ドル円見通し 米PPI予想上回りドル高継続、1月16日以降の高値更新(23/2/17)

ドル円は2月16日夜の米PPI発表後のドル高により深夜高値で134.49円をつけて2月16日未明高値134.35円を超えて1月16日安値127.21円以降の高値を更新した。

ドル円見通し 米PPI予想上回りドル高継続、1月16日以降の高値更新(23/2/17)

ドル円見通し 米PPI予想上回りドル高継続、1月16日以降の高値更新

〇ドル円、2/16夜の米PPI発表後134.49をつけ、1/16安値127.21以降の高値を更新
〇2/16夜に発表された米1月生産者物価指数(PPI)は市場予想を上回る上昇率
〇地区連銀総裁らの発言、タカ派色がよりいっそう強まる
〇米長期債利回り上昇、利上げ期間の長期化と利上げピーク水準が上方修正される可能性の高まりを反映か
〇133.50以上での推移中は上昇余地あり、134.49超えからは135円を目指す上昇を想定
〇133.50割れからはいったん仕切り直しの下落とみて132.50ー133.00にかけての水準を試す下落を想定

【概況】

ドル円は2月16日夜の米PPI発表後のドル高により深夜高値で134.49円をつけて2月16日未明高値134.35円を超えて1月16日安値127.21円以降の高値を更新した。
1月の米PPIは前月比、前年比共に予想を上回り、地区連銀総裁らのタカ派発言も相次いだことで利上げ継続期間の長期化に加え次回会合での0.50%利上げの可能性も浮上したとして米長期債利回りが上昇、為替市場はドル高反応となった。
ドル円は連日の高値更新によりいったん利益確定売りに押されて17日早朝には133.68円まで下げたが、17日午前序盤には134円台を回復している。

【米PPIは予想以上の伸び率に】

2月16日夜に米労働省が発表した1月生産者物価指数(PPI)上昇率は前月比0.7%で12月の−0.2%(速報の-0.5%から上方修正)から再加速となり市場予想の0.4%を上回った。前年同月比は6.0%で12月の6.5%(速報の6.2%から上方修正)から鈍化して2021年3月以来の低水準となったが市場予想の5.4%を大幅に上回った。エネルギー・食料品を除いたコアPPI上昇率は前月比0.5%で12月の0.3%(速報の0.1%から上方修正)から伸びが加速して市場予想の0.3%を上回り、前年同月比は5.4%で12月の5.8%(速報の5.5%から上方修正)から鈍化したものの市場予想の4.9%を大幅に上回った。
米労働省による新規失業保険申請件数は2月11日までの週間で前週比1000件減の19万4000件となり2週ぶりの改善で市場予想の20万件を下回った。失業保険受給者総数は2月4日までの週間で169万6000人となり前週から1万6000人増で市場予想の169万5000人をわずかに上回った。

米フィラデルフィア連銀による2月の製造業景況指数はマイナス24.3となり1月のマイナス8.9から大幅に低下、6か月連続のマイナスで2020年5月以来の低水準となり市場予想のマイナス7.4を下回った。
米商務省による1月の住宅着工件数(年換算)は前月比4.5%減の130万9000戸で2020年6月以来の低水準となり市場予想の136万戸を下回った。先行指標の住宅着工許可件数は0.1%増の133万9000戸で予想の135万戸を下回った。
2月16日の米経済指標はまちまちでインフレの高止まり、労働市場の堅調さ、製造業や住宅関連の低調さを示すものとなったが、やはりPPI上昇率が12月分の上方修正も含めて伸びが再加速しつつあり高水準での推移が長引く可能性を強めたと思われる。

【地区連銀総裁らのタカ派発言相次ぐ】

2月3日の米1月雇用統計が予想以上に強かったことをきっかけとしてFRB高官や地区連銀総裁の発言はタカ派姿勢が目立っているが、2月14日の米CPIと16日の米PPIの上昇率が予想を上回ったことでタカ派色が一層強まってきている印象だ。
セントルイス連銀のブラード総裁は「前回のFOMC(0.25%利上げを決定)では0.50%利上げを主張した」「今後も0.50%利上げの可能性を排除しない」と述べ、1月のCPIやPPIが予想より強かったことについて「失望しているのは市場であり、インフレ低下には長い時間を要する」と市場の楽観を諫めた。
クリーブランド連銀総裁のメスター総裁は「インフレの上振れリスクがある」「リスクが現実化すれば政策金利を一段と引き上げる必要がある」と述べた。同総裁は前回のFOMCで0.50%利上げを主張したとし、1月のCPIについては「基調的なインフレには改善が見られなかった」「インフレ沈静化への時期尚早な結論付けに対する警鐘となった」と述べた。

