ドル円、日銀の金融緩和修正観測と米CPI鈍化の組み合わせで約7ヵ月ぶり安値圏へ急落(1/13朝)

12日(木)のドル円相場は大幅下落。

ドル円、日銀の金融緩和修正観測と米CPI鈍化の組み合わせで約7ヵ月ぶり安値圏へ急落(1/13朝)

ドル円、日銀の金融緩和修正観測と米CPI鈍化の組み合わせで約7ヵ月ぶり安値圏へ急落

〇ドル円、読売新聞の日銀政策修正観測、米CPIの予想通りの伸び率鈍化に128.88まで急落
〇引けにかけ小反発するも129円台前半での推移、FRB関係者のタカ派発言には反応薄
〇ユーロドル、米CPI発表後の米長期金利低下に一時約9か月ぶり高値1.0867まで急伸
〇ドル円、約7か月ぶり安値圏、強い売りシグナルも複数点灯し地合い極めて弱い
〇ファンダメンタルズも日米金利差縮小観測強まり、ドル円を圧迫
〇引き続き、ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:127.75ー130.25

海外時間のレビュー

12日(木)のドル円相場は大幅下落。アジア時間早朝に、高値132.55まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)読売新聞社による「日銀が1/17ー1/18の金融政策決定会合で大規模金融緩和の副作用を点検する」とのサプライズ報道や、(2)上記1を背景としたイールドカーブコントロールの更なる修正観測(新発10年国債利回りが許容上限の0.5%へ上昇→円キャリートレード逆流の思惑→対主要通貨で円買い加速)、(3)米12月消費者物価指数(結果+6.5%、予想+6.5%、前回+7.0%)の6ヵ月連続伸び率鈍化、(4)米12月消費者物価コア指数(結果+5.7%、予想+5.7%、前回+6.0%)の3ヵ月連続伸び率鈍化、(5)上記3、4を背景とした米長期金利の急低下が重石となり、米国時間午後にかけて、昨年6/1以来、約7ヵ月ぶり安値となる128.88まで急落しました。

引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間1/13午前4時10分現在)では、129.20前後で推移しております。尚、昨日はフィラデルフィア連銀ハーカー総裁による「5%超への利上げ実施と同水準での維持を支持する」とのタカ派的な発言や、セントルイス連銀ブラード総裁による「できるだけ早い5%超への利上げ実施が必要」「市場の楽観は行き過ぎ」とのタカ派的な発言、リッチモンド連銀バーキン総裁による「インフレは高すぎるためFEDにはまだやるべきことがある」とのタカ派的な発言が見られましたが、ドル買いでの反応は限定的となりました。

12日(木)のユーロドル相場は大幅上昇。(1)米12月消費者物価指数の6ヵ月連続伸び率鈍化や、(2)米12月消費者物価コア指数の3ヵ月連続伸び率鈍化、(3)上記1、2を背景とした米長期金利の急低下(米10年債利回りは約1ヵ月ぶり低水準となる3.43%へ急低下)、(4)欧米金利差縮小観測(ハト派転換が意識される米国と、タカ派姿勢の継続が見込まれる欧州との金融政策格差)、(5)欧州株の堅調推移が支援材料となり、米国時間午後にかけて、昨年4/21以来、約9ヵ月ぶり高値となる1.0867まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間1/13午前4時10分現在)では、1.0850前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は1/6に記録した戻り高値134.79をトップに反落に転じると、昨日は一時128.88(昨年6/1以来、約7ヵ月ぶり安値圏)へと急落しました。強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」や「ダウ理論の下落トレンド」が成立する中、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます(週足も一目均衡表雲上限を割り込み「雲の中」へ約1年10ヵ月ぶりに突入)。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め休止観測(先週末金曜日に発表された米12月平均時給の伸び率鈍化や、米ISM非製造業景況指数の50割れ、昨日発表された米CPIの6ヵ月連続伸び率鈍化、米CPIコアの3ヵ月連続伸び率鈍化を受けて、米FRBが金融引き締め姿勢を早期に軟化させるとの見方が再浮上→市場は年後半にかけての利下げ開始を淡々と織り込む展開)や、(2)日銀による金融緩和の修正観測(1/10に発表された本邦12月東京都区部・消費者物価指数・生鮮食料品除くが40年8ヵ月ぶり高水準を記録したことで、来週予定されている金融政策決定会合でインフレ見通しを上方修正すると共にYCCの更なる修正がなされるとの見方が浮上)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差縮小観測(円キャリートレード逆流の思惑)など、ドル円相場の下落を連想させる材料が揃っています(リスクリバーサルの円コールオーバー急拡大が示唆する通り、通貨オプション市場でもダウンサイドを織り込む動きが活発化)。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米12月輸出入物価指数、米1月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値に注目が集まります。市場予想を下回る結果となれば、日米名目金利差の縮小を通じて、もう一段ドル売り・円買いが強まる恐れがあるため、本日もドル円相場の続落リスクに警戒が必要でしょう(アジア時間は急ピッチな下落の反動で一時的に持ち直す可能性があるものの海外勢参入後は再び下落に転じる公算大)。

本日の予想レンジ:127.75ー130.25

注:ポイント要約は編集部

ドル円、日銀の金融緩和修正観測と米CPI鈍化の組み合わせで約7ヵ月ぶり安値圏へ急落

ドル円日足

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