ドル円見通し 1月12日からの大幅下落一服するも戻りは鈍く下落再開を警戒(23/1/17)

ドル円は1月16日昼安値で127.21円をつけて昨年10月21日高値151.94円以降の安値を更新した。

ドル円見通し 1月12日からの大幅下落一服するも戻りは鈍く下落再開を警戒(23/1/17)

ドル円見通し 1月12日からの大幅下落一服するも戻りは鈍く下落再開を警戒

〇ドル円、1/16昼安値127.21をつけ、昨年1/21高値151.94以降の安値を更新
〇下落一服による買い戻しで夕刻128.86へ上昇するも129円に届かず、1/17午前には128円台序盤へ失速
〇本邦10年債利回りは1/16も一時0.510%へ上昇、市場が日銀の許容上限追加引き上げを織り込む動き
〇2022年の企業物価指数は9.7%上昇で1981年以降で過去最高、12月単月の上昇率も過去最高記録更新
〇128円以上での推移中は上昇余地ありとし、128.86超えからは129円台序盤への上昇を想定する
〇127.70割れからは下向きとして127.21試しとし、底割れからは126円台後半への下落を想定する

【概況】

ドル円は1月16日昼安値で127.21円をつけて昨年10月21日高値151.94円以降の安値を更新した。127円割れを回避してひとまず大幅下落一服による買い戻しで夕刻には128.86円へ上昇したものの129円には届かず、16日夜からは米国市場休場で手掛かりに欠けて小動きだったが、17日午前には128円台序盤へ失速している。
1月12日早朝に「日銀が来週の金融政策決定会合で金融緩和の副作用を点検する」との新聞報道で132円を割り込み、1月12日夜の米CPI上昇率の鈍化によるドル安で13日未明には129円を割り込み、13日深夜には128円を割り込んだが、1月17-18日の日銀金融政策決定会合における追加の政策修正懸念もあり、当面する円高材料消化とならず、16日の戻りも週明けのポジション調整的な動きの範囲と思われる。

【長期債利回り0.50%突破】

日銀は12月20日の前回金融政策決定会合で長期金利ゼロ%誘導のための許容変動幅上限を従来の0.25%から0.50%へと引き上げたため、市場は事実上の利上げと受け止めてドル円は急落、12月20日高値137.47円から12月21日未明安値130.56円まで7円近い大暴落となった。
新発10年債利回りは12月20日に直前の0.25%から0.48%へ上昇、その後はやや落ち着いていたが許容上限の0.50%に張り付き始め、1月13日には一時0.545%へ上昇して7年7か月振りの高値水準となり0.50%の許容上限を超えた。これに対して日銀は利回り0.50%で無制限に買い入れる指値オペで凡そ5兆円の10年債を購入して対抗し、1月16日も一時0.510%へ上昇したが凡そ2兆円強の指値オペで対抗した。

新発10年債利回りが度々0.50%の許容上限を超えてきたことは、市場が日銀による許容上限の追加引き上げを織り込む動きであり、今回の日銀金融政策決定会合において上限の連続修正もあり得るとの見方も出ている。またYCC(イールドカーブコントロール=長短金利操作)そのものの見直しを行うかその布石を打つ可能性もあるのではないかとみられている。
日銀の黒田総裁は金融緩和政策を円滑にするための許容変動幅上限引き上げであり金融緩和政策は継続していると述べてきたが、4月8日の任期満了と後任総裁による金融政策修正へ向けた地ならしが始まっている印象が強まっている。

【企業物価指数上昇続く】

1月16日朝に日銀が発表した2022年の企業物価指数は前年比9.7%上昇となり1981年以降で過去最高だった。電力・都市ガス・水道が36.0%、鉄鋼が26.7%、石油・石炭が18.0%と大幅に上昇、食料・飲料品も5.6%上昇した。12月単月の上昇率は前年同月比10.2%となり過去最高記録を更新、電力・都市ガス・水道は52.3%の大幅上昇となった。
円安には歯止めがかかり、NY原油が昨年3月に130.50ドルへ大上昇した後は低下に転じて12月には70ドル台まで下げるなど既定部分でのインフレ圧力は落ち着いてきているものの、川上から川下へと価格転嫁が進行中であること、パンデミック発生と感染拡大の繰り返し及びウクライナ戦争の長期化によるサプライチェーンの混乱は続いており、欧米のインフレ率もピーク感がみられるとはいえ高止まりが続きかねない状況にある。金融緩和により健全なインフレを促進して賃金上昇と景気拡大を目指すという当初の目標は、過去最高のインフレに見舞われることで本来の政策根拠を希薄にしており、日銀も基本姿勢を修正せざるを得ないところに来ていることは衆目の一致するところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は1月11日夜高値132.87円を起点として大幅下落してきたが、1月16日昼安値127.21円で下げ一服となり16日夕刻には128.86円まで戻し、その後は128円台で持ち合いとなっている。128円台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは17日午後から18日夜にかけての間への上昇余地ありとするが、1月16日昼安値127.21円割れからは戻り一巡による一段安入りとして19日午前から23日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では1月16日昼安値からの反発で遅行スパンが好転、先行スパンの下部に潜り込んでいるが両スパン共に悪化しやすい位置にあると注意する。1月16日夕高値を超える場合は先行スパン上部への上昇を想定するが先行スパン上限が抵抗となりやすいとみる。遅行スパンが悪化するところからは下げ再開とみて安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は50ポイント台後半へ戻したものの17日午前序盤に50ポイントをいったん割り込み上値が重い印象だ。60ポイント台前半へ上昇する場面は戻り売りにつかまりやすく、45ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台を目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、1月16日昼安値127.21円を下値支持線、1月16日夕高値128.86円を上値抵抗線とする。
(2)128円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、128.86円超えからは129円台序盤(129.00円から129.30円)への上昇を想定するが、129円以上は反落警戒圏とする。
(3)127.70円割れからは下向きとして1月16日昼安値試しとし、底割れからは126円台後半への下落を想定する。18日の日銀金融政策発表前は円高バイアスがかかってもやや慎重な動きとなることも考えられるので126.50円以下は反発注意とするが、日銀の政策修正を先取りする報道等から下げ足が速まる場合は126円台序盤への下落を想定する。