2月2日未明の前回FOMCにおけるパウエル議長会見ではあと2回の利上げを検討中とされたが、あと3回の利上げや次回の利上げ幅が0.50%へ再び引き上げられる可能性も出始めている印象だ。市場はFOMCがこれまで示してきた2023年末までの利上げ状態の継続については短縮されて利下げ開始時期が早まるのではないかとの期待を抱いていたが、そうした期待感も後退しているようだ。

【米長期債利回りは上昇、ダウは反落】

米PPI上昇率が予想を上回り地区連銀総裁らのタカ派発言により2月16日の米長期債利回りは総じて上昇した。指標の10年債利回りは前日比0.06%上昇の3.87%となったが、一時3.77%まで低下していたところから切り返し、1月19日の3.32%以降の高値を更新、12月30日の3.91%に迫っている。
30年債利回りは0.08%上昇の3.92%で1月19日の3.49%以降の高値を更新した。
2年債利回りは前日比変わらずの4.64%で終了したが、4.58%まで下げたところから一時は4.67%まで上昇して2月2日の4.04%以降の高値である2月15日の4.70%に迫った。
10年債と30年債の利回り上昇が勢い付いていることは利上げ期間が長期化し、利上げピーク水準もまだ上方修正される可能性が高まっていることを反映していると思われる。
一方で利上げ状態の長期化懸念からNYダウは前日比431.20ドル安と大幅下落、ナスダック総合指数も214.76ポイント安で4営業日ぶりの反落となった。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は2月14日夜の米CPI発表後の乱高下から133円台到達へと一段高したために2月10日夕安値129.79円を起点とした上昇期が継続しているとして2月15日午前時点では2月17日にかけての間への上昇を想定した。
2月16日深夜へ一段高した後の小反落も買い戻されているのでまだ上昇継続中とし、高値形成期が17日の日中から21日深夜にかけての間へ延びる可能性もあると考える。ただし連騰に対する修正安も入りやすいところとみて133.50円割れからはいったん下げに入るとみて17日夜から21日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では高値更新が続いているものの16日未明からは134円を挟んだ騰落のため遅行スパンは実線と交錯を繰り返しやすい位置にあるが、先行スパンの上限が下値支持線として機能している印象だ。このため先行スパンを上回るうちは一段高余地ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパンへ潜り込む場合はいったん下げに入る可能性に注意して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月17日未明に50ポイントを割り込んだものの持ち直しているのでまだ上昇余地ありとみるが、16日未明から16日深夜への一段高に対して指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる。70ポイント超えからは逆行破りにより上昇が勢い付く可能性があるとみて80ポイント台を目指す上昇を想定するが、45ポイント割れからは下落期に入るとみて30ポイント台への下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、133.50円を下値支持線、134.49円を上値抵抗線とする。
(2)133.50円以上での推移中は上昇余地ありとし、134.49円超えからは135円を目指す上昇を想定する。134.75円以上は反落警戒とするが、134円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)133.50円割れからはいったん仕切り直しの下落とみて133.00円から132.50円にかけての水準を試す下落を想定する。132.70円以下は反騰注意とするが、133.50円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2/17(金)
16:00 (英) 1月 小売売上高 前月比 (12月 -1.0%、予想 -0.3%)
16:00 (英) 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 -5.8%、予想 -5.5%)
16:00 (英) 1月 小売売上高・除自動車 前月比 (12月 -1.1%、予想 -0.0%)
16:00 (英) 1月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (12月 -6.1%、予想 -5.3%)
16:00 (独) 1月 生産者物価指数(PPI) 前月比 (12月 -0.4%、予想 -1.6%)
18:00 (欧) 12月 経常収支・季調済 (11月 136億ユーロ)
22:30 (米) 1月 輸入物価指数 前月比 (12月 0.4%、予想 -0.2%)
22:30 (米) 1月 輸出物価指数 前月比 (12月 -2.6%、予想 -0.2%)
22:30 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
22:45 (米) ボウマンFRB理事、講演
24:00 (米) 1月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (12月 -0.8%、予想 -0.3%)

注:ポイント要約は編集部

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