた後は修正安気配(23/4/11)

ドル円見通し 日銀新総裁会見から円安が加速、4月3日高値超えた後は修正安気配

〇ドル円、日銀新総裁会見で金融政策現状維持姿勢が再確認され、深夜高値133.86をつける
〇4/3高値133.74を上抜いたが、4/11午前序盤は修正的な下げで133円台前半へ
〇昨日の植田日銀新総裁就任会見、当面は現状維持の姿勢表明
〇米長期債利回りは総じて上昇し雇用統計後の上昇継続、NYダウは3営業日続伸、ナスダックは小幅下落
〇4/10深夜高値133.86超えからは、134円台前半(134.00から134.50)への上昇を想定する
〇133円割れからは、132円台中盤(132.70から132.40)への下落を想定する

【概況】

ドル円は4月10日19時過ぎからの日銀植田新総裁就任会見で金融政策現状維持姿勢が再確認されたために夕刻の132円割れから反騰を継続し、米国市場時間に入ると全般ドル高の流れとなり深夜高値で133.86円をつけて4月3日高値133.74円を上抜いた。
3月24日安値129.63円以降の高値更新であり、3月8日高値からの下落一巡後のリバウンドが二段戻し型に発展してきたが、4月3日の上昇時に上値を抑えた26日移動平均を上抜いている。
先週末の米3月雇用統計では非農業部門就業者増加数が予想を下回ったものの20万人以上を維持して失業率が予想外に改善したことで、次回の米FOMCでは0.25%利上げとなる可能性が高まっていると市場は受け止めており、米長期債利回りが4月7日から10日へと小幅続伸し、ユーロやポンド、豪ドル等が下落したことでドル高感が強まっている印象だが、11日午前序盤はユーロやポンドが持ち直し、急伸したドル円も133円台前半へ修正的に下げている。

【植田日銀新総裁、当面は現状維持姿勢】

4月9日に就任した日銀の植田新総裁が4月10日に就任会見を行った。会見では黒田日銀体制が推進してきた金融緩和政策については「前体制からの大規模緩和を現状では継続する」とし、政府と日銀による2013年1月の共同声明については「直ちに見直す必要はない」とした。
植田総裁は物価の2%目標について「簡単な目標ではない」「できるだけ早く達成したい」と述べたが期限については「現時点で申し上げられない」と明言しなかった。
短期金利をマイナス0.1%とし長期金利を0%程度に誘導する長短金利操作=YCCについては「継続が適当」とし、「現状では金利を大幅に上げる状況ではない」としたが、「これまでの措置の効果、市場動向見極めていく必要がある」「強力な緩和は二十数年続いており、全体を総合的に評価する点検検証があってもよい」と将来の政策修正へ含みを残した。
植田総裁は4月12-13日のG20財務相・中銀総裁会議に出席、4月27-28日に就任後初となる日銀金融政策決定会合を持つ。

【米長期債利回りは米雇用統計後の上昇を継続】

4月10日の米長期債利回りは総じて上昇した。
指標の10年債利回りは先週末比0.02%上昇の3.42%で、短縮取引だった4月7日に米雇用統計発表を受けて0.09%上昇したところから小幅続伸した。一時3.36%まで低下してから上昇したため、10日夜のユーロやポンドの下落要因となった。次回FOMCで利上げが見送られる可能性もあるとして3月29日に3.61%をつけたところから4月5日まで6営業日続落し、6日に3.27%まで低下してきた流れが落ち着き、FOMCが0.25%利上げとする確率が上昇しているとして戻しに入っている印象だ。短期金利先物市場における0.25%利上げ確率は7割を超えてきているようだ。
30年債利回りは4月7日の0.06%上昇から10日は0.02%上昇の3.63%へと小幅続伸、利上げに敏感な2年債利回りは4月7日の0.15%上昇から10日は0.03%上昇の4.01%とした。

