ドル円、世界的な金融システム不安を背景に乱高下。ダウンサイドリスクに引き続き警戒(3/21朝)

週明け20日(月)のドル円相場は乱高下。

ドル円、世界的な金融システム不安を背景に乱高下。ダウンサイドリスクに引き続き警戒(3/21朝)

ドル円、世界的な金融システム不安を背景に乱高下。ダウンサイドリスクに引き続き警戒

〇ドル円、アジア時間に132.65まで上昇後、欧州勢参入後130.55まで急落
〇クレディ・スイス買収によるUBS共倒れ懸念、AT1債無価値化のサプライズからのリスク回避再開が重石
〇売り一巡後は自律反発の動きや株価の持ち直し、米長期金利下げ幅縮小に131円台前半に反発
〇ユーロドル、欧米株の持ち直し、独指標の好調に米国時間朝方にかけて、高値1.0731まで上昇
〇ドル円、主要サポートポイント下抜けテクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズも世界的金融不安、米金融引き締め休止観測等がドル円下落材料
〇引き続き、ドル円相場の反落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:130.00ー132.50

海外時間のレビュー

週明け20日(月)のドル円相場は乱高下。(1)UBSグループによるクレディ・スイス買収合意決定報道や、(2)主要6中銀(FRB・ECB・BOJ・BOC・BOE・SNB)によるドル資金供給に関する支援策発表、(3)上記1、2を背景としたリスク回避ムード後退(金融システム不安を巡る過度な警戒感の後退)、(4)5・10日要因に絡む本邦輸入企業の実需のドル買いが支援材料となり、アジア時間朝方にかけて、高値132.65まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)クレディ・スイス買収に伴うUBSグループの共倒れリスクの高まりや、(6)クレディ・スイス発行劣後債「AT1債」の160億スイスフラン分が無価値になるとのサプライズ発表、(7)上記5、6を背景としたリスク回避ムード再開(欧米株急落→リスク回避の円買い再開)、

(8)米銀行業界によるFRBに対する利上げ休止を求める声の増加、(9)上記8を背景とした米長期金利の急低下(米2年債利回りは一時3.65%へ急低下、米10年債利回りも一時3.29%へ急低下)が重石となり、欧州勢参入後に、安値130.55(2/10以来の安値圏)まで急落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(10)急ピッチな下落に対する自律反発や、(11)株式市場の持ち直し(リスク回避ムード後退)、(12)米長期金利の低下幅縮小が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間3/21午前6時00分時点)では、131.35前後まで持ち直す動きとなっております。

週明け20日(月)のユーロドル相場は底堅い動き。(1)UBSグループによるクレディ・スイス買収合意決定報道や、(2)主要6中銀によるドル資金供給に関する支援策発表、(3)上記1、2を背景としたリスク回避ムード後退が支援材料となり、アジア時間朝方に、一時1.0707まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)欧米株の急反落(UBSグループの共倒れリスクや、AT1債の無価値決定など)や、(5)リスク回避のユーロ売り圧力が重石となり、欧州勢参入後に、安値1.0632まで反落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(6)欧米株の持ち直し(リスク回避ムード後退)や、(7)ドイツ2月生産者物価指数(結果+15.8%、予想+14.5%、※前年比)の市場予想を上回る結果、(8)ラトビア中銀カザークス総裁による「基本シナリオが継続するなら利上げは完了していない」とのタカ派的な発言、(9)ラガルドECB総裁による「ユーロ圏の銀行部門は底堅く、十分な資本および流動性を有している」「物価と金融の安定を維持するため必要に応じて対応する用意がある」との発言が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0731まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間3/21午前6時00分時点)では、1.0724前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は3/8に記録した直近高値137.90をトップに反落に転じると、昨日は一時130.55まで急落しました。この間、主要サポートポイント(一目均衡表転換線や基準線、雲上限、90日移動平均線や21日移動平均線)を軒並み下抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。昨日は一目均衡表雲下限をバックに下げ渋る動きとなりましたが、同水準の下方ブレイクは時間の問題と考えられます。向こう数日以内には、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」の点灯も見込まれることから、一巡後の反落リスクが警戒されます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)世界的な金融システム不安の高まり(市場は米地銀→クレディ・スイスに続く、次の破綻予備軍を探す動き)や、(2)上記1を背景とした金融市場の不安定化(UBSグループによる買収合意や主要6中銀によるドル資金供給が決定されたにも係わらず市場の警戒感は払拭されず→UBSの共倒れリスクも指摘されるなど問題の根深さを示唆)、(3)米FRBによる金融引き締め休止観測(金融業界からは米FRBに対して利上げ見送りを求める声が急増→今週開催される米FOMCでの25bp利上げ織り込み度合は73.1%、据え置きの織り込み度合は26.9%)、(4)上記3を背景とした日米金利差縮小観測(円キャリートレードの巻き戻しリスク)など、ドル円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日も投資家のリスク許容度低下の影響で流動性の欠如が見込まれることから、ボラタイルな相場展開(想像以上の値幅を伴う動き)に注意が必要でしょう。

本日の予想レンジ:130.00ー132.50

注:ポイント要約は編集部

ドル円、世界的な金融システム不安を背景に乱高下。ダウンサイドリスクに引き続き警戒

ドル円日足

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