ドル円140円台回復、米長期金利反発と有事のドル買い継続で
16日午前の東京市場でドル円は下落後に急反発。朝方、139.19レベルで取引の始まったドル円は、序盤に一旦138.73レベルまで軟化する場面もありました。しかし、時間外の米長期金利が上昇傾向を見せると、ロシア製ミサイルのポーランド着弾報道からの地政学リスクの高まりによるドル買いと相まって急上昇。昼前に一時140.00の高値をつけた後、東京時間正午現在は139.90レベルで取引されています。
日経平均株価は、米主要株価指数が終盤にかけて下げながらもプラス圏で終了した流れを受けて前日比小幅なプラスで取引が始まったものの、ロシア製ミサイルのポーランド着弾からの地政学リスクの高まりを懸念して早々に売り優勢に転じ、下げ幅は一時200円を超えました。しかし、ロシア側の全面否定に加え、G7・NATOの緊急首脳会合の後、バイデン米大統領が「軌道から考えるにロシアから発射されたとは考えにくい」と発言したことなどで持ち直し、34円安で午前の取引を終了しています。
昨晩海外市場では注目された米10月生産者物価指数(PPI)がコア部分を含めて市場予想を下回る上昇鈍化を見せたことから、ドル円は直後に137.68まで急落しましたが、同時に発表となったNY連銀製造業景況指数が予想を上回ったことや、ポーランドのウクライナ国境近くの農場に日本時間23:40頃にロシア製ミサイルが着弾し、二人が死亡したことが伝わったことでドル買いが強まり、139円台前半に値を戻して東京時間につないでいます。
テクニカルにはドル円は昨晩急落時に一時一目均衡表の「雲」の下限を下抜けましたがすぐに戻し、本日も「雲」の中での横ばい推移が続いています。「雲」下限は本日138.69、これが明日には139.70まで切りあがるため、今日明日の終値、始値との位置関係に注目です。この水準を下抜けると133.10レベルの200日線までの下値余地が広がります。一方上方向は90日線が141.40レベル、その上にも転換線(143.04)、「雲」上限144.45、基準線144.81等が控えており上値は重そうです。
バイデン大統領の発言で、一時高まったロシア-NATO間の緊張は一旦緩んだ形となっていますが、株価は持ち直したもののドル円は反応薄でした。詳しい調査はこれからであり、最悪ロシアとNATOの全面衝突にもつながりかねない事件だけに、今後の関連報道も要注視です。
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