『日米重要イベントをこなして上昇基調が鮮明に。続伸リスクに期待』
〇今週のドル円、週明け133.93まで下落するも、週末にかけ136.51まで急伸
〇FOMC要旨のタカ派的内容、日銀正副総裁所信の無難な内容、米1月PCEコアの予想比上昇が背景
〇ユーロドル、週明け1.0704まで上昇後週末にかけ1.0537まで急落
〇独連銀のハト派的見解、欧州指標の不冴え、米長期金利上昇等が背景
〇ドル円、主要テクニカルポイント上抜け、複数の買いシグナル点灯、テクニカルの地合い強い
〇ファンダメンタルズも米金融引き締め再加速の思惑、本邦金融緩和政策の早期見直し観測後退が支え
〇引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):134.00ー138.00、(EURUSD):1.0300−1.0700
今週のレビュー(2/20−2/24)
<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初134.30で寄り付いた後、(1)米中対立激化を嫌気した対主要通貨でのドル売り圧力(ミュンヘン安全保障会議でブリンケン米国務長官と中国外交担当トップの王毅氏が会談するも両国の緊張緩和に繋がらず)や、(2)米市場休場(プレジデンツデーで米株・米債市場休場)に伴うポジション調整が重石となり、週明け早々に、週間安値133.93まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(3)米2月製造業・非製造業PMIの市場予想を上回る結果や、(4)米FOMC議事要旨のタカ派的な内容(数人の当局者が0.50%の利上げを支持)、(5)米新規失業保険申請件数の良好な結果、(6)米1月シカゴ連銀全米活動指数の力強い結果、(6)米10ー12月期GDP価格指数の伸び率加速、
(7)日銀正副総裁候補の所信聴取をこなしたアク抜け感(早期政策修正を滲ませるようなサプライズは見られず総じてハト派的な内容)、(8)米1月PCEデフレータおよび、米1月PCEコアデフレータの市場予想を上回る結果、(9)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、週末にかけて、週間高値136.51(昨年12/20以来の高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間2/25午前3時10分現在)では、136.49前後で推移しております。尚、今週発表された本邦の1月消費者物価コア指数は、前年同月比プラス4.2%と1981年9月以来となる41年4カ月ぶり高水準を記録しましたが、円買いでの反応は限定的となりました。
<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.0684で寄り付いた後、早々に週間高値1.0704まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)ドイツ連邦銀行によるハト派的な見解発表(景気見通しは改善。物価上昇の下振れには時間を要するが総合インフレ率はピークアウト→ECBによる金融引き締め休止を示唆)や、(2)対英ポンドでのユーロ売り圧力(英2月製造業・非製造業PMIが市場予想を上回ったことで英ポンド急伸→ユーロポンド下落→ユーロ下落)、(3)ユーロ圏2月製造業PMIの冴えない結果、(4)ロンドンフィキシングに絡むユーロ売り圧力、(5)ドイツ2月Ifo企業景況感指数の市場予想を下回る結果、(6)フランス中銀ビルロワドガロー総裁による「ECBは毎会合での利上げを義務づけられていない」とのハト派的な発言、
(7)ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスク、(8)米FOMC議事要旨のタカ派的な内容、(9)ユーロ圏1月消費者物価指数の伸び率鈍化、(10)米新規失業保険申請件数の良好な結果、(11)米1月シカゴ連銀全米活動指数の力強い結果、(12)米10ー12月期GDP価格指数の伸び率加速、(13)米1月PCEデフレータおよび、米1月PCEコアデフレータの市場予想を上回る結果、(14)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、週末にかけて、週間安値1.0537(1/6以来の安値圏)まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間2/25午前3時10分現在)では、1.0546前後で推移しております。
来週の見通し(2/27−3/3)
<ドル円相場>
