トルコリラ円見通し 日銀新総裁会見からの円安で4月3日高値に迫るも一歩届かず(23/4/11)

トルコリラ円の4月10日は概ね6.95円から6.84円の取引レンジ、11日早朝の終値は6.93円で先週末終値の6.85円からは0.08円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 日銀新総裁会見からの円安で4月3日高値に迫るも一歩届かず(23/4/11)

トルコリラ円見通し 日銀新総裁会見からの円安で4月3日高値に迫るも一歩届かず

〇トルコリラ円、ドル円の上昇に合わせて4/10深夜高値6.95へ上昇したが、4/3高値6.96に一歩届かず
〇4/11午前序盤はドル円の修正安につれて、トルコリラ円も6.92割れへ失速
〇対ドル、4/10は概ね19.29から19.23の取引レンジ、終値は19.27で終値ベースでの史上最安値更新
〇2月失業率は大地震の影響もあり0.2%悪化、経常赤字は過去最大だった前月からやや減少するも高水準
〇6.92以上での推移中は一段高余地ありとし、6.95超えからは6.97前後への上昇を想定する
〇6.90割れからは下げ再開とみて、6.87前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の4月10日は概ね6.95円から6.84円の取引レンジ、11日早朝の終値は6.93円で先週末終値の6.85円からは0.08円の円安リラ高だった。
トルコリラ円はドル円を追いかける展開が続いているが、4月10日夜の植田日銀新総裁就任会見において黒田前総裁体制での大規模金融緩和政策を当面は継続するとの姿勢を改めて強調したため、会見を見ながらドル円は夕刻安値で132円を割り込んだところから反騰入りし、米国市場時間に入ってユーロやポンドが急落するなどドル高感が強まる中で10日深夜高値133.86円へ大幅続伸となり4月3日高値133.74円を超えて3月24日安値129.63円以降の高値を更新した。

トルコリラ円は夕刻からのドル円の上昇に合わせて6.85円まで下げたところから深夜高値6.95円へ大幅上昇したが、ドル高リラ安を気にして4月3日高値6.96円に一歩届かなかった。
4月11日午前序盤はドル円が前夜の急騰に対する修正安で133円台序盤へ下落したためにトルコリラ円も6.92円割れへ失速した。トルコリラ円の日足は4月5日から10日まで4連騰となったが、4月12日の米CPI発表も近づいており、ドル円と共に連騰一服での値固めで押し目形成とできるか試されるところだ。

【対ドルでは終値ベースで最安値更新】

ドル/トルコリラの4月10日は概ね19.29リラから19.23リラの取引レンジ、11日早朝の終値は19.27リラで先週末終値の19.23リラからは0.04リラのドル高リラ安だった。
4月7日の米3月雇用統計で非農業部門就業者数が予想を下回り2か月連続で増加数が減少したものの2.6万人増で20万人以上を維持し、失業率が予想外に3.5%低下したことや平均時給の伸びが前年比で2月の4.6%から4.2%へ鈍化したものの前月比では2月の0.2%から0.3%へ加速したため、次回FOMCでは0.25%の追加利上げとなる可能性が高まったとして為替市場ではドル高反応が見られたが、7日は聖金曜日だったことで市場の反応も鈍かった。しかし4月10日はオセアニアと欧州が連休で動意の薄い展開が続いていたものの米国市場時間からはドル高反応が濃くなりユーロやポンドなどが下落してドル高感が強まった。

トルコリラは他市場動向にさほど左右されず、夕刻のトルコ経常収支に対する反応も鈍かったが、中長期的なリラ安が徐々に勢い付いてきた流れを継続し、4月7日につけた取引時間中の史上最安値19.45リラの更新には至らなかったものの、終値を19.27リラとして4月6日終値19.25リラを超えて終値ベースでの史上最安値を更新した。

