ドル円見通し 日銀政策修正継続報道から米CPI上昇率鈍化で大幅下落(23/1/13)

ドル円はCPI発表直後に130円を割り込み、13日未明には128.86円まで安値を切り下げた。

ドル円見通し 日銀政策修正継続報道から米CPI上昇率鈍化で大幅下落(23/1/13)

ドル円見通し 日銀政策修正継続報道から米CPI上昇率鈍化で大幅下落

〇ドル円、1/12はCPI発表直後に130円を割り込み、1/13未明128.86まで安値を切り下げる
〇米CPI上昇率鈍化で米FRBの利上げペースがさらに減速するとの見方から、ドル安加速
〇昨日発表の米CPIの前月比は6か月連続の鈍化で、2020年5月以来のマイナスとなる
〇今後は年内あと2、3回の0.25%ずつの利上げで、利上げサイクルの打ち止めとなる可能性高まる
〇米長期債利回りは続落、NYダウ3連騰、ナスダックは5連騰
〇130.00以下での推移中は一段安警戒とし、128.86割れからは127円台への下落を想定する
〇129.70から130.00円にかけての水準は、戻り売り有利とみる

【概況】

ドル円は1月6日の米雇用統計での平均時給の伸び鈍化とISMサービス業景況指数の悪化により直前高値134.77円から1月9日安値131.29円まで大幅下落した後は下げ一服で買い戻し優勢となり、1月11日夜高値で132.87円まで戻していたが、1月12日早朝に読売新聞朝刊が「日銀が来週の金融政策決定会合で金融緩和の副作用を点検する」と報じたことをきっかけに132円を割り込み、12日夕刻には131円を割り込んでいた。
1月12日夜の米12月消費者物価指数(CPI)上昇率が前年同月比6.5%で1年2か月ぶりの低水準となり、前月比もマイナス0.1%で2020年5月以来初めてのマイナス圏まで低下したことにより米FRBの利上げペースがさらに減速するとの見方から為替市場は若干の乱高下を入れつつもドル安が加速し、ドル円はCPI発表直後に130円を割り込み、13日未明には128.86円まで安値を切り下げた。

【米CPIの前月比は2020年5月以来のマイナスに】

1月12日夜に米労働省が発表した2022年12月消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比6.5%となり、市場予想と一致したが11月の7.1%を下回って6か月連続の鈍化、2021年10月以来1年2か月振りの低水準となった。前月比はマイナス0.1%となり市場予想の0.0%及び11月の0.1%を下回って2020年5月以来のマイナスとなった。
コアCPI上昇率は前月比で0.3%となり予想と一致、11月の0.2%からは上昇したが、前年同月比は5.7%で予想通りだったものの11月の6.0%から低下した。
米労働省による新規失業保険申請件数は1月7日までの週間で前週比1000件減少の20万5000件となり、2週連続の改善となり市場予想の21万5000件を下回った。また失業保険受給者数は12月31日までの週間で163万4000人となり、前週から6万3000人減少して市場予想の170万5000人を下回った。
これらの発表を受けてFRBによる今後の利上げについては通常ペースの0.25%へ落ち着く可能性が高まったとして為替市場はドル安、米長期債利回りは低下してNYダウとナスダックが上昇した。

【年内あと2、3回の0.25%利上げで落ち着くか】

フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は1月12日の講演で「年内あと2〜3回の利上げを行う」とし、「0.75%利上げを実施していた時期は明らかに終わった」「今後は0.25%利上げを進めるのが適切」と述べた。またコアインフレ率は2023年に3.5%程度、2024年に2.5%、2025年には2.0%へ低下するとの見通しを示した。
セントルイス連銀のブラード総裁は「コアインフレの低下がそれほど進んでいない」「できるだけ速やかに5%超へ政策金利を引き上げることが適切」「政策金利はより長期にわたってより高くする必要がある」と述べたが、「FOMC参加者の政策金利見通し中央値が2023年末までに5%を上回る水準としていることを市場は概ねを織り込んでいる」とし、利上げ終了後は「経済指標を見極めて適切に調整するべき」として将来の利下げ可能性に言及した。
1月11日にもボストン連銀のコリンズ総裁が「次回のFOMCでは利上げ幅を0.25%へ縮小する可能性がある」と述べており、今後は0.25%ずつの利上げが数回で利上げサイクルの打ち止めとなる可能性が高まっている。

