1ヵ月ぶり安値圏へと大暴落。米銀初のシステミックリスクがクレディ・スイスに飛び火
〇ドル円、欧州時間にクレディ・スイスの経営破綻懸念強まり、リスク回避の円買いから132.22まで急落
〇米2月PPI、小売売上高、NY連銀製造業景況指数は予想下まわり、米長期金利急低下
〇ユーロドル、クレディ・スイス危機発生と欧州株下落、欧州金利低下に1.0517まで急落
〇ドル円主要テクニカルポイント下抜け売りシグナルも点灯、テクニカルの地合い悪化
〇ファンダメンタルズもシステミックリスク懸念から、金融引き締め休止観測強まる
〇ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想、ECB理事会の政策決定要注視
〇本日の予想レンジ:131.50ー134.50
海外時間のレビュー
15日(水)のドル円相場は上昇後に大幅下落。(1)本邦5・10日(ゴトー日)のドル買い・円売りや、(2)米金利上昇に伴うドル買い圧力(米2年債利回りが一時4.40%へ上昇。米10年債利回りも3.70%へ上昇)、(3)黒田総裁による「現在の金融緩和を続ける必要がある」とのハト派発言、(4)株式市場の底堅い動き(リスク選好の円売り圧力)が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値135.10まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)スイスの大手銀クレディ・スイスの筆頭株主であるSNB(サウジナショナルバンク)が同社への追加支援の可能性を否定したことや、(6)上記5を背景としたクレディ・スイスの経営破綻懸念再燃とそれに伴う伝統的金融市場のリスクオフ(同社株が史上最安値を更新→1年物クレジット・デフォルト・スワップ急騰→欧米株が急落→リスク回避の円買い再燃)、
(7)米金利低下に伴うドル売り圧力(米2年債利回りが4.40%から3.74%へ急低下。米10年債利回りも3.70%から3.39%へ急低下)、(8)米2月生産者物価指数(結果+4.6%、予想+5.4%)および、(9)米2月生産者物価コア指数(結果+4.4%、予想+5.2%)の伸び率鈍化、(10)米2月小売売上高(結果▲0.4%、予想▲0.3%)の市場予想を下回る結果、(11)米3月ニューヨーク連銀製造業景気指数(結果▲24.6、予想▲8.0)の冴えない結果が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値132.22まで急落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(12)急ピッチな下落に対する反動もあって持ち直し、本稿執筆時点(日本時間3/16午前5時15分時点)では、133.27前後で推移しております。
15日(水)のユーロドル相場は上昇後に大幅下落。アジア時間朝方にかけて、高値1.0760まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)クレディ・スイス危機発生に伴うリスクオフ再開や、(2)上記1を背景とした欧州株の大幅下落(ドイツDAXは1/10以来の安値圏へと大幅下落)、(3)欧州債利回り低下に伴うユーロ売り圧力(ドイツ10年債利回りは2.50%から2.10%へ急低下→ユーロ売り加速)が重石となり、米国時間にかけて、約2カ月半ぶり安値となる1.0517(1/6以来の安値圏)まで急落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(4)急ピッチな下落に対する反動買いや、(5)スイス中銀による「必要ならクレディ・スイスに流動性を供給する」との発言などが支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間3/16午前5時15分時点)では、1.0580前後まで持ち直す動きとなっております。
本日の見通し
ドル円は僅か数時間で135.10から132.22まで値を崩す大相場となりました。日足・ローソク足が主要テクニカルポイントを軒並み下抜けした他、4時間足で強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」が点灯するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米銀発(米シルバーゲート銀行→米シリコンバレー銀行→米シグネチャーバンク)のシステミックリスクがグローバルに波及する恐れが警戒されつつあること(昨日はこうした流れがスイスの大手銀行であるクレディ・スイスへ波及→リスク回避のドル円・クロス円下落)や、(2)上記1を背景とした世界的な金融引き締め休止観測(来週の米FOMCでの「50bp利上げ」の織り込み度合は完全消滅。現在は「据え置き」の織り込み度合が47.6%、「25bp利上げ」の織り込み度合が52.4%→米長期金利の急低下)、
(3)上記2を背景とした日米金利差縮小観測など、ドル円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(※株・債券・為替を含む伝統的金融市場の流動性が著しく低下しているため、予想以上にプライスが飛びやすくなっている点に注意が必要)。尚、本日は米2月住宅着工件数や、米2月建設許可件数、米3月フィラデルフィア連銀景況指数、米2月輸出入物価指数、米新規失業保険申請件数、ECB理事会、ラガルド総裁記者会見に注目が集まります。特にECB理事会では、ラガルド総裁が事前に示していた通り、「50bpの利上げ」が断行されるのか、あるいは足元の世界的な金融不安を考慮して「25bpの利上げ」や「据え置き」へとトーンダウンしてくるのかに市場の関心が集まっております。
本日の予想レンジ:131.50ー134.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:上村 和弘
2023.03.16
ドル円見通し 3月13日夜安値を割り込む、信用不安でクロス円は全面安(23/3/16)
ドル円は16日午前序盤は再び133円を割り込んでおり、リスク回避型の円高継続感が強まっている。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:中島 光牙
2023.03.15
東京市場のドル・円は134円台でしっかり、強い小売売上高で135円台の上値抵抗突破なるか(23/3/15)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、134円台でのしっかりとした推移となった。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。