円買い介入警戒しつつも、ドル高基調は変わらず(週報9月第4週)

先週のドル/円相場は大荒れの展開。ドルは一時145.90円まで上昇し年初来高値を大きく更新したが、24年ぶりとなる政府・財務省介入もあり5円超の「暴落」が観測されていた。

円買い介入警戒しつつも、ドル高基調は変わらず(週報9月第4週)

円買い介入警戒しつつも、ドル高基調は変わらず

〇先週のドル円、日米金融政策発表受け145.90まで上昇後、円買い介入で140.35まで暴落
〇米FOMC「3会合連続0.75%利上げ」を発表、一方で日銀「金融緩和策の維持」方針
〇政府・財務省にとって「防衛ライン」の145円、今週も接近局面で再び介入に動くか注視
〇安値140.35、高値145.90レンジを確認か、週内に143円台中心の狭いレンジへ収束の可能性も
〇今週は米9月消費者信頼感指数、4-6月期GDP確定値発表、欧米通貨当局者らの発言機会に注目
〇今週のドル/円予想レンジは141.00-145.50、145円レベルをめぐる攻防に注目
〇ドル安・円高方向は、142円近い移動平均21日線がサポートになるか否か注視

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は大荒れの展開。ドルは一時145.90円まで上昇し、年初来高値を大きく更新したものの、24年ぶりとなる政府・財務省介入もあり5円超の「暴落」が観測されていた。

前週末は、英国のエリザベス女王国葬とあわせたトラス新首相による弔問外交が開始され、18日にはバイデン米大統領と非公式の会談が実施されていたようだ。一方、引き続きロシア情勢が注視されており、プーチン氏からは「ガス供給求めるなら制裁を解除すべき」とEUに譲歩を求める発言も聞かれている。
そうした状況下、ドル/円は142.90-95円で寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。しかし、日米金融政策の発表を受けてドル買い・円売り機運が強まると、年初来高値を超えそのまま145.90円まで一気に吹き上がった。一連の過程で日本の要人から円安けん制発言なども聞かれたが効果は乏しいなか、痺れを切らし政府・日銀がついに24年ぶりとなる円買い介入に出動。結果140.35円まで「暴落」し、その後は思惑交錯の展開をたどるなか、週末NYは値を戻した143.35円レベルで取引を終えている。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「日米金融政策」と「財務省介入」について。
前者は、先週日米や英国、スイス、スウェーデンや南アフリカなど各国の金融政策発表が集中するなか、とくに注視されていた21日の米FOMC。事前には一部で「1.0%の利上げ」見通しも取り沙汰されていたものの、結果としてブルームバーグや米紙WSJなどが予想した通り「3会合連続となる0.75%の利上げ」を発表している。さらに、年内に同規模の利上げを少なくとも1回は実施する可能性を示唆しており、先行きについても強気スタンスの維持が観測されていた。一方、それに続く格好で22日昼ごろ日銀は全会一致での「金融緩和策の維持」を発表。また、日銀総裁からは「当面は金利を引き上げない」「日本がマイナス金利をやめる必要はない」などとした、先の米国とはあまりに対照的なコメントが聞かれている。

対して後者は、22日の東京昼過ぎに神田財務官が「適切な対応、ずっとスタンバイの状況」などとかなり踏み込んだ円安けん制に動くなか、時間的には同17時過ぎ、欧米時間の早朝に財務省の「実弾」介入が観測されている。円買い介入は24年ぶりの出来事。そんな介入を受け、ドル/円は高値145.90円から140.35円へと5円を超える「暴落」となった。なお、神田財務官はそののち「米国とは同盟国として緊密に議論、意思疎通できている」などと発言し、介入実施を正式に認めたものの、介入そのものは財務省の単独で行われたもようだ。実際、米国やカナダは「円買い介入に加わらなかった」と、一部で囁かれていた協調思惑を否定している。今週は、再び145円に接近あるいは突破した局面で再び当局が市場介入に動くのかが注視されている。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円相場は「143円→146円→140円→143円」とかなりの乱高下。まさしく「ジェットコースター」相場という名前にふさわしい値動きだった。市場ではドル高という基調そのものは変わらないと見ている向きが大勢だが、先週の政府・財務省介入などを勘案すると、名実とも145円レベルが政府・財務省にとっての「防衛ライン」となったことは間違いないだろう。果たしてどこまでドルの上値を追いかけていけるのか。
そもそも論とすれば、参加者の関心が高い金利情勢を考えた場合、前述したように先週日米の金融政策が正反対ともいえる状況だということが改めて明らかになった。よって、いくら当局が円買い介入に動いても焼け石に水。ファンダメンタルズを含め、政策に変化がない限り、円安という流れそのものを変えることはかなり難しいと言わざるを得ない。今週再び円売りが優勢となり、ドル/円が145円に接近あるいは超えていけば、当局が再び市場介入に動く可能性もあるが、効果は徐々に限られそうだ。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は先週当面のレンジ上限と下限をともに確認した感がある。つまりドルの安値は140.35円、同高値は145.90円で、しばらくは双方に挟まれたレンジ内での一進一退か。もっとも、5円強というレンジはいささか広い感があり、時間を掛けつつ居心地の良いレートに収斂されそうだ。週内には、143円台をコアとしたもう少し狭いレンジへと収束する可能性もある。

今週は、9月の消費者信頼感指数や4-6月期のGDP確定値をはじめとする米経済指標の発表が予定されている。また、欧米を中心とした通貨当局者らの講演など発言機会も多く、それらも一応要注意。さらに安倍元首相の国葬と、それにともなう米副大統領の来日なども気掛かりだ。折しも、25日には北朝鮮がミサイル発射という暴挙に動いている。

そんな今週のドル/円予想レンジは、141.00-145.50円。ドル高・円安については、「ドル高シーリング」と考えられる145円レベルをめぐる攻防に引き続き注目。抜ければ、政府・日銀の市場介入も。
対してドル安・円高方向は、足もと142円近くまでレベルを切り上げてきた移動平均の21日線がサポートになるか否かが注視されている。下回ると141円レベルがターゲット。

円買い介入警戒しつつも、ドル高基調は変わらず

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

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