【米長期債利回りは再び低下】

1月12日の米長期債利回りは米CPI上昇率の鈍化により総じて低下した。
指標の10年債利回りは前日比0.10%低下の3.44%、30年債利回りは0.10%低下の3.57%、2年債利回りは0.08%低下の4.14%となり、いずれも前日からの続落となった。
一方で株式市場はNYダウは前日比216.96ドル高と3連騰、ナスダック総合指数は69.43ポイント高で5連騰となった。利上げペースが通常の0.25%ずつとなり利上げ期間が短縮されて金利のピーク水準も下方修正される可能性が期待されて買われている印象だが、ソフトランディングするとしても景気減速は避けられない状況にもあるため大幅高というほどの買われ方にはならず上昇幅は限定的だった。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は1月9日昼安値からの持ち直しが一巡して下落期に入ったとして1月12日午前時点では16日昼にかけての下落を想定した。13日未明へ大幅下落した後も下げ渋り程度のため13日夜から週明けにかけてはまだ安値試しを続けやすい局面とみるが、週をまたぐと市場心理も落ち着くために週明けは戻りを試しやすいとみる。現時点からの強気転換には130円を超えてさらに続伸するような勢いが必要と思われる。

60分足の一目均衡表では1月12日午前序盤の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したが、12日夜の大幅続落により両スパンそろっての悪化が続いている。下げ渋りが続けば遅行スパンが好転しやすい位置に来るものの、下降してくる26本基準線を下回るうちは一段安懸念が優先されるとみる。強気転換には遅行スパンの好転に加えて先行スパンへ迫る上昇が必要と思われる。

60分足の相対力指数は13日未明への大幅下落により20ポイント台へ低下した後も30ポイント近辺にとどまっているのでまだ一段安余地がある。相場が一時的な反発を見せた後に一段安する過程で指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られる場合は反騰入りを警戒するが強気転換には50ポイントへ迫る上昇が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)1月13日未明安値128.86円を下値支持線、130.00円を上値抵抗線とする。
(2)130.00円以下での推移中は一段安警戒とし、1月13日未明安値割れからは127円台への下落を想定する。127円台序盤は買い戻しも入りやすいとみるが、130円以下での推移か、直前安値から1.30円を超える規模の反騰が見られないうちは16日午前も安値試しへ進みやすいとみる。
(3)129.70円から130.00円にかけての水準は戻り売り有利とみる。

【当面の主な予定】

日米首脳会談
未 定 (中) 12月 貿易収支・米ドル建て (11月 698.4億ドル、予想 762.0億ドル)
未 定 (中) 12月 貿易収支・人民元建て (11月 4943.3億元)
16:00 (英) 11月 月次GDP 前月比 (10月 0.5%、予想 -0.2%)
16:00 (英) 11月 鉱工業生産 前月比 (10月 0.0%、予想 -0.3%)
16:00 (英) 11月 鉱工業生産 前年同月比 (10月 -2.4%、予想 -3.0%)
16:00 (英) 11月 貿易収支・物品 (10月 -144.76億ポンド、予想 -149.00億ポンド)
16:00 (英) 11月 貿易収支・全体 (10月 -17.85億ポンド、予想 -25.00億ポンド)

19:00 (欧) 11月 鉱工業生産 前月比 (10月 -2.0%、予想 0.5%)
19:00 (欧) 11月 鉱工業生産 前年同月比 (10月 3.4%、予想 0.5%)
19:00 (欧) 11月 貿易収支・季調済 (10月 -283億ユーロ、予想 -210億ユーロ)
19:00 (欧) 11月 貿易収支・季調前 (10月 -265億ユーロ、予想 -211億ユーロ)
22:30 (米) 12月 輸入物価指数 前月比 (11月 -0.6%、予想 -0.9%)
22:30 (米) 12月 輸出物価指数 前月比 (11月 -0.3%、予想 -0.7%)
24:00 (米) 1月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 (12月 59.7、予想 60.5)


注:ポイント要約は編集部

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