【トルコの2月失業率は0.2%悪化、経常赤字は過去最大だった1月からやや減少】

トルコ統計局が発表した2月のトルコ失業率は10.0%となり1月の9.8%から悪化した。2020年7月に14.2%まで悪化したところから改善傾向を続けて2022年8月には9.7%まで低下して2018年1月の9.8%を割り込んだが、その後は再び悪化傾向に陥り2022年12月に10.3%となり、2023年1月には9.8%まで再び改善していたのだが、2月6日の大地震の影響もあり10%へと悪化したようだ。
若年層(15歳から24歳)の失業率は19.2%で1月の19.9%からは低下したが男性で15.4%、女性で26.2%と高水準にとどまっている。
地震の復興需要で失業率が改善する可能性もあるが、被害を引きずって不況感が強まるようだと悪化傾向をたどる可能性もあるところだ。

トルコリラ円見通し 日銀新総裁会見からの円安で4月3日高値に迫るも一歩届かず

トルコ中銀による2月の経常収支では、経常赤字が87.83億ドルとなり1月の過去最大赤字となった100.2億ドルからは減少したものの高水準にとどまった。2021年11月から経常赤字が続いており、2022年は10月に8.56億ドルへ一時的に減少したもののそれ以外は20億ドルから60億ドル台までのレンジで推移していたが、2023年1月からは従来のレンジを大きく超える巨額な赤字規模に陥っている。
エルドアン政権による金融経済政策が好走できずにリラ安と世界規模のインフレにより輸入が輸出を大幅に上回ることで貿易赤字が一段と拡大したことが経常赤字の膨張に直結している。
3月はドル高リラ安が勢いを増していることで貿易赤字と経常赤字の高水準での継続が懸念される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月31日夕と4月3日午後の両高値をダブルトップとした下落が一巡し、4月5日夜安値で直近のサイクルボトムをつけて反騰入りしたとして、4月7日午前時点では7日夜から週明け序盤にかけての一段高余地ありとした。
4月10日午前時点では6.83円を上回るうちは10日の日中から11日午前にかけての間への上昇余地ありとしたが、ドル円の急伸により10日深夜へ一段高してからやや失速しているもののまだ上昇余地が残る。4月10日夕刻へ反落してからの一段高のため、10日夕安値を起点として新たな強気サイクル入りしている可能性も検討される。
ただし、6.90円割れからは弱気サイクル入りとして11日の日中から12日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では4月7日未明への上昇で遅行スパンが好転し、7日夜には先行スパンも上抜いたが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、26本基準線割れからは弱気転換注意とし、遅行スパン悪化からは先行スパンの上下限を試す下落を想定する。ただし、先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とする。

60分足の相対力指数は4月10日深夜に70ポイントへ到達してから60ポイント割れへ低下しているので連騰一巡による反落期に入っている可能性が警戒されるところとし、65ポイント超えからは上昇再開とするが、50ポイント割れからは30ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6.90円を下値支持線、6.95円を上値抵抗線とする。
(2)6.92円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは一段高余地ありとし、6.95円超えからは6.97円前後への上昇を想定する。6.97円以上は反落注意とするが、6.92円以上での推移なら12日午前も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)6.90円割れからは下げ再開とみて6.87円前後への下落を想定する。6.87円以下は反騰注意とするが、下げ足が速まる場合は6.85円前後へ下値目途を引き下げる。また6.90円以下での推移なら12日の日中にかけても安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月11日
 16:00 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 1.9%)
 16:00 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 4.5%、予想 -0.4%)
4月12日
 16:00 2月 小売売上高 前月比 (1月 5.4%)
 16:00 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 33.9%)
4月13日
 20:30 週次 外貨準備高 4月7日時点 グロス(3月31日時点 702.5)
 20:30 週次 外貨準備高 4月7日時点 ネット(3月31日時点 184.7)
4月17日
 17:00 3月 財政収支 (2月 -1705.6億リラ)


注:ポイント要約は編集部

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