ドル円見通し 日銀ショック暴落に対する半値戻しに到達、持ち直しで6営業日経過(12/29)

ドル円は12月28日昼過ぎに134.40円へ上昇、夜に133.39円まで反落したところを買われて29日早朝には134.49円へ高値を切り上げた。

ドル円見通し 日銀ショック暴落に対する半値戻しに到達、持ち直しで6営業日経過(12/29)

ドル円見通し 日銀ショック暴落に対する半値戻しに到達、持ち直しで6営業日経過

〇ドル円、29日早朝に134.49へ高値切り上げ、日銀ショック後の暴落の半値戻しラインの134.02を超えた
〇米債利回り上昇、黒田総裁の出口戦略否定、日銀「主な意見」の緩和政策の調整との姿勢がドル円支持
〇さらに日銀ショックそのものを解消するレベルへと上昇継続しうるのかは疑問符も付くところ
〇中国の感染対策緩和、当初楽観材料と受け止められたが、市中感染爆発で景気への悲観的見方優勢に
〇133.70以上での推移中は134.30超えから上昇再開、134.50超えからは135円を目指す上昇を想定
〇133.50割れからは12/21以降の戻り一巡による下落期入り警戒、133.00、132.50を順次試す下落想定

【概況】

ドル円は12月28日昼過ぎに134.40円へ上昇、夜に133.39円まで反落したところを買われて29日早朝には134.49円へ高値を切り上げた。12月20日の日銀金融政策修正による「日銀ショック」暴落で当日の直前高値137.47円から21日未明安値130.56円まで6.91円の大幅下落となったが、売り一巡後の買い戻しによりジリ高での推移を続け、日々戻り高値を切り上げながら6営業日を経過して日銀ショック暴落に対する半値戻しラインの134.02円を超えた。12月16日未明に付けた12月2日安値以降の高値138.17円から21日未明安値までは7.61円の下落幅で半値戻しは134.37円だったがこれもクリアした。ただし12月20日の暴落は12月14日安値134.56円を割り込んでの一段安であり、まだ12月14日安値水準には到達できずにいる。

12月27日から28日にかけては米長期債利回りが上昇していることでドル円が押し上げられた。また12月26日の黒田日銀総裁講演での出口戦略否定発言や28日の「日銀金融政策決定会合(12月19-20日開催分)における主な意見」でもあくまでも金融緩和政策の調整範囲との姿勢が示されたことも円安要因となったようだ。しかし12月20日暴落に対する半値戻し到達まで戻したところからさらに日銀ショックそのものを解消するレベルへと上昇継続しうるのかどうかは疑問符も付くところだ。

【日銀は出口戦略へ進んでいるのか、市場も模索するところ】

12月28日に日銀は12月19-20日に開催して日銀ショックを招いた金融政策決定会合における「主な意見」を公表した。日銀は長期金利をゼロ%へ誘導するために許容変動幅を従来の上下0.25%から上下0.50%へと拡大したが、これに対しては「現行の緩和を世界的なインフレ下でより持続可能にするための対応」(ある委員)とし、「長期金利の指標となる国債価格のゆがみといった債券市場の機能不全を回避するための政策見直しが必要」との声を反映したものとした。許容変動幅の修正について委員の一人は「金融緩和の出口に向けた変更ではない」と主張したが、「いずれかのタイミングで金融緩和政策の検証を行い効果と副作用のバランスを判断すべき」、「将来の出口局面では金利上昇に伴うリスクや市場参加者の備えの確認が必要」との意見もあった。

12月26日に黒田総裁は講演においてあくまでも金融緩和政策の調整であり出口戦略ではないとの姿勢を強調した。実際に長期金利上昇抑制のための主たる対象である10年債の利回りが突出して低下するゆがみがあり国債市場に機能不全が見られたことは確かであり、その修正という言い分も正当ではある。12月28日には2年債や5年債等でも臨時の指値オペによる買い入れが実施されており、長期金利全般を抑制しようとする姿勢も見られる。だが、政府がアベノミクスから脱却し始め日銀も異次元金融緩和を終了してゆくとの市場の見方も根強い。10年債利回りは12月20日の政策修正を受けて0.25%近辺から0.48%へ急上昇し、その後は新たな高値水準超えには至らずにいるものの12月28日は0.45%とこの間の高水準状態を維持している。当面は日銀ショックを消化しきれたのかどうか、市場の模索も続く。

