ドル円見通し 日銀ショックからの持ち直しも133円台序盤では上値重い(22/12/27)

26日の欧州時間には133.22円をつけた。しかし133円台を維持できず27日午前序盤には132.60円台へ失速気味となっている。

ドル円見通し 日銀ショックからの持ち直しも133円台序盤では上値重い(22/12/27)

ドル円見通し 日銀ショックからの持ち直しも133円台序盤では上値重い

〇ドル円、日銀ショックによる暴落一服で高値を徐々に切り上げる中、12/26午前132.30まで反落
〇その後買われ、欧州時間に133.22をつけるも133円台維持できず、12/27午前序盤132.60台へ失速気味
〇日銀黒田総裁、講演で出口戦略を否定、金融緩和政策継続姿勢を強調
〇132.50以上での推移中は上昇余地ありとし、133.22超えからは133.50前後への上昇を想定する
〇132.30割れからは12/21未明からの戻り一巡とみて、131円台後半への下落を想定する

【概況】

12月26日は欧米やオセアニア市場が総じて休場となり主要経済指標の発表はなく手掛かりに欠けた。
ドル円は12月20日の日銀ショックによる暴落が一服しており、21日未明安値130.56円を起点として戻り高値を徐々に切り上げている。12月21日夜高値132.52円、22日深夜高値132.72円、23日深夜高値133.14円と高値を徐々に切り上げ、26日午前に132.30円まで反落したところを買われて26日の欧州時間には133.22円をつけた。しかし133円台を維持できず27日午前序盤には132.60円台へ失速気味となっている。
12月26日昼に黒田日銀総裁講演があり、先の金融政策修正は出口戦略ではないと述べたことでややドル高円安反応を招いたとの見方もあるが、市場は出口戦略への一歩と受け止めて暴落し、出口戦略へ向けた修正の継続を警戒して戻りも鈍い。

【日銀黒田総裁、出口戦略を否定】

12月26日に日銀の黒田総裁は都内の講演で12月20日の金融政策修正については「出口の一歩では全くない」と述べて金融緩和政策継続姿勢を強調した。
日銀は12月20日に長期金利のゼロ%誘導のための許容変動幅上限を従来の0.25%から0.50%へ引き上げ、市場はこれを「事実上の利上げ」と受け止めた。これに対して黒田総裁は「金融緩和を持続的かつ円滑に進めるための対応」とし、国債市場の取引縮小による機能不全を是正して「金融緩和効果をより円滑に波及させていくもの」とした。また日本の現状について「バブル崩壊以降の長きにわたる低インフレ低成長の流れを転換できるか重要な岐路に差し掛かっている」とし、「金融緩和を続けることで賃金上昇を伴う形で物価目標の持続的・安定的な達成を目指す」と述べた。

日銀は12月20日の政策修正においては毎営業日の指値オペによる無制限国債購入を継続しており、10年債以外の年限についても指値オペを実施している。マイナス金利の維持と量的金融緩和の維持を含めて必ずしも金融引き締めへの政策転換を示すものではないと解釈できる。しかし、長期金利の無理な抑制が国債市場の機能不全を招いていることで変動許容幅を拡大せざるをえなかったことは市場による長期金利上昇要求に日銀が屈したことを示すものでもある。また来年4月の任期切れが迫る中でアベノミクスと呼応した黒田日銀による異次元金融緩和政策の修正に着手した状況を示すことで後任総裁による政策転換への布石として政策転換後の批判をかわしたいという側面もあるのではないかと思われる。いずれにせよ、市場は出口へ向かい始めた流れと受け止めており、黒田総裁在任中の追加修正の可能性も含め、後任総裁による大きな政策転換も意識しているところと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は日銀ショックによる暴落一服で12月21日未明安値130.56円から戻り高値を切り上げつつ安値も徐々に底上げしてきているが133円台序盤では上値が重い印象も出始めている。暴落型の下落で短期間に売り材料を消化して出直りに入ったという印象には至らず、予想外のサプライズによる暴落後も市場心理が改善しきらずに一段安への懸念を抱えた状況と思われる。
12月26日午前安値132.30円を上回るうちは28日にかけて戻り高値の切り上げを試す可能性があるとみるが、26日午前安値割れからは戻り一巡で再び安値試しへ向かう流れとみて年末にかけて12月21日未明安値130.56円を試しに向かうのではないかと考える。

60分足の一目均衡表では12月21日未明安値からの戻りを継続してきたことで遅行スパンが好転し、先行スパンを上抜いている。12月26日午前の下げでも先行スパン上限が支持線となって持ち直しているのでまだ上昇余地が残るが、先行スパンから転落する場合は戻り一巡による下落期入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は12月23日深夜に70ポイント台へ到達したところから26日午前の下落時に40ポイントまで下げ、その後の高値更新に際しては指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られるので、50ポイント以下での推移が続く場合は下向きとし、40ポイント割れからは20ポイント台を目指す下落期入りと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月26日午前安値132.30円を下値支持線、133.22円を上値抵抗線とする。
(2)132.50円以上での推移中は上昇余地ありとし、133.22円超えからは133.50円前後への上昇を想定する。ただし133.50円以上は反落注意とし、その後の133円割れからは下げ再開へ向かいやすくなるとみる。
(3)132.30円割れからは12月21日未明からの戻り一巡とみて131円台後半(132.00円から131.50円)への下落を想定する。131.70円以下は反発注意とするが、132.30円を割り込んでの推移なら28日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

12/27(火)
休場、豪、NZ、香港、英、加、南ア
14:00 (日) 11月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (10月 -1.8%、予想 1.5%)
22:30 (米) 11月 卸売在庫 前月比 (10月 0.8%、予想 0.4%)
23:00 (米) 10月 連邦住宅金融局住宅価格指数 前月比 (9月 0.1%、予想 -0.7%)
23:00 (米) 10月 ケース・シラー住宅価格指数 前年同月比 (9月 10.4%、予想 8.0%)
27:00 (米) 財務省2年債入札

12/28(水)
08:50 (日) 11月 鉱工業生産速報値 前月比 (10月 -3.2%、予想 -0.3%)
08:50 (日) 11月 鉱工業生産速報値 前年同月比 (10月 3.0%、予想 -1.5%)
08:50 日銀金融政策決定会合における主な意見(12月19-20日開催分)
24:00 (米) 12月 リッチモンド連銀製造業指数 (11月 -9、予想 -10)
24:00 (米) 11月 住宅販売保留指数 前月比 (10月 -4.6%、予想 -0.5%)
24:00 (米) 11月 住宅販売保留指数 前年同月比 (10月 -36.7%)
27:00 (米) 財務省変動利付2年債、5年債入札



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