ドル円、米PPIの市場予想を下回る結果を受けて一時2カ月半ぶり安値圏へ急落(11/16朝)

15日(火)のドル円相場は急落後に持ち直す展開。

ドル円、米PPIの市場予想を下回る結果を受けて一時2カ月半ぶり安値圏へ急落(11/16朝)

ドル円、米PPIの市場予想を下回る結果を受けて一時2カ月半ぶり安値圏へ急落

〇ドル円、アジア時間の高値140.60から、米国時間朝方にかけ安値137.70まで急落
〇米10月PPIの市場予想を下回る結果とそれを受けた米長期金利低下が背景
〇引けにかけてはNY連銀製造業景況指数の良好な結果等に139円台に持ち直す
〇ユーロドルPPI後1.0477まで急伸するも、露ミサイルのポーランド着弾報道で1.0280まで急落
〇ドル円、上方に複数のレジスタンスポイントが控え、テクニカル的には上昇余地乏しい
〇ファンダメンタルズ的に見てもPPI後の一段の米利上げペース鈍化期待の高まり等、下落材料増える
〇引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想、本日の予想レンジ:138.00ー140.00

海外時間のレビュー

15日(火)のドル円相場は急落後に持ち直す展開。(1)本邦第3四半期GDP速報値(結果▲1.2%、予想+1.2%、前回+4.6%)の冴えない結果(4四半期ぶりマイナスを記録)や、(2)5・10日要因に伴う需給のドル買い・円売り、(3)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、アジア時間(日本時間13時過ぎ)に、高値140.60まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)前日のブレイナードFRB副議長によるハト派的な発言を材料視したドル売り圧力の再開や、(5)対欧州通貨でのドル売り圧力(ユーロドル急伸→ドル円急落)、(6)米10月生産者物価指数(結果8.0%、予想8.3%、前回8.4%)および、米10月生産者物価コア指数(結果6.7%、予想7.1%、前回7.1%)の市場予想を下回る結果、

(7)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、米国時間朝方にかけて、8/29以来、約2ヵ月半ぶり安値となる137.70まで急落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(8)短期筋のショートカバー(急落後の反動)や、(9)米11月ニューヨーク連銀製造業景況指数(結果4.5、予想▲5.8、前回▲9.1)の良好な結果、(10)米長期金利の低下幅縮小などが支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間11/16午前5時05分現在)では、139.05前後まで持ち直す動きとなっております。

15日(火)のユーロドル相場は急伸後に急反落。(1)ドイツ11月ZEW景況感指数(結果▲36.7、予想▲52.2、前回▲59.2)の力強い結果や、(2)米10月生産者物価指数および、米10月生産者物価コア指数の市場予想を下回る結果、(3)上記を背景とした米金利低下とそれに伴う米ドル売り圧力、(4)200日移動平均線突破に伴う仕掛け的なユーロ買い・ドル売り圧力が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、7/1以来、約4カ月半ぶり高値となる1.0477まで急伸しました。

もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(5)短期間で上昇したことに対する反動売り(利食い売り)や、(6)米11月ニューヨーク連銀製造業景況指数の良好な結果、(7)米長期金利の低下幅縮小に伴うドル売り後退、(8)ロシアのミサイルがNATO加盟国のポーランドに着弾したとのヘッドライン(ロシアとNATOの地政学的リスク上昇→ユーロ売り再開)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0280まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/16午前5時05分現在)では、1.0375前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は市場予想を下回る米10月生産者物価指数の結果発表後に、約2ヵ月半ぶり安値となる137.70まで急落しましたが、その後は一転して急反発に転じる動きとなりました。但し、上方に複数のレジスタンスポイントが控えていることや、複数の弱気シグナルが点灯していること(弱気のバンドウォークやダウ理論の上昇トレンド終焉)などを踏まえると、テクニカル的に見て、上値余地は乏しい(地合いが弱く、心理的節目140.00に近づくに連れて戻り売り圧力が強まる公算大)と判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米CPI鈍化に続き、米PPIも大幅に鈍化したことや、(2)上記を背景に米利上げペース鈍化期待が高まっていること(次回12月FOMCでの50bp利上げ確率が80.6%、来年2月FOMCでの25bp利上げ確率が50.7%とそれぞれ市場コンセンサスに)、

(3)日米金利差縮小に伴う円キャリートレードの逆流懸念(過度に積み上がった円売りポジションの巻き戻しリスク)、(4)米政府・米当局による円買い介入の容認観測(米財務省は先週発表した半期に一度の為替報告書の中で日本の為替操作国認定を見送り→米政府・米当局が日本の円買い為替介入を容認したとの見方が浮上)など、ドル円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。

尚、本日は米経済指標(米10月小売売上高、米10月輸出入物価指数、米10月鉱工業生産、米10月設備稼働率、米9月対米証券投資など)や、米当局者発言(ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁講演、バーFRB副議長証言、ウォラーFRB理事講演など)が目白押しとなるため、米国時間帯のボラティリティ拡大に警戒が必要でしょう(特に本日はFOMC投票メンバーの3名が発言するため要注意)。また、ポーランドが上述のミサイル着弾を受けて臨時の国家安全保障会議を開いていることもあり、ロシア・ポーランド・NATOに絡むヘッドラインにも注意が必要です。

本日の予想レンジ:138.00ー140.00

注:ポイント要約は編集部

ドル円、米PPIの市場予想を下回る結果を受けて一時2カ月半ぶり安値圏へ急落

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