ドル円見通し 12月2日以降の持ち合い放れのきっかけとなるか日銀金融政策決定会合に注目(22/12/20)

136円割れを買い戻されて確りしたことで持ち直しに入り、19日夜の米長期債利回り上昇を見て20日未明には137円台序盤まで切り返した。

ドル円見通し 12月2日以降の持ち合い放れのきっかけとなるか日銀金融政策決定会合に注目(22/12/20)

12月2日以降の持ち合い放れのきっかけとなるか日銀金融政策決定会合に注目

〇ドル円、12/19早朝に政府日銀共同声明の変更観測報道から、先週末終値136.69から136円割れへ一段安
〇その後報道内容の否定、136円割れ買い戻し、米長期債利回り上昇から、137円台序盤へ切り返し
〇本日の日銀金融政策決定会合と黒田総裁記者会見、変化があるのか注目集まる
〇米10年債利回りは週末から連騰、NYダウ・ナスダックともに4営業日続落
〇136.30以上での推移中は一段高余地ありとし、137.30超えから12/16未明高値138.17試しとする
〇136.30割れから続落の場合は135.74円試しとし、安値更新からは134円台後半への下落を想定する

【概況】

ドル円は12月19日早朝に政府日銀の共同声明による2%物価目標姿勢の変更観測が報じられたことで先週末終値136.69円から136円割れへ一段安となった。その後に松野官房長官が報道内容を否定したことと昼前及び夕刻の136円割れを買い戻されて確りしたことで持ち直しに入り、19日夜の米長期債利回り上昇を見て20日未明には137円台序盤まで切り返した。
本日は日銀金融政策決定会合2日目となり昼前後に金融政策の発表があるが、物価目標について政府・日銀間での議論もあったとすれば政策姿勢の微妙な変化を提示する可能性もあるところとして注目したい。
12月19日夕刻の独12月IFO景況指数が88.6となり11月の86.4及び市場予想の87.5を上回ったところでユーロが戻り高値を切り上げたもののその後は米長期債利回り上昇に抑え込まれて失速した。19日深夜の米12月NAHB住宅指数は31となり11月の33及び市場予想の34を回ったが市場反応は限定的だった。

【日銀金融政策の微妙な変化はあるのか】

日銀は12月19-20日の金融政策決定会合で昼前後に声明文を発表、午後に黒田総裁会見を持つ。19日早朝は通信社報道で2%物価目標への姿勢変更の可能性が報じられたことで円高反応が起きたが、最近のインフレ進行を踏まえて目標のとらえ方や取り組み姿勢に変化があるのか注目される。
市場の大半はマイナス金利、量的緩和による資産購入、指値オペによる長期債利回り上昇の抑制といった金融緩和政策の三本柱は現状維持と見込んでいる。欧米のインフレ率が鈍化し始めていることと主要中銀の利上げペースが減速していることも踏まえ、来年4月の黒田総裁任期満了までは現状維持が続くと思われる。12月14日に発表された全国企業短期経済観測調査(日銀短観)では10-12月期の大企業製造業業況判断が7-9月期の8から7へ低下して先行きについても前期の9から6へ低下、非製造業は業況判断が前期の14から19へ改善したが先行きについては前期と変わらずの11にとどまり、設備投資の前年比見通しも前期の21.5%から19.2%へ低下しているため、日銀としてはインフレ抑制のために金融緩和を緩める状況にはないだろうと思われる。

【米10年債利回りは週末から連騰、NYダウは4営業日続落】

12月19日の米長期債利回りは総じて上昇した。米長期金利指標の10年債利回りは前週末比0.10%上昇の3.59%となり16日の0.04%上昇からの続伸となった。30年債利回りも0.09%上昇で16日の0.05%上昇から続伸、2年債利回りは16日に0.06%低下したものの19日は0.08%上昇の4.26%へと切り返した。
12月15日未明の米FRB、15日夜の英中銀とECBが揃って利上げペースを減速させたもののいずれも金融引き締めの長期化に伴う景気後退懸念を強く示唆したことで市場の関心は「利上げペース減速から早期利下げ期待」という楽観が後退して「利上げ長期化と景気後退への不安」が勝る状況となりつつある。利上げそのものはまだ続き2023年の利上げ状態の継続感も強まったことで米長期債利回りとしては大幅低下が落ち着いてややリバウンド気味の推移に入ってきている印象だ。