ドル円は1/16に記録した約7カ月半ぶり安値127.22をボトムに反発に転じると、今週末にかけて、昨年12/20以来、約2ヵ月ぶり高値となる136.51まで急伸しました。この間、日足・ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や90日移動平均線など)を軒並み上抜けした他、4時間足ベースでも強い買いシグナルが複数点灯(一目均衡表三役好転、強気のパーフェクトオーダー)するなど、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。来週早々には、日足ベースでも、一目均衡表三役好転が成立すると見られることから、ドル円相場の上昇トレンドにもう一段と弾みがつくシナリオが想定されます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め再加速の思惑(今週発表された米景気関連指標・米インフレ指標が軒並み市場予想を上回る結果→次回3月FOMC、5月FOMC、6月FOMCでの3会合連続25bp利上げが100%織り込まれる展開→政策金利のターミナルレートが一段と上昇→米長期金利上昇→米ドル独歩高)や、(2)日銀による金融緩和政策の早期見直し観測後退(植田次期総裁は今週末金曜日に開かれた衆院での所信聴取・質疑で総じてハト派的な見解を示唆→対主要通貨での円売り安心感)、(3)上記1、2を背景とした日米名目金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード再開の思惑など、ドル円相場のアップサイドリスクを意識させる材料が増えつつあります。
こうした中、来週は、日本サイドでは、日銀正副総裁候補の参院での所信聴取、本邦2月東京都区部CPIが注目されます。但し、参院での所信聴取は今週末金曜日に開催された衆院での所信聴取の内容に沿ったものになる可能性が高い他、東京都区部CPIについても前月比鈍化が見込まれているため、ドル高・円安の流れを止めるには至らないと判断できます。一方、米国サイドでは、米当局者発言(ジェファーソンFRB理事、ウォラーFRB理事、ボウマンFRB理事、ダラス連銀ローガン総裁、アトランタ連銀ボスティック総裁)や、2月分の米経済指標(米2月ISM製造業景況指数、米2月ISM非製造業景況指数、米2月シカゴPMI、米2月リッチモンド連銀製造業景況指数、米2月コンファレンスボード消費者信頼感指数)に注目が集まります。ここ最近の米経済指標の力強い数字を踏まえると、米当局者発言は一段とタカ派的な結果になる可能性が高いと考えられる他、2月分の米経済指標についても力強さを維持する公算が大きく、米金利上昇→米ドル高の流れに拍車がかかるシナリオが想定されます。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、リスクシナリオとしては、上記で述べた2月分の米経済指標が軒並みネガティブサプライズを記録する場合となります。リッチモンド連銀バーキン総裁は2/17に、予想外に力強い結果となった米1月雇用統計や米1月小売売上高について、季節要因の影響を受けた可能性があることを指摘しました。従って、来週発表される2月分の米経済指標が冴えない結果となる場合には、ここ最近発表された1月分の力強い米経済指標が単なる季節要因に伴う一時的なブレであったとの見方を通じて、一転して、米金利低下→米ドル急落に繋がるリスクを孕んでいるため、念のためダウンサイドリスクにも注意が必要でしょう。
来週の予想レンジ(USDJPY):134.00ー138.00
<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は2/2に記録した約10ヵ月ぶり高値1.1034をトップに反落に転じると、今週末にかけて、1/6以来の安値となる1.0537まで急落しました。この間、日足・ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や一目均衡表雲上限)を軒並み下抜けした他、4時間足ベースで強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転や弱気のパーフェクトオーダー、弱気のバンドウォークが成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。1/6に記録した年初来安値1.0483の下抜けに成功できれば、ダウ理論の上昇トレンド崩壊を通じて、昨年9月から続いた上昇トレンドに終止符が打たれることから、ユーロドルの一段安に繋がるリスクが警戒されます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め再加速の思惑や、(2)ECBによる金融引き締め休止観測(次回3月理事会での50bp利上げを以って利上げサイクルをひとまず休止するとの思惑)、(3)上記1、2を背景とした欧米金利差拡大観測、(4)ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクなど、ユーロドルの下落を連想させる材料が整いつつあります。こうした中、来週は欧州当局者発言(レーンECB専務理事、フランス中銀ビルロワドガロー総裁、ドイツ連銀ナーゲル総裁)や、ユーロ圏2月HICP速報値、ECB議事要旨(2/2開催分)に注目が集まります。特にユーロ圏2月HICPへの注目度が高く、仮に市場予想を下回る場合には、総合指数のみならず、高止まりが懸念されていたコア指数の鈍化を好感する形で、ECBによる金融引き締め休止の思惑→欧州債利回り低下→ユーロ売りの波及経路が一段と強まる展開が想定されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロ売り・ドル買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(EURUSD):1.0300−1.0700
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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