ドル円、東京休場でレンジ取引、連日安値更新の中ドル続落に要注意
〇ドル円、東京休場で新規材料難の中、日中は131.05-70レンジでの取引
〇岸田総理のウクライナ訪問伝えられるも反応は限定的
〇ドル円昨日130円台を一時つけテクニカルポイントを次々に突破。ドルの下値リスク拡大
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは130.80-132.40
〇ドル高方向は131.80レベルが弱い抵抗、超えると一目均衡表の雲の上限が意識されそう
〇ドル安方向は、本日アジア安値の131.05レベルをめぐる攻防、昨日安値130.55に注目
<< アジア市場の動き >>
21日の東京市場はレンジ取引。東京休場のなか、131円台前半を中心とした一進一退に終始している。
ドル/円は131.30円レベルで寄り付いたものの、東京休場に加え新規材料も乏しく、それほど大きな値動きは観測されず。売買はおおむね手控えムードだった。金融システム不安への懸念が引き続きくすぶるなか、131.05-70円といったレンジ取引。16時現在ではドル高値圏の131.65-70円で推移し、欧米市場を迎えている。
なお、途中で「岸田首相がウクライナ訪問、21日中にゼレンスキー大統領と会談も」などと伝えられたが、反応は限られた。
一方、材料的に注視されていたものは「欧米銀の経営危機」と「中露情勢」について。
前者は、「UBSによるクレディ・スイス(CS)買収」が発表され、最悪の危機は脱したと見られたが週明け20日の欧州市場でCSの株価は一時60%程度下落するなど、まだまだ金融システム不安は続いており予断を許さない。一方、経営破綻したSVBについて、米連邦預金保険公社(FDIC)は「事業や資産を分割して売却する方針」を示したうえで、週内に入札を実施する旨を明らかにしていた。また、米紙WSJは「JPモルガンがファースト・リパブリックの安定化めぐり大手銀と協議を進める」と伝えていたようだ。
対して後者は、21日に実施される首脳会談を前にプーチン氏と習国家主席、「中露首脳による1対1の夕食会」が実施されたが、複数報道によると「合計でおよそ4時間半続いた」とされる。内容的には、ロシアによるウクライナ軍事侵攻などを集中的に協議したもようだ。そうしたなか、米国務長官からは「中国などの支援を受けるロシアがどんな戦略的な動きをしようと、世界はだまされるべきではない」、「国際刑事裁判所(ICC)によるプーチン氏への逮捕状請求にも関わらずの訪露、中国にロシアの戦争責任問う意思はない」などといったかなりキツめのコメントが発せられている。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は昨日もドルが続落。2月10日以来の130円台を一時示現している。それを受け、テクニカルには下方向に位置したサポートを次々に突破し、ドルの下値リスクが拡大。その後NYクローズに掛けては131円台を回復、本日東京も131円台で推移しているものの、ドル再下落によりこのあと欧米時間に130円台をつける可能性は否定できないだろう。
日米金融政策への関心が依然として高く、目先は明22日に予定されているFOMCの政策金利発表とパウエルFRB議長の記者会見にまずは注目だ。金融システム不安がくすぶってはいるものの、先週ECBは利上げに踏み切っており、FRBも同様に利上げそのものは実施するとの見方が有力だが果たしてどうか。また、金融システム不安の元凶であるSVB問題などはいまだ未解決。本日も続報などに注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、昨日のドル/円は2月10日以来の一時130円台。高値137.91円を起点と考えればわずか10日足らずで7円を超える下げを記録しており、短期的にはやや行き過ぎながら、リスクそのものはドル安・円高にバイアスが掛かる。このまま一本調子のドル安が進展するか否かは不明だが、130円割れに向けた値動きにも一応注意しておきたいところだ。
本日は米経済指標として、レッドブック週間小売売上高や2月の中古住宅販売件数が発せられるほか、2日間の日程で注目の米FOMCが開始される見通しだ。また、昨日4時間半もの会談を行った中露首脳が本日再び会談を行う予定。そちらも一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは130.80-132.40円。ドル高・円安方向は131.80円レベルが弱い抵抗。超えると132円台後半に位置する一目均衡表の先行帯の雲の上限が意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、本日アジア安値の131.05円レベルをめぐる攻防にまずは注目。下回ると昨日安値130.55円がターゲットに。(了)
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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