米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利について
(東京時間では2022年12月15日木曜日未明)
NY時間12月14日14時(水曜日)にFOMC会合の記者発表要旨が公表され、その後パウエルFRB議長の定例記者会見が予定(同14時半)されています。今回の市場予想は以下の通りになっています。
( 1 )政策金利(12月14日 9時00分現在の予想)
現在のFFレート「3.75%〜4.00」⇒0.50%利上げし「4.25〜4.50%」
(レンジは下限4.00〜4.50%{上限4.25〜4.75%}で、利上げ幅のレンジは0.25〜0.75%までを予想)
エコノミスト予想は中央値で50ベーシス(BP)の利上げ予想になっています。注目点としては、
@ FOMCメンバーの意見(下記4)を見る限り、多くの委員がインフレはまだ依然として高いと指摘しています。利上げ幅に関しては前回よりも減速との意見もあり、今回の市場予想50ベーシスは妥当な予想になっています。
A 下記(3)のCME Fedwatchでは、今回は50BP上げ予想が80%となり、大勢を占めており、残りは75BPの利上げになっています。
B 今回のポイントは最終FFレートが来年にどの位迄になるかを探ることになります。9月のドットプロットでは2023年に最大で4.75〜5.00%(19名中6名)でしたが、CME Fedwatchでは前回11月同様に来年5月会合で5.50〜5.75%迄の利上げ予想になっています((3)赤字)。前回11月時よりは予想割合が減っていますが、今回のドットプロットでここまでの上げを見ている委員がいれば、また上限が上がることで、利上げ継続姿勢を崩していないことになります。
C 記者発表要旨内で、景気を配慮した文言が入るか、逆にインフレ高止まりを強調した文言が入るかも注目したいと思います。また堅調な労働市場や賃金アップなどで、PCEとPCEコアの12月インフレ予想を上方修正(0.2%程度の上方修正)すると見ていますが、来年末が9月時点での予想が2.8%、3.1%でしたので、どの位の修正になるかを見ます。
D パウエルFRB議長の記者会見では、もし今回の利上げ幅が50ベーシスに留まった場合に、「FFレートの究極の水準は不透明で、今後のデータ次第である」ことと強調するか否か。これが無ければ、景気配慮との受けとめ方もでき、10年債金利が軟化する可能性があります。
以上が予想される項目と思われます。
( 2 )前回11月FOMC会合での議事要旨
11月23日公表分です。利上げ継続を確認した内容になっています。
FOMC議事要旨(一部抜粋)
(前略)
今後の会合での潜在的方針行動を議論するにあたり、参加者は委員会の2%目標にインフレを回帰させる強い付託を再確認し、FFレートの目標レンジの継続的引上げが、時間経過と共にインフレを引き下げるために十分に制限的な政策スタンスを達成するためには適切であると予想した。多くの参加者は、委員会の目標を達成するために必要とされるFFレートの究極的な水準に関しては著しい不確実性があり、その査定は一部では今後のデータ次第とコメントした。たとえそうでも、色々な参加者は、インフレが弱まっていく兆候が見えず、経済の需給不均衡が強い中、委員会の目標を達成するために必要とされるFFレートの究極の水準は、彼らがこれまで予想したよりも幾分高くなると指摘した。
参加者はFFレートの目標レンジの将来の引き上げペースに影響を与える幾つかの考慮事項について言及した。これらの考慮事項には、今日までの累積的引き締め、金融政策行動と経済活動やインフレ行動との間にある遅れ、経済や金融の進展などが含まれている。かなりの参加者は、金融政策が委員会目標を達成するために十分制限的なスタンスに近づくに連れて、FFレートの目標レンジ引き上げペースを遅らせることが適切になると述べている。加えて、参加者の大多数が、増加ペースの鈍化が直ぐにでも適切であると判断した。これらの状況下でペースを遅くすれば、最大雇用と物価安定に向け、その進展具合を委員会が査定することをより可能にする。(一部略)2・3の参加者は引き上げペースを遅らせることが金融システムの不安定リスクを低減できるとコメントした。他の2・3の参加者は、政策金利の引き上げペースを遅らせる前に、政策スタンスがより明確に制限的な領域に入り、インフレ圧力が著しく後退しているとのより具体的な兆候が現われるまで待つことが有効である可能性があると指摘した。
(以下略)
(以上)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
( 3 )CME Fedwatch
CME Fedwatchは大分すっきりしてきました。今回の利上げ予想を見ると、前回同様に5月及び6月会合で最大5.50〜5.75%までの利上げ予想になっています。因みに7月会合以降も上限はここまでです。現状では5月会合で利上げ打ち止めの見方になっています。9月のドットプロットでは最大4.75〜5.00%が最大でした。
利上げ予想(前回22/11/1時点)
(11月1日時点:前回)
利上げ予想(今回22/12/13時点)
(12月13日時点:今回)
最新の予想数値等は
CMEgroupのホームページをご参照ください
( 4 )最近のFRB関係者の主な発言(最近1・2週間分程度)
12月2日 エバンス・シカゴ連銀総裁 「政策金利は若干高めにピークを付ける可能性がある」
12月2日 バー・FRB副議長「インフレは高過ぎる」「今年後半と来年の金利についてはまだやるべきことがある」
12月2日 ウィリアムズ・NY連銀総裁「インフレは依然として高過ぎる」「インフレ率が緩和して目標達成するには数年かかるだろう」
12月1日 ボウマン・FRB理事「利上げペース減速は適切」「ターミナルレートは9月予想よりも僅かに高いだろう」
12月1日 パウエルFRB議長「ソフトランディングの可能性は十分にある」
12月1日 クックFRB理事 「インフレは依然として高過ぎる」「インフレデータに改善の初期兆候が見られる」
11月29日 パーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレは予想以上に厳しい」「インフレが高止まりしているなら、金利を上げ続ける必要」
11月23日 ジョージ・カンザスシティ連銀総裁「金利の引き上げが暫く続く可能性は十分にある」「賃金の伸びは依然として強い」
11月23日 メスター・クリーブランド連銀総裁「インフレ期待は引き続き抑制されている」
「金利をどの位引き上げる必要あるかはまだ明確でない」
11月22日 デイリー・SF連銀総裁「米国の労働市場は非常に堅調」「インフレは容認できないほど高い」「金利は4.75〜5.25%の範囲でピークに達する可能性があるとの私の見方は確定していない」
11月19日 コリンズ・ボストン連銀総裁「0.75%の利上げの可能性は依然としてある」
下記はユーロドルの週足チャートです。今年2月7日週の高値からの抵抗線A(=0.9680)を11月初旬に上抜けてからユーロ高が一段と強くなっています。現在は昨年5月31日週高値からの抵抗線B(=1.0580)も越え始めています。週足ですので、今週末の終値で判定しますが、ザラ場では上抜けになっています。一方、9月26日週底値からのサポートC(=0.9980)とそこから平行に上げた目安の上値D(=1.0360)のトレンドラインも上抜けているので、この点からもユーロは一段高狙いの余地が広がっています。当面は今年2・3月の底値と戻り高値のE(=1.1170)辺りが目安になります。もし、今週の上抜けが失敗するとまずD次いでCのサポートを試す押しの可能性が広がります。今日のFOMCと明日のECBで押しがあるのか、上値トライ継続か判定されそうです。
(2022年12月14日13:30、1ユーロ=1.0624ドル)
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