【当面の主な予定】

1/17(火)
日銀・金融政策決定会合初日
11:00 (中) 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 -5.9%、予想 -8.6%)
11:00 (中) 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 2.2%、予想 0.2%)
11:00 (中) 10-12月期 GDP 前期比 (7-9月 3.9%、予想 -0.8%)
11:00 (中) 10-12月期 GDP 前年同期比 (7-9月 3.9%、予想 1.8%)
13:30 (日) 11月 第三次産業活動指数 前月比 (10月 0.2%、予想 0.1%)

16:00 (独) 12月 消費者物価指数(CPI)改定値 前月比 (速報 -0.8%、予想 -0.8%)
16:00 (独) 12月 消費者物価指数(CPI)改定値 前年同月比 (速報 8.6%、予想 8.6%)
16:00 (英) 11月 失業率・ILO方式 (10月 3.7%、予想 3.7%)
19:00 (独) 1月 ZEW景況感 (12月 -23.3、予想 -15.0)
19:00 (欧) 1月 ZEW景況感 (12月 -23.6)
22:30 (米) 1月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (12月 -11.2、予想 -8.7)

1/18(水)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
未 定 (日) 日銀展望レポート
08:50 (日) 11月 機械受注 前月比 (10月 5.4%、予想 -1.3%)
08:50 (日) 11月 機械受注 前年同月比 (10月 0.4%、予想 1.8%)
13:30 (日) 11月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 -0.1%)
13:30 (日) 11月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報 -1.3%)
13:30 (日) 11月 設備稼働率 前月比 (10月 2.2%)
15:30 (日) 黒田日銀総裁、定例記者会見
16:00 (英) 12月 消費者物価指数(CPI) 前月比 (11月 0.4%、予想 0.3%)
16:00 (英) 12月 消費者物価指数(CPI) 前年同月比 (11月 10.7%、予想 10.5%)
16:00 (英) 12月 CPIコア指数 前年同月比 (11月 6.3%、予想 6.2%)
16:00 (英) 12月 小売物価指数(RPI) 前年同月比 (11月 14.0%、予想 13.7%)

19:00 (欧) 12月 消費者物価指数(HICP)・改定値 前年同月比 (速報 9.2%、予想 9.2%)
19:00 (欧) 12月 HICPコア指数・改定値 前年同月比 (速報 5.2%、予想 5.2%)
19:00 (欧) 11月 建設支出 前月比 (10月 1.3%)
19:00 (欧) 11月 建設支出 前年同月比 (10月 2.2%)
22:30 (米) 12月 小売売上高 前月比 (11月 -0.6%、予想 -0.8%)
22:30 (米) 12月 小売売上高・除自動車 前月比 (11月 -0.2%、予想 -0.5%)
22:30 (米) 12月 生産者物価指数(PPI) 前月比 (11月 0.3%、予想 -0.1%)
22:30 (米) 12月 生産者物価指数(PPI) 前年同月比 (11月 7.4%、予想 6.8%)
22:30 (米) 12月 PPIコア指数 前月比 (11月 0.4%、予想 0.1%)
22:30 (米) 12月 PPIコア指数 前年同月比 (11月 6.2%、予想 5.5%)

23:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、会合挨拶
23:15 (米) 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 -0.2%、予想 -0.1%)
23:15 (米) 12月 設備稼働率 (11月 79.7%、予想 79.6%)
23:30 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、WSJ紙インタビュー
24:00 (米) 11月 企業在庫 前月比 (10月 0.3%、予想 0.4%)
24:00 (米) 1月 NAHB住宅市場指数 (12月 31、予想 31)
27:00 (米) 財務省20年債入札
28:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
28:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演



注:ポイント要約は編集部

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