ドル円、ポジション調整主導で一時146円台後半へと反発。本日は米CPIに注目
〇ドル円、米金利上昇、株価下落、FRB関係者のタカ派発言に米国時間に高値146.79まで急伸
〇米中間選挙は未だ大勢判明せず、一部で予想された共和党の圧勝は無し
〇ユーロドル、ショイグ露国防相による「ヘルソン市からの撤退を命令した」との発言に1.0084まで上伸
〇その後は、上記報道のウクライナ側の否定、米金利上昇、株式市場の軟調に一時パリティ割れ
〇ドル円、上方に複数のレジスタンスポイント控え、ここからの上昇容易で無い
〇本日、今週のメインイベントである米10月消費者物価指数に注目
〇本日の予想レンジ:144.00ー148.00
海外時間のレビュー
9日(水)のドル円相場は急上昇。米中間選挙を巡る警戒感を背景に、日本時間正午にかけて、安値145.21まで下げ幅を広げましたが、レッドウェーブ失敗(上院・下院共に共和党で占められる状態が免れる可能性が高まったこと)に伴う安堵感から持ち直すと、米金利上昇に伴うドル買い圧力(米10年債入札の低調な結果)や、米主要株価指数の急反落(リスク回避のドル買い再開)、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁による「インフレはFRBの長期目標を明らかに相当上回っている」「インフレを巡る不確実性が高まっている」とのタカ派的な発言、リッチモンド連銀バーキン総裁による「インフレ制御のためにリセッションの危険を冒すことをいとわない」「インフレ悪化やインフレ期待上昇は容認できない」とのタカ派的な発言が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値146.79まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間11/10午前6時30分現在)では、146.35前後で推移しております。
9日(水)のユーロドル相場は軟調推移。ショイグ露国防相による「ヘルソン市からの撤退を命令した」との発言(ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの後退期待)を背景に、米国時間朝方にかけて、一時1.0084まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、ウクライナ大統領顧問であるポドリアック氏による「ヘルソン市にはまだロシア軍が残り、追加のロシア軍が同地域に加わっている」「ロシアがヘルソン市から撤退するということについて話すのは時期尚早」との発言(ショイグ露国防相の発言を否定)や、米金利上昇に伴うドル買い圧力(低調な米10年債入札結果や米当局者によるタカ派的な発言)、株式市場の冴えない動き(リスク回避のドル買い再開)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値0.9993まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/10午前6時30分現在)では、1.0015前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時145.21まで下げ幅を広げるも、10/27安値145.11をバックに下げ渋ると、米国勢参入後に持ち直す動きとなりました。但し、上方には複数のレジスタンスポイントが控えているため、ここからの更なる上昇は容易では無いと考えられます(本日のアジア時間帯は上値が再び重くなる可能性あり)。こうした中、本日は今週のメインイベントである米10月消費者物価指数に注目が集まります(冬時間に突入した為、同指標の発表時間は日本時間22時30分)。11/1ー11/2の日程で開催された米FOMCでは、声明文にハト派的な文言(利上げペース鈍化を示唆する記述=「将来の利上げペース決定にあたっては、これまでの金融引き締めの累積的な影響や、金融政策が経済活動やインフレに影響を与えるまでのタイムラグ、経済・金融情勢の変化を考慮する」)が付け加えられた一方、パウエルFRB議長からはタカ派的なメッセージ(ターミナルレート引き上げを示唆する発言=「最終的な金利水準は従来の想定よりも高くなった」「利上げ停止を考えるのは非常に時期尚早」)が発せられるなど、強弱まちまちの一貫性の無い結果となりました。
米FRBの意図が分かりづらく、市場には米金融政策の先行きに対するもやもや感が残っています。本日発表される米10月消費者物価指数は、こうした市場のもやもや感を解消する意味でも重要となりそうです。米10月消費者物価指数が市場予想を上回る結果となれば、インフレ長期化懸念→ターミナルレート引き上げへの警戒感→米金利急上昇→米ドル急騰の流れを通じて、ドル円が147円台や148円台へと急伸するシナリオが想定されます。一方、市場予想を下回る結果となれば、インフレ鈍化期待→米利上げペース鈍化シナリオ再浮上→米金利急低下→米ドル急落の流れが意識されるため、ドル円は10/27に記録した直近安値145.11を割り込む動きが想定されます。このように、本日の米10月消費者物価指数は注目度がとても高いことから、同指標発表後のボラティリティ拡大に注意が必要でしょう(予想以上に大きな値幅をもたらす恐れがあるため、過度なポジション保有は避けたいところ)。
本日の予想レンジ:144.00ー148.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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