ドル円、タカ派な米欧金融政策イベントを経て急上昇。リスク回避のドル買い再開(12/16朝)

15日(木)のドル円相場は急上昇。

ドル円、タカ派な米欧金融政策イベントを経て急上昇。リスク回避のドル買い再開(12/16朝)

ドル円、タカ派な米欧金融政策イベントを経て急上昇。リスク回避のドル買い再開

〇ドル円、米国時間午後にかけ138.18まで急伸後、引けにかけて反落、137円台前半で推移
〇株価下落によるリスク回避の動き、ECB理事会後の対ユーロでのドル買い再開等がドル買いの背景
〇ユーロドル、ECBのタカ派姿勢に1.0735まで急伸後、欧州株の大幅続落等に1.0593まで急落
〇ドル円、上方に複数のレジスタンスポイント並び上値余地は限定的か
〇ファンダメンタルズも日米金利差縮小観測や原油価格下落による本邦貿易赤字縮小が重石に
〇ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:136.50ー138.50

海外時間のレビュー

15日(木)のドル円相場は急上昇。アジア時間朝方にかけて、安値135.24まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、(1)日本時間早朝に発表された米FOMCが予想以上にタカ派的な結果(ドットチャートで2023年末の中央値が9月時点の4.6%から5.1%へ上方修正されると共に、5.25%以上を予測する参加者が7名存在することが判明)となったことや、(2)5・10日要因に伴う需給のドル買い・円売り、(3)株式市場の大幅下落(リスク回避のドル買い再開)、(4)短期筋のショートカバー(心理的節目136.00、137.00、138.00突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売り)、(5)対ユーロでのドル買い再開(ECB理事会およびラガルド総裁記者会見後に急伸したユーロドルが急反落)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、11/30以来、約2週間ぶり高値となる138.18まで急伸しました。

もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、引けにかけて反落し、本稿執筆時点(日本時間12/16午前5時00分現在)では、137.75前後で推移しております。尚、昨日発表された米12月ニューヨーク連銀製造業景気指数(結果▲11.2、予想▲1.0)、米11月小売売上高(結果▲0.6%、予想▲0.1%)、米12月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(結果▲13.8、予想▲10.0)、米11月鉱工業生産(結果▲0.2%、予想0.2%)は軒並み市場予想を上回る結果となりましたが、ドル円相場への影響は限定的となりました。

15日(木)のユーロドル相場は乱高下。(1)ECB理事会にて政策金利が予想通り2.50%に引き上げられると共に声明文で「一段の金利上昇を見込む」「金利は安定したペースで大幅に上昇する必要性あり」とのタカ派的な見解が示されたことや、(2)ラガルドECB総裁より「一定期間0.50%の利上げ継続を見込むべき」「ECBは市場が見込むよりもさらに金利で動くべき」とのタカ派的な発言が見られたこと、(3)一部メディアによる「0.75%の利上げを支持するメンバーが複数いた」とのタカ派的なヘッドラインが支援材料となり、米国時間午前にかけて、6/9以来、約6ヵ月ぶり高値となる1.0735まで急伸しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)欧州株の大幅下落や、(5)リスク回避のドル買い圧力、(6)短期筋のロスカット(俄かロングのロスカット)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0593まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間12/16午前5時00分現在)では、1.0635前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は12/14に記録した安値134.60をボトムに反発に転じると、米欧金融政策イベントを経て一時138円台前半へと急伸しました。背景にはインフレ鈍化の兆候が見られているにも係わらず、FOMC・ECBが共にタカ派的なスタンスを崩さなかったことによる、「実質金利上昇懸念→株式市場大幅下落→リスク回避のドル買い再開→ドル円上昇」の波及経路が挙げられます。但し、上方に複数のレジスタンスポイントが並んでいることや、強い売りシグナルを示唆する三役逆転が継続していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、上値余地は限定的(一巡後の反落リスクに要警戒)と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め継続の難しさ(ドットチャートは予想以上にタカ派的な結果となるも、実質金利上昇に伴うオーバーキルのリスクを考慮すれば、FEDが実際に5%を超えて利上げし続けることは難しい。事実、足元で株式市場が大幅下落に転じるなど、市場は金融引き締めの休止を催促する相場展開に)や、(2)ポスト黒田体制下での金融緩和修正観測(12/14付けの報道で「日銀が来年4月に発足する新体制下で金融政策の点検や検証を同年中に実施する可能性がある」とのヘッドラインあり)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差縮小観測(円キャリートレード逆流への警戒感)、(4)原油下落に伴う本邦貿易赤字の縮小期待(構造的な円売り圧力が幾分和らぐとの期待感)など、ドル円相場の下落を連想させる材料が揃っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(リスク回避のドル買いがリスク回避の円買いに転じるシナリオを想定)。尚、本日は米12月製造業・非製造業PMI速報値(23:45)に注目が集まります。

本日の予想レンジ:136.50ー138.50

注:ポイント要約は編集部

ドル円、タカ派な米欧金融政策イベントを経て急上昇。リスク回避のドル買い再開

ドル円日足

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