ドル円、下落後に持ち直すも方向感見出せず。早くも米CPIを控えた様子見ムードに突入
〇ドル円、米国時間朝方にかけて、パウエル議長発言前のポジション調整に高値132.48まで反発
〇買い一巡後は材料難に伸び悩み、132円台前半の推移
〇ユーロドル、1.07台前半で方向感に欠ける動き
〇ドル円、テクニカル的には、上値余地は乏しく、ファンダメンタルズもドル円下落材料揃う
〇ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:131.75ー132.75
海外時間のレビュー
10日(火)のドル円相場は下落後に持ち直す展開。(1)本邦12月東京都区部・消費者物価指数・生鮮食料品除く(結果+4.0%、予想+3.8%、前回+3.6%、※前年比)の市場予想を上回る結果(40年8ヵ月ぶり高水準)や、(2)上記1を背景とした日銀による金融緩和の修正観測、(3)米金利低下に伴うドル売り圧力、(4)5・10日要因剥落後(公表相場決定後)のドル売り・円買いが重石となり、アジア時間朝方にかけて、安値131.40まで下落しました。しかし、前日安値131.30をバックに下げ渋ると、(5)パウエルFRB議長および黒田総裁発言を控えたポジション調整(スウェーデン中銀主催のシンポジウムでの発言機会)や、
(6)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(7)短期筋のショートカバーが支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値132.48まで反発する場面も見られました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(8)上記5(パウエルFRB議長および黒田総裁発言)に真新しい材料が見られなかったことや、(9)1/12に予定されている米12月消費者物価指数を控えた警戒感が重石となり、本稿執筆時点(日本時間1/11午前5時40分現在)では、132.24前後で推移しております。尚、昨日はボウマンFRB理事より「追加利上げが必要になると予想している」「しばらくの間、ピーク金利を維持する必要性がある」との発言が見られましたが、ドル買いでの反応は限定的となりました。
10日(火)のユーロドル相場は狭いレンジ内で方向感に欠ける展開。(1)米金利上昇に伴うドル買い圧力(米10年債利回りが前日記録した3.50%から3.64%へ急上昇)や、(2)欧州株の冴えない動き、(3)パウエルFRB議長発言を控えた警戒感が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0712まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力や、(5)シュナーベルECB専務理事による「金利はさらに大きく着実に上昇する必要がある」とのタカ派的な発言、(6)欧州株の持ち直しが支援材料となり、日本時間23時過ぎには、一転して1.0759まで反発する動きとなりました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間1/11午前5時40分現在)では、1.0734前後で推移しております。尚、昨日はポルトガル中銀センテノ総裁より「利上げプロセスの終了に近づいている」との発言が見られましたが、ユーロ売りでの反応は限定的となりました。
本日の見通し
ドル円はアジア時間朝方に一時131.40まで下げ幅を広げるも、前日安値131.30をバックに下げ渋ると、海外勢参入後に132円台半ばへと持ち直しました。しかし、アップサイドに複数のレジスタンスポイント(一目均衡表転換線、基準線、ボリンジャーミッドバンド、21日移動平均線など)が控えていることや、複数の売りシグナル(一目均衡表三役逆転やダウ理論の下落トレンド)が点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、上値余地は乏しいと判断できます(下落トレンド継続中→年明け1/3に記録した約7ヵ月ぶり安値129.51が射程圏内)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、日米金融政策の方向性の違い(利上げ最終局面の米国と、金融緩和脱却をこれから見据える日本との金融政策におけるタイムラグ→日米名目金利差縮小観測→円キャリートレード逆流懸念)や、原油価格下落に伴う本邦貿易収支の改善期待(構造的な円売り圧力の減退)など、ドル円相場の下落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。但し、本日に限って見れば、米10年債入札以外に目立った経済イベントが予定されておらず、また、明日1/12に今週のメインイベントとして注目されている米12月消費者物価指数を控えているため(様子見ムードが広がり易いため)、アジア時間・海外時間を通して、方向感を見出しづらい時間帯が続きそうです。
本日の予想レンジ:131.75ー132.75
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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