ドル円、植田日銀総裁によるYCC継続発言で約1ヵ月ぶり高値圏へ急上昇
〇ドル円、日銀正副新総裁のハト派発言、米金利上昇に伴うドル買い圧力等に133.87まで急伸
〇ユーロドル、欧州休場で流動性に欠ける中、米金利上昇等に米国時間に一時1.0831まで急落
〇ドル円、雇用統計の良好な結果と、植田日銀体制の緩和姿勢継続がドル円のショート巻き戻しを誘発
〇雇用統計の結果のみで米経済の先行き懸念払拭と考えるのは時期尚早か
〇ドル円相場の反落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:132.75ー134.25
海外時間のレビュー
10日(月)のドル円相場は急上昇。アジア時間朝方に、安値131.84まで下落するも、一巡後に下げ渋ると、(1)本邦輸入企業の実需のドル買い(5・10日要因)や、(2)日経平均株価の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)、(3)氷見野日銀副総裁による「金融緩和が経済の好循環につながることを目指す」とのハト派的な発言、(4)内田日銀副総裁による「いかに工夫をこらして金融緩和を継続するかが課題」とのハト派的な発言、(5)植田日銀総裁による「政府との共同声明を直ちに見直すことはないと一致」「現行のイールドカーブコントロールを継続することが適当である」「日本では金利を大幅に上げる状況ではない」とのハト派的な発言、
(6)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(7)短期筋の大規模ショートカバーが支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値133.87まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4/11午前5時00分時点)では、133.60前後で推移しております。尚、昨日発表されたニューヨーク連銀による最新調査によると、1年後のインフレ期待は前回の4.2%から4.7%へ上昇、3年後のインフレ期待は前回の2.7%から2.8%へ上昇、5年後のインフレ期待は前回の2.6%から2.5%へ低下しました。
10日(月)のユーロドル相場は急反落。欧州時間朝方にかけて、高値1.0917まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)米金利上昇に伴うドル買い圧力(前週末金曜日に発表された米雇用統計後のドル買いの流れの継続)や、(2)イースターマンデーに伴う流動性の欠如(ユーロ圏の多くの国が休場)、(3)上記2を背景とした下方向のストップハンティング(流動性に乏しい中、ダウンサイドに並ぶストップオーダーをつけにいく展開)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0831まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4/11午前5時00分時点)では、1.0860前後で推移しております。尚、昨日はスペイン中銀デコス総裁より「ユーロ圏のコアインフレ率は依然として高い」との発言が見られましたが、市場の反応は限定的となりました。
本日の見通し
ドル円は4/5に記録した安値130.63をボトムに反発に転じると、昨日は一時133.87まで急伸しました。前週末金曜日に発表された米3月雇用統計が予想比良好な結果となったことや、週明けの植田日銀総裁発言で金融緩和の継続姿勢が改めて表明されたことが、ドル円ショートの巻き戻しを誘発した格好となっております。但し、アップサイドに強力なレジスタンスとして意識されている一目均衡表雲上限(134.07)が待ち構えていることや、週央に今週のメインイベントである米3月消費者物価指数を控えていること等を踏まえると、ここからの更なる上昇は容易では無いと考えられます(一巡後の反落リスクに要警戒)。また、前週末金曜日に発表された米3月雇用統計は辛うじて良好な結果を示したものの、直近で発表された「それ以外の米経済指標」は軒並み悪化を示しているため、米雇用統計の結果だけを以って米経済は大丈夫と判断するのは時期尚早と考えられます。
事実、米シティグループが算出するサプライズ・インデックスは低下傾向を辿るなど、金融引き締めに伴う副作用(実質金利上昇に伴う米経済のオーバーキル)が顕在化しつつある状況です。この為、今週発表される一連の米経済指標(米3月消費者物価指数、米3月生産者物価指数、米3月小売売上高、米3月鉱工業生産、米4月ミシガン大消費者信頼感指数)が市場予想を下回る場合には、一転してドル売り・円買い(米利下げ観測再燃→米金利急低下→ドル円急反落)に繋がる恐れがありそうです。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米3月NFIB中小企業楽観指数、米レッドブック週間小売売上高、米3年債入札、シカゴ連銀グールズビー総裁講演などが予定されております。
本日の予想レンジ:132.75ー134.25
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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