一方で休場明けのNYダウは前週比101.23ドル高となり4月5日から3営業日続伸、ナスダック総合指数は3.60ポイント安と小幅下落した。長期債利回りの上昇が株式市場には圧迫要因だが、あと1回の利上げで打ち止めとなり年後半には利下げ再開の可能性もあるのではないかとの楽観がやや優勢な印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は4月10日深夜高値133.86円で4月3日高値133.74円を上抜いたが134円には届かずに11日午前は133円台前半へ下落している。4月5日深夜安値130.63円からの反騰を継続して勢い付いたところだったが、4月12日には米3月CPIの発表を控えているため、目先は連騰に対する修正安も入りやすいところと思われる。
4月10日深夜高値を上抜く場合は、10日夕刻安値を起点とした上昇期と仮定し、4月12日の米CPIを強気で通過すればみて13日から17日にかけての間への上昇を想定するが、高値更新へ進めないうちは連騰後の修正安を警戒し、133円割れからは下落期入りとみて11日の日中から12日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では4月6日深夜への上昇で遅行スパンが好転し、7日夜の米雇用統計後に一段高して先行スパンも上抜いた。その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、連騰後の修正安にも注意がいるところとし、9本転換線を割り込んだ状況では下向きとし、遅行スパン悪化からは先行スパンの上下限を試す下落を想定する。ただし、先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とする。

60分足の相対力指数は4月10日深夜への上昇で70ポイント台後半へ上昇してから60ポイント台へ失速している。70ポイント超えからは上昇再開とするが、60ポイント割れからは下向きとして40ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、133.00円を下値支持線、4月10日深夜高値133.86円を上値抵抗線とする。
(2)133.25円から133.00円にかけての水準は押し目買いも入りやすいところとし、4月10日深夜高値超えからは134円台前半(134.00円から134.50円)への上昇を想定する。134.35円以上は反落注意とするが、12日早朝に133.50円以上での推移なら12日の日中も高値試しを続けやすいとみる。
(3)133円割れからは132円台中盤(132.70円から132.40円)への下落を想定する。132.50円以下は反騰注意とするが、133円を下回っての推移なら12日午前も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

4/11(火)
10:30 (中) 3月 消費者物価指数(CPI) 前年同月比 (2月 1.0%、予想 1.0%)
10:30 (中) 3月 生産者物価指数(PPI) 前年同月比 (2月 -1.4%、予想 -2.5%)
10:30 (豪) 3月 NAB企業景況感指数 (2月 17)
18:00 (欧) 2月 小売売上高 前月比 (1月 0.3%、予想 -0.8%)
18:00 (欧) 2月 小売売上高 前年同月比 (2月 -2.3%、予想 -3.5%)
26:00 (米) 財務省3年債入札
26:30 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、講演

4/12(水)
G20財務相・中央銀行総裁会議(4/13迄)
07:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
08:30 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、イベント参加
08:50 (日) 3月 国内企業物価指数 前月比 (2月 -0.4%、予想 0.0%)
08:50 (日) 3月 国内企業物価指数 前年同月比 (2月 8.2%、予想 7.1%)
08:50 (日) 2月 機械受注 前月比 (1月 9.5%、予想 -6.7%)
08:50 (日) 2月 機械受注 前年同月比 (1月 4.5%、予想 4.5%)
13:45 (豪) ブロック豪中銀副総裁、討論会参加
21:30 (米) 3月 消費者物価指数(CPI) 前月比 (2月 0.4%、予想 0.2%)
21:30 (米) 3月 消費者物価指数(CPI) 前年同月比 (2月 6.0%、予想 5.1%)
21:30 (米) 3月 CPIコア指数 前月比 (2月 0.5%、予想 0.4%)
21:30 (米) 3月 CPIコア指数 前年同月比 (2月 5.5%、予想 5.6%)

21:30 (欧) デギンドスECB副総裁、講演
22:00 (米) バ ーキン・リッチモンド連銀総裁、投資関連会議で挨拶
22:00 (英) ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
23:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 4.50%、予想 4.50%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省10年債入札
27:00 (米) 3月 月次財政収支 (2月 -2624億ドル)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨



注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る