ドル円 米FOMC注目、金融不安も引き続き波乱要因か(週報3月第3週)

先週のドル/円相場はドルが弱含み。

ドル円 米FOMC注目、金融不安も引き続き波乱要因か(週報3月第3週)

米FOMC注目、金融不安も引き続き波乱要因か

〇先週のドル円、週末にかけ下げ幅を広げ一時は131円半ば近く、約1ヵ月ぶりの安値を示現
〇今週開催のFOMC、22日結果公表ならびにパウエルFRB議長の記者会見に市場の注目が集まる
〇ドル高円安方向は、先週末下回った雲上限132円後半の攻防、超えれば134円前半の90日線回復に注目
〇ドル安円高方向は、先週安値131.56とフィボナッチポイント131.30が最初のサポート
〇年初来安値127.22円を起点にした上げ幅61.8%押しの131.30レベル下回ると、130円割れも意識
〇今週のドル/円予想レンジ、129.80-134.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが弱含み。週末にかけ下げ幅を広げ一時は131円半ば近く、約1ヵ月ぶりの安値を示現している。

前週末には、金融危機以来で最大となる「米シリコンバレー銀(SVB)が破綻」し、それにともなう発言やニュースが相次ぐ。一方、それとは別に開催されていた中国全人代で、「習国家主席側近の李強氏の新首相就任」なども伝えられ思惑を呼んでいた。
そうした状況下、週明けのドル/円は上方向にギャップ(窓)を空ける格好。前週末には135円台を辛うじて維持していたものの、134円後半で寄り付いている。週間を通し値幅も3.5円強と決して小さくなかったが、実際の値動きは「134.80→132.29→135.11→131.72→133.82→131.56」円といった稀にみる乱高下だった。結局、週末NYは週間を通したドル安値圏131.80円前後で越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「欧米金融不安」と「欧州金融政策」について。
前者は、前述した「SVB破綻」にともなう発言やニュースが相次ぐ。たとえば米当局からは「すべての預金保護」などといった発表も観測されていた。しかし、金融不安は収まらず他行へも飛び火。実際に米NY州のシグニチャー・バンクの事業停止が伝えられたうえ、米中堅銀ファースト・リパブリック銀の株価が70%超暴落するという事態も起こっている。さらに、米国だけでなく欧州においては、スイスの金融大手クレディ・スイス(CS)に経営危機観測が急浮上。15日の欧米マーケットは大荒れとなり、同行の株価が一時上場来安値を更新したほか、為替市場においてはユーロ/円が15日一日で5円を超える急落をたどっていた。その後も、それぞれの関連ニュースなどに右往左往する展開で、週間を通して落ち着かないまま取引を終えている。

対して後者は、先で取り上げた「SVB破綻」などを受けて、欧米ともに利上げ観測が急速に後退しているとして別途話題に。実際、ブルームバーグでは週明けに「16日のECB政策委が検討していた大幅な利上げの計画はより強い反対に直面する見通し」などと伝えていた。ただ、強い逆風が取り沙汰されるなか、ECBは結果的に政策金利の0.5%引き上げを発表。また、今後についても「現時点で金利の道筋をコメントするのは不可能」としつつ、「インフレ率は高過ぎる水準に過度に長くとどまる」といった見通しを示すなどやや強めの内容で、こちらも市場筋にとってはサプライズと認識されていたようだ。

<< 今週の見通し >>

ドル/円の週足は3週連続の陰線引け。週のザラ場ベースでは約1ヵ月ぶりの131円台を示現し、ドルはそのまま安値圏で越週している。それまでドルの下値を支えてきた移動平均の90日線や一目均衡表の先行帯の雲の上限など、テクニカルポイントを次々下抜けており、リスクは間違いなくドル安方向にバイアスか。先週安値からそれほど遠くない年初来安値127.22円を起点にした上げ幅の61.8%押しに当たる131.30円レベルを下回ると、130円割れも意識する必要がある。
引き続き日米金融政策が市場の注目を集めるなか、今週は米国で注目のFOMCが開催され、22日には結果公表ならびにパウエルFRB議長の記者会見が実施される見通しだ。先週、ブルームバーグは「金融混乱をめぐる懸念が続くなか、来週のFOMCでは難しい判断を迫られることになる」などと報じていたが、果たしてFRBの判断は如何に。同様の状況下、ECBは先週0.5%の利上げに踏み切っていたが・・・。また「SVB破綻」に始まり、欧州のCSにも波及した金融システム不安の広がりなど、関連するニュースなどにも引き続き注意を払いたい。

テクニカルに見た場合、先でも指摘したように移動平均におけるサポートを次々と下回ると、約1ヵ月ぶりの安値圏で推移している。8日高値137.91円を起点としても、8営業日で6円を超える下落でやや下げ足が速いところは気掛かり。とは言え、基本的なリスクはドル安方向にバイアスがかかりそう。フィボナッチの観点からすると、目先のサポート131.30円を下回れば次の下値メドは2月10日安値に近い129.75円レベル。大台割れも否定できない。
そうしたなか今週は、2月のシカゴ連銀全米活動指数や3月の製造業PMI速報値といった米経済指標が発表される予定となっている。また、それ以外では週末に発表される日本の消費者物価指数や英国の政策金利発表、米韓合同軍事演習などに警戒感を抱く向きも少なくない。

そんな今週のドル/円予想レンジは、129.80-134.00円。ドル高・円安については、先週末にしっかりと下回ってきた一目均衡表の先行帯の雲の上限が位置する132円後半の攻防に注目。超えれば134円前半の90日線回復が再びターゲットに。
対してドル安・円高方向は、週明けは先週安値の131.56円ならびにフィボナッチポイントにあたる131.30円が最初のサポート。下回ると130円割れも意識する必要がありそうだ。

米FOMC注目、金融不安も引き続き波乱要因か

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

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