ドル円 米経済指標の内容次第で荒い値動き継続も(週報1月第2週)

先週のドル/円相場は、結果ドルが小じっかり。ザラ場ベースでは一時7ヵ月ぶりに130円を割り込む局面も見られたが、そののちはむしろドル買い戻しが優勢だった。

ドル円 米経済指標の内容次第で荒い値動き継続も(週報1月第2週)

ドル円 米経済指標の内容次第で荒い値動き継続も

〇先週のドル円、安値129.51まで下げた後134.78まで反発、週末にかけ132.10レベルへ再び軟化
〇米雇用統計の良好な結果、FOMC議事要旨のタカ派的内容でドル買戻しが優勢に
〇その後はISM非製造業指数悪化で再度ドル売りに
〇今週は12月消費者物価指数、1月ミシガン大消費者信頼感指数速報値発表等に注目
〇132-133円台を中心とした展開を予想、指標の結果次第では荒っぽい変動に要注意
〇今週のドル円予想レンジは130.00-134.80、ドル高円安方向は21日線の攻防(週明け133.80-90)注目
〇ドル安円高方向は131.69が目先のサポート、下回ると130円前後、先週安値129.51なども視界内に

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、結果ドルが小じっかり。ザラ場ベースでは一時7ヵ月ぶりに130円を割り込む局面も見られたが、そののちはむしろドル買い戻しが優勢だった。

前週末は、「中国に対する水際対策を実施しない」と明言していた英国が前言を翻したとして話題に。またフランスも中国からの渡航者にコロナ検査を義務付けする旨を明らかにしている。なお、それとは別に12月31日と1月1日、北朝鮮が連日にわたり弾道ミサイルを発射したようだ。
そうした状況下、ドル/円は前週末NYクローズよりもやや円高の131円前後で寄り付いた。その後もドル売り・円買い優勢の展開をたどると、7ヵ月ぶりの130円割れ。週間安値129.51円を示現したものの、以降は逆に緩やかな右肩上がり。寄り付きレベルをあっさり超えると、ドルは一段高の様相で週間高値134.78円まで上伸している。ただ、最後の最後にドルは再び軟化すると、週末NYは132.10円レベルで大引け、越週となった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「中国情勢」について。
前者は、先週は週間を通して発表された米経済指標に翻弄されたといえるかもしれない。4日に発表されたISM製造業指数は予想を下回ったことで失望を誘うも、同日公表された先月の米FOMC議事録が「当局者はさらなる利上げが必要になると認識」などとし、多くが予想していた内容よりもタカ派的な表現に。また、その翌日に発表されたADP雇用統計、そして週末6日の米雇用統計も良好な内容となり、ともにドルの買い戻しに繋がっていたようだ。ただ、週間の掉尾を飾る米経済指標、ISM非製造業総合指数はまさかの悪化。それも分岐点とされる「50」を下回ったことで、再びドル売りに傾斜している。なお、そうしたなかミネアポリス連銀総裁から、2023年に「少なくともあと1.0%の利上げが必要」とのコメントも発せられていた。

対して後者は、中国が打ち出した「ウィズコロナ」政策について、当初は水際対策に否定的だった英国、EUがともに「中国からの航空機の搭乗者に陰性証明の提出を求めるよう強く奨励することで合意」したと発表されている。それに対し中国は、日米英やEUなどによる入国規制等の対策を批判したうえで、「対抗措置」をとる姿勢を示していた。一方、そうしたなか英紙FTが「EU、中国にコロナワクチンの提供を申し出」と報じ一時話題になるも、メンツを重んじる中国サイドはこれを拒否したもよう。また、WHOで緊急事態対応を統括するライアン氏は記者会見で、中国の新型コロナ死亡認定に疑問を呈し、「実態が過少報告されている」などと強く非難をしていたようだ。

<< 今週の見通し >>

2023年の幕開けとなる先週のドル/円は、なかなか荒い値動き。一週間の値動きをざっくりたどっても、「131.00円→129.50円→134.80円→132.10円」とかなりの乱高下をたどったことがうかがえる。テクニカルには、前記した129円半ばで目先下値、134.80円で同高値をつけた感もうかがえるが果たして如何に。基本的には居心地の良さそうな132-133円台を中心とした展開が予想されるものの油断は禁物か。先週同様、発表される米経済指標の内容次第では引き続き荒っぽい変動も。
市場では引き続き日米金利差が着目されている。しかし、今年4月の黒田日銀総裁任期切れにともなう「異次元緩和」政策の転換観測は根強いものの、米国については見方が混在している状況だ。4日の米FOMC議事録によると、米国が予想以上に金融引き締め政策を長く続ける可能性もあるが、米経済指標は斑模様。もう少し米インフレ状況やファンダメンタルズを見極めたいとの見方も。折しも、今週は12月の米消費者物価指数などが発表される予定で、その内容には要注意だ。また、週末13日に実施される日米首脳会談にも一応注意しておきたい。

テクニカルに見た場合、昨年のドル/円は年間を通し38円を超える変動を記録したが、取り敢えずそうした「非常によく動く」という流れは今2023年も継続されていた。実際、先週だけで5円を超える上下動が観測されている。基本的には上下とも目先高値を確認、目先は次の方向性を探る展開をたどることが予想されるものの、昨年そして先週の動きを考えると予断を許さない。130円or135円のいずれかをしっかり抜けるようなら、今週も荒れた動きをたどっても不思議はないだろう。

今週は、12月の消費者物価指数や1月のミシガン大消費者信頼感指数速報値などの米経済指標の発表が予定されている。前述したように、先週は発表される米経済指標の内容をめぐり思惑が交錯。金融市場の波乱要因となっていただけに、今週も上記2指標を中心に十分な注意を払いたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、130.00-134.80円。ドル高・円安については、先週末のNYクローズでは割り込んでいる移動平均21日線(週明けは133.80-90円)の攻防にまずは注目。超えれば先週高値134.78円がターゲットに。
対してドル安・円高方向は、5日安値131.69円がごく目先のサポートで、下回ると130円前後、先週安値129.51円なども視界内に。底堅いイメージもあるが、それでも下げ始めると意外にスピードは速そうだ。

ドル円 米経済指標の内容次第で荒い値動き継続も

ドル円日足

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