一方でNYダウは4営業日続落となり19日は前日比162.92ドル安と下落、ナスダック総合指数も159.38ポイント安で4営業日続落となり安値で10497.55ポイントをつけたが、10月後半からの戻りはNYダウと比較して鈍く中勢レベルでは下げ渋り程度であり昨年11月天井以降の最安値である10月13日安値10088.83ポイントへの余裕も乏しくなっている。
12月19日は上海総合株価指数が1.9%安と大幅下落したが、10月末からの反騰一巡による下落再開感が強まる下げ方であり、感染抑制政策での規制緩和による景気拡大期待よりも市中感染爆発による景気悪化懸念が勝り始めている印象で、欧米株安にも悪影響を与えている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は12月16日未明高値138.17円から19日夕安値135.74円まで2.43円の下落となったものの14日夜安値134.56円割れには至らずに137円台序盤へ切り返して直前の下げ幅に対して半値以上を戻している。ひとまず19日夕安値を起点として上昇再開を試す流れとみるが、12月7日高値以降は徐々に高値ラインが切り上がっているものの138円前後で戻り売りにつかまる持ち合いの様相でもある。
当面、12月19日夕安値割れを回避するうちは138.17円超えからさらに上昇感を強める可能性ありとみて20日夜から23日未明にかけての間への上昇を想定する。ただし、19日夕安値135.74円を割り込む場合は新たな下落期入りとみて22日夕から26日夕にかけての間への下落を想定し、12月2日安値133.60円を試す流れとみる。

60分足の一目均衡表では12月20日未明絵の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜きつつあるので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。ただし遅行スパンが再び悪化するところからは下げ再開とみて安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は12月19日早朝に30ポイント台へ低下してから60ポイント近辺まで戻しているので、50ポイント以上での推移中は70ポイント超えを試す可能性ありとするが、50ポイント割れを下向きとし、40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台を目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、136.30円を下値支持線、137.30円を上値抵抗線とする。
(2)136.30円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは一段高余地ありとし、137.30円超えから12月16日未明高値138.17円試しとし、高値更新からは138円台中盤(138.30円から138.70円)を目指す上昇を想定する。
(3)136.30円割れから続落の場合は12月19日夕安値135.74円試しとし、安値更新からは新たな下落期入りとみて134円台後半への下落を想定する。136円以下での推移なら21日も安値試しへ向かいやすいとみる。また急落商状の場合は12月21日から23日にかけて12月2日安値133.60円を目指す流れと考える。

【当面の主な予定】

12/20(火)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
15:30 (日) 黒田日銀総裁、記者会見
16:00 (独) 11月 生産者物価指数(PPI) 前月比 (10月 -4.2%、予想 -2.5%)
18:00 (欧) 10月 経常収支・季調済 (9月 -81億ユーロ)
22:30 (米) 11月 住宅着工件数・年率換算 (10月 142.5万件、予想 140.0万件)
22:30 (米) 11月 住宅着工件数 前月比 (10月 -4.2%、予想 -1.8%)
22:30 (米) 11月 建設許可件数・年率換算 (10月 152.6万件、予想 148.5万件)
22:30 (米) 11月 建設許可件数 前月比 (10月 -2.4%、予想 -2.1%)
24:00 (欧) 12月 消費者信頼感・速報値 (11月 -23.9、予想 -22.0)

12/21(水)
06:45 (NZ) 11月 貿易収支 (10月 -21.29億NZドル)
16:00 (独) 1月 GFK消費者信頼感 (12月 -40.2、予想 -38.0)
22:30 (米) 7-9月期 経常収支 (4-6月 -2511億ドル、予想 -2250億ドル)
24:00 (米) 11月 中古住宅販売件数・年率換算 (10月 443万件、予想 420万件)
24:00 (米) 11月 中古住宅販売件数 前月比 (10月 -5.9%、予想 -5.2%)
24:00 (米) 12月 コンファレンスボード消費者信頼感指数 (11月 100.2、予想 101.0)
24:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
27:00 (米) 財務省20年債入札



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