ドル円、ロンドンフィキシングに絡む需給要因で一時132円台後半まで急上昇(1/5朝)

4日(水)のドル円相場は下落後に大幅上昇。

ドル円、ロンドンフィキシングに絡む需給要因で一時132円台後半まで急上昇(1/5朝)

ドル円、ロンドンフィキシングに絡む需給要因で一時132円台後半まで急上昇

〇ドル円、リスク回避の円買い、日銀の金融緩和再修正観測等に欧州朝方129.93まで下落
〇その後は、ロンドンフィキシングでのドル買いやFOMC議事要旨のタカ派的内容に132.72まで急伸
〇ユーロドル、米金利低下、欧州株の上昇等に1.0635まで反発後、FRBのタカ派姿勢に反落
〇ドル円反発するも上方に複数のレジスタンスポイント控え、売りシグナルも点灯中、上昇余地乏しいか
〇ファンダメンタルズも日米名目金利差縮小観測根強い
〇ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:131.25ー133.25

海外時間のレビュー

4日(水)のドル円相場は下落後に大幅上昇。(1)日経平均株価の冴えない動き(リスク回避の円買い圧力)や、(2)本邦輸出企業の実需のドル売り、(3)米金利低下に伴うドル売り圧力、(4)日銀による金融緩和の修正観測(1/17ー1/18に開催される日銀金融政策決定会合で物価見通しが上方修正されるとの思惑)などが重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値129.93まで下落しました。しかし、前日記録した約7ヵ月ぶり安値129.51をバックに下げ渋ると、(5)ミネアポリス連銀カシュカリ総裁による「FRBは目標金利を維持すべきで金利水準は5.4%になることを見込む」とのタカ派的な発言や、(6)米11月JOLT雇用動態調査(結果1045.8万件、予想1005.0万件)の市場予想を上回る結果、(7)ロンドンフィキシングに絡む強烈なドル買い・円売り(短期筋の大規模ショートカバーを誘発)、(8)FOMC議事要旨の「FRBはインフレリスクを重要なファクターとして認識」「2023年中に政策金利の引き下げが適切となると予想するメンバーは居ない」「FF金利の継続的な引き上げが適切」とのタカ派的な内容が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値132.73まで急伸しました。

引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間1/5午前5時30分現在)では、132.55前後で推移しております。尚、昨日発表された米12月ISM製造業景況指数(結果48.4、予想48.6、前回49.0)は市場予想を下回る冴えない結果となりましたが、市場の反応は限定的となりました。

4日(水)のユーロドル相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値1.0542まで下げ幅を広げるも、前日安値1.0520をバックに下げ渋ると、(1)米金利低下に伴うドル売り圧力や、(2)欧州株の堅調推移(ユーロ圏のインフレ鈍化期待→ECBの金融引き締めスタンスが弱まるとの思惑→市場心理改善→株高・ユーロ高)、(3)短期筋のショートカバーが支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値1.0635まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(4)ミネアポリス連銀カシュカリ総裁のタカ派的な発言や、(5)米11月JOLT雇用動態調査の力強い結果、(6)対主要通貨でのドル買い再開が重石となり、本稿執筆時点(日本時間1/5午前5時30分現在)では、1.0605前後で推移しております。尚、昨日発表されたドイツ12月非製造業PMI確報値(結果49.2、予想49.0)、ユーロ圏12月非製造業PMI確報値(結果49.8、予想49.1)は共に市場予想を上回る結果となりましたが、ユーロ買いでの反応は限定的となりました。

本日の見通し

ドル円は前日1/3に記録した約7ヵ月ぶり安値129.51をボトムに反発に転じると、昨日はショートカバー主導で一時132.73まで急伸しました(僅か1日で3.22円の値幅で急上昇)。但し、上方に複数のレジスタンスポイントが控えていることや、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転が継続点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、上値余地は乏しい(ここからの更なる上昇は容易では無い)と判断できます。特に昨日の急上昇はファンダメンタルズ主導ではなく、ロンドンフィキシングに絡む一時的な需給に起因している公算が大きいため、一巡後の急反落リスクに警戒が必要でしょう。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め休止観測(FOMC議事要旨はタカ派的な結果となりましたが、米債市場の反応は限定的。FRBメンバーの意図とは裏腹に2023年後半の利下げ開始を織り込む動きが継続中)や、(2)日銀による金融緩和の追加修正観測(1/18の会合で物価見通しを上方修正し、3/10会合で追加的なサプライズ政策修正を実施するとの思惑)、(3)上記1、2を背景とした日米名目金利差縮小観測とそれに伴う円キャリートレードの解消懸念、(4)原油価格低下に伴う本邦貿易赤字の縮小観測(構造的な円売り減退)など、ドル円相場の下落を連想させる材料が揃っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(本日アジア時間帯は短期間で上昇した反動でドル売り・円買いが強まる公算大)。尚、本日は米12月ADP雇用統計(22:15)や、米11月貿易収支(22:30)、米新規失業保険申請件数(22:30)、アトランタ連銀ボスティック総裁発言(23:20)、セントルイス連銀ブラード総裁発言(27:20)などに注目が集まります。


本日の予想レンジ:131.25ー133.25

注:ポイント要約は編集部

ドル円、ロンドンフィキシングに絡む需給要因で一時132円台後半まで急上昇

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