ドル円、約1ヵ月ぶり安値圏へと大暴落。米銀初のシステミックリスクがクレディ・スイスに飛び火(3/16朝)

15日(水)のドル円相場は上昇後に大幅下落。

ドル円、約1ヵ月ぶり安値圏へと大暴落。米銀初のシステミックリスクがクレディ・スイスに飛び火(3/16朝)

1ヵ月ぶり安値圏へと大暴落。米銀初のシステミックリスクがクレディ・スイスに飛び火

〇ドル円、欧州時間にクレディ・スイスの経営破綻懸念強まり、リスク回避の円買いから132.22まで急落
〇米2月PPI、小売売上高、NY連銀製造業景況指数は予想下まわり、米長期金利急低下
〇ユーロドル、クレディ・スイス危機発生と欧州株下落、欧州金利低下に1.0517まで急落
〇ドル円主要テクニカルポイント下抜け売りシグナルも点灯、テクニカルの地合い悪化
〇ファンダメンタルズもシステミックリスク懸念から、金融引き締め休止観測強まる
〇ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想、ECB理事会の政策決定要注視
〇本日の予想レンジ:131.50ー134.50

海外時間のレビュー

15日(水)のドル円相場は上昇後に大幅下落。(1)本邦5・10日(ゴトー日)のドル買い・円売りや、(2)米金利上昇に伴うドル買い圧力(米2年債利回りが一時4.40%へ上昇。米10年債利回りも3.70%へ上昇)、(3)黒田総裁による「現在の金融緩和を続ける必要がある」とのハト派発言、(4)株式市場の底堅い動き(リスク選好の円売り圧力)が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値135.10まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)スイスの大手銀クレディ・スイスの筆頭株主であるSNB(サウジナショナルバンク)が同社への追加支援の可能性を否定したことや、(6)上記5を背景としたクレディ・スイスの経営破綻懸念再燃とそれに伴う伝統的金融市場のリスクオフ(同社株が史上最安値を更新→1年物クレジット・デフォルト・スワップ急騰→欧米株が急落→リスク回避の円買い再燃)、

(7)米金利低下に伴うドル売り圧力(米2年債利回りが4.40%から3.74%へ急低下。米10年債利回りも3.70%から3.39%へ急低下)、(8)米2月生産者物価指数(結果+4.6%、予想+5.4%)および、(9)米2月生産者物価コア指数(結果+4.4%、予想+5.2%)の伸び率鈍化、(10)米2月小売売上高(結果▲0.4%、予想▲0.3%)の市場予想を下回る結果、(11)米3月ニューヨーク連銀製造業景気指数(結果▲24.6、予想▲8.0)の冴えない結果が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値132.22まで急落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(12)急ピッチな下落に対する反動もあって持ち直し、本稿執筆時点(日本時間3/16午前5時15分時点)では、133.27前後で推移しております。

15日(水)のユーロドル相場は上昇後に大幅下落。アジア時間朝方にかけて、高値1.0760まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)クレディ・スイス危機発生に伴うリスクオフ再開や、(2)上記1を背景とした欧州株の大幅下落(ドイツDAXは1/10以来の安値圏へと大幅下落)、(3)欧州債利回り低下に伴うユーロ売り圧力(ドイツ10年債利回りは2.50%から2.10%へ急低下→ユーロ売り加速)が重石となり、米国時間にかけて、約2カ月半ぶり安値となる1.0517(1/6以来の安値圏)まで急落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(4)急ピッチな下落に対する反動買いや、(5)スイス中銀による「必要ならクレディ・スイスに流動性を供給する」との発言などが支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間3/16午前5時15分時点)では、1.0580前後まで持ち直す動きとなっております。

本日の見通し

ドル円は僅か数時間で135.10から132.22まで値を崩す大相場となりました。日足・ローソク足が主要テクニカルポイントを軒並み下抜けした他、4時間足で強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」が点灯するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米銀発(米シルバーゲート銀行→米シリコンバレー銀行→米シグネチャーバンク)のシステミックリスクがグローバルに波及する恐れが警戒されつつあること(昨日はこうした流れがスイスの大手銀行であるクレディ・スイスへ波及→リスク回避のドル円・クロス円下落)や、(2)上記1を背景とした世界的な金融引き締め休止観測(来週の米FOMCでの「50bp利上げ」の織り込み度合は完全消滅。現在は「据え置き」の織り込み度合が47.6%、「25bp利上げ」の織り込み度合が52.4%→米長期金利の急低下)、

(3)上記2を背景とした日米金利差縮小観測など、ドル円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(※株・債券・為替を含む伝統的金融市場の流動性が著しく低下しているため、予想以上にプライスが飛びやすくなっている点に注意が必要)。尚、本日は米2月住宅着工件数や、米2月建設許可件数、米3月フィラデルフィア連銀景況指数、米2月輸出入物価指数、米新規失業保険申請件数、ECB理事会、ラガルド総裁記者会見に注目が集まります。特にECB理事会では、ラガルド総裁が事前に示していた通り、「50bpの利上げ」が断行されるのか、あるいは足元の世界的な金融不安を考慮して「25bpの利上げ」や「据え置き」へとトーンダウンしてくるのかに市場の関心が集まっております。

本日の予想レンジ:131.50ー134.50

注:ポイント要約は編集部

1ヵ月ぶり安値圏へと大暴落。米銀初のシステミックリスクがクレディ・スイスに飛び火

ドル円日足

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