【米長期債利回りは連騰】

12月28日の米長期金利指標である10年債利回りは前日比0.03%上昇の3.88%で終了した。一時は3.81%まで低下したところから3.89%まで反騰しており、12月27日の前日比0.10%上昇からの連騰とした。
30年債利回りは0.04%上昇の3.97%で12月27日の0.10%上昇から連騰した。2年債利回りは0.02%低下の4.36%で終了したが4.33%まで低下したところから持ち直している。

中国が感染対策における入国規制を年明けから緩和するとしたことについて当初は景気回復へ寄与する楽観材料と受け止められたものの市中感染の爆発が続いていることで世界全体の景気後退へのトリガーとなりかねないと悲観的な見方が優勢となっている。またサプライチェーン混乱により世界規模のインフレが長期化して欧米の利上げ期間長期化への懸念も拡大しており、米長期債利回りの上昇再開感が強まっているようだ。このことは米国株安にも波及しており12月28日のNYダウは前日比365.85ドル安、ナスダック総合指数も同139.94ポイント安と下落している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は日銀ショックによる暴落一服で12月21日未明安値130.56円から戻り高値を切り上げつつ安値も底上げしてきたため、12月26日午前に小反落したところを起点として新たな上昇期に入ったとみて高値形成期を30日深夜にかけての間と想定した。
12月29日早朝へ一段高したが、その後に134円割れまで反落しているため既に戻り一巡から下落期に入っている可能性がある。133円台後半へ下げても134円台を回復する場合は上昇再開とするが、133.50円割れからは下落期入りとみて1月2日にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では12月29日午前の下落で遅行スパンは悪化しやすい位置にある。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンへ潜り込むところからは下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は12月29日早朝への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られるため既に反落期に入っている可能性があると注意し、60ポイント台回復からは上昇再開とするが50ポイント以下での推移中は下向きとし、45ポイント割れからは30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、133.50円を下値支持線、134.50円を上値抵抗線とする。
(2)133.70円以上での推移中は134.30円超えから上昇再開とし、134.50円超えからは135円を目指す上昇を想定する。135円前後は反落警戒とするが、133.50円以上での推移か、直前高値から1円を超える反落とならないうちは30日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)133.50円割れからは12月21日以降の戻り一巡による下落期入りと警戒して133.00円、132.50円を順次試す下落を想定する。133.50円を割り込んでの推移なら30日も安値試しへ向かいやすいとみる。また下げ足が速まる場合は132円台を維持できるか試す可能性もあるとみる。

【1月序盤に向けての補足】

10月21日高値からの下落規模は、月足レベルで大天井となった可能性を示唆する規模となっているが、大幅下落後の揺れ返しもまた大きくなる可能性もある。130円割れを回避して8月2日安値130.39円に迫ったところからの切り返しのため、当面は131円前後の水準は買い戻しも入りやすく、12月21日未明安値を割り込んでの一段安入りへ進むにはまだ時期尚早の感がある。また10月21日高値を頭とした三尊天井を想定すれば、7月14日高値の左肩と対称となる右肩形成により137円から140円手前にかけての水準にを試し、その後の反落から三尊天井完成への下落期入りとなるケースも考えられるのではないかと思われる。

【当面の主な予定】

12/29(木)
東証大納会
18:00 欧州中銀(ECB)経済報告
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 21.6万件、予想 22.5万件)
22:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 167.2万人、予想 168.6万人)
25:00 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省7年債入札

12/30(金)
休場、韓国、ブラジル、フィリピン
16:00 (英) 12月 ネーションワイド住宅価格 前月比 (11月 -1.4%、予想 -0.7%)
19:00 (日) 外国為替平衡操作実施状況(介入実績)
23:45 (米) 12月 シカゴ購買部協会景況指数 (11月 37.2、予想 39.5)

注:ポイント要約は編集部

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