週明け13日(月)のドル円相場は暴落後に持ち直す展開。
〇ドル円、米システミックリスク懸念とリスク回避ムード、米金利急低下に米国序盤に132.29まで下落
〇売り一巡後は米株価の持ち直し等に下げ渋り133円台前半を回復
〇ユーロドル、米国時間にかけ1.0652まで急落後、米金利低下、欧米株持ち直しに1.07台半ばに反発
〇ドル円、主要サポートポイント下抜け、三役好転も消失、テクニカルの地合いの悪化
〇ファンダメンタルズも米銀連鎖破綻への警戒や米金融引き締め停止がドルの重石に
〇ドル円相場の見通しを「ブル(強気)」から「ベア(弱気)」に変更
〇本日は21:30発表の米2月消費者物価指数に注目
〇本日の予想レンジ:131.00ー135.00
海外時間のレビュー
週明け13日(月)のドル円相場は暴落後に持ち直す展開。(1)米シルバーゲート銀行による3/8付の事業清算発表や、(2)米シリコンバレー銀行による3/10付の経営破綻(※米FRBと米財務省は預金者の全額保護を打ち出すと共に新たな融資プログラムの設置も発表しましたが市場で広がる不安心理を収めるには至らず)、(3)米シグネチャーバンクによる3/12付の事業停止発表、(4)上記1、2、3を背景とした米銀の連鎖破綻懸念(システミックリスクへの警戒感→次の破綻懸念先として米ファースト・リパブリック・バンクの株価が時間外で大幅下落)、(5)伝統的金融市場のリスク回避ムード(世界的な株価下落→リスク回避の円買い圧力)、(6)米金利低下に伴うドル売り圧力(一時50bpもの大幅利上げが織り込まれていた来週の米FOMCで据え置き観測が急浮上→米2年債利回りが3/8に記録した5.08%から4.01%へ急低下すると共に、米10年債利回りも3/2に記録した4.09%から一時3.42%へ急低下)が重石となり、米国時間朝方にかけて、約1ヵ月ぶり安値となる132.29(2/19以来の安値圏)まで急落しました。
もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(7)短期間で下落した反動や、(8)米主要株価指数の持ち直し(ダウ平均株価が前営業比マイナスからプラス圏へ浮上)、(9)米長期金利の低下幅縮小(米10年債利回りが3.42%から3.53%へ上昇)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間3/14午前5時05分時点)では、133.38前後で推移しております。
週明け13日(月)のユーロドル相場は乱高下。(1)米銀の連続破綻に端を発したシステミックリスク発生への警戒感(米シルバーゲート銀行、米シリコンバレー銀行、米シグネチャーバンクに続く、第4の破綻懸念先として、米ファースト・リパブリック・バンクの株価が時間外で急落)や、(2)ドイツ中銀による「金融危機対応チーム」の会合招集(米銀破綻の影響が欧州にも飛び火するのではとの思惑浮上→欧州株急落)、(3)今週のECB理事会での利上げ幅縮小の思惑(世界的な金融不安拡大を避ける目的でECBが50bpの利上げではなく25bpの利上げ幅に留めるとの思惑浮上)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0652まで急落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)米金利低下に伴うドル売り圧力(米利上げ観測後退→米金利急低下→米ドル売り)や、(5)欧米株の持ち直しが支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.0749まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間3/14午前5時10分時点)では、1.0726前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は3/8に記録した約3ヵ月ぶり高値137.90をトップに反落に転じると、昨日は約1ヵ月ぶり安値となる132.29まで急落しました。この間、主要サポートポイント(一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や一目均衡表雲上限、90日移動平均線や200日移動平均線)を軒並み下抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転も消失するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります(週足ベースでも一目均衡表雲上限を下方ブレイク)。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米銀による連鎖破綻(システミックリスク発生)への警戒感(リスク回避の円買いを誘発し易い地合い)や、(2)上記1を背景とした米FRBによる金融引き締め停止の思惑(来週開催される米FOMCでの50bp利上げ観測は完全に消失。現在は「据え置き」の織り込み度合が44.6%、25bp利上げの織り込み度合が55.4%)、
(3)日銀による金融緩和の修正期待(先週末金曜日に開催された黒田総裁最後の日銀会合でのサプライズ修正は見送られましたが、市場では引き続き植田新体制下での金融緩和修正期待が根強い)、(4)上記2、3を背景とした日米名目金利差縮小観測(円キャリートレード逆流への警戒感)など、ドル円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方ではドル円相場の見通しを「ブル(強気)」から「ベア(弱気)」に変更いたします。尚、本日は日本時間21:30に発表される米2月消費者物価指数に注目が集まります(※今週より夏時間に入っているため、米経済指標の発表時間が1時間前倒し)。市場予想を上回る結果となれば、既に米銀の連続破綻で傷んでいる市場に追い打ちをかける恐れもあるため(インフレ加速と景気後退のダブルパンチ→リスク回避ムード再開)、米国時間帯のボラティリティ急拡大に注意が必要でしょう。
本日の予想レンジ:131.00ー135.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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