ドル円見通し 9月22日は未明のFOMC、昼の日銀、夜の英中銀他各国の政策金利発表集中日(22/9/20)

9月19日は日、英、カナダが休場となり欧米関連の主要発表も限られたが米FOMCも9月20-21日の予定で始まるためポジション調整的な動きにとどまったようだ。

ドル円見通し 9月22日は未明のFOMC、昼の日銀、夜の英中銀他各国の政策金利発表集中日(22/9/20)

9月22日は未明のFOMC、昼の日銀、夜の英中銀他各国の政策金利発表集中日

〇ドル円、9/19朝142.63まで下げたところは買われ、夜143.64まで戻した後はややジリ安の推移
〇9/19は日・英・カナダ休場、欧米関連の主要発表も限られ、米FOMCを控えポジション調整的な動き
〇9/21-9/22開催のFOMCは3会合連続の0.75%利上げ予想、インフレ抑制のためタカ派姿勢続けるか
〇9/22の日銀金融政策決定会合では金融緩和政策継続の予想、同日発表の各国中銀政策金利は利上げ予想
〇米2年債利回りは15年ぶり高値を連日更新、10年債利回りも11年ぶり高値、米株価は反発
〇143.64以下での推移中は一段安余地ありとし、9/19安値142.63割れからは9/13安値141.83試しとみる
〇143.64超えからは上昇期入りと仮定して、145円を目指すとみる

【概況】

ドル円は9月13日夜の米8月CPI発表からのドル全面高局面で直前安値141.83円から14日午前高値144.95円へ急伸したが、鈴木財務相による円安けん制発言と日銀のレートチェックによる市場介入警戒感から14日夜安値142.54円まで急落した。その後は介入警戒でのドル売り円買い一服で143円台を中心とした揉み合いに入り、戻りは15日午後高値143.80円にとどまった。19日朝に142.63円まで下げたところは買われて19日夜に143.64円まで戻した後はややジリ安の推移で20日午前序盤には143円を若干割り込んでいる。
9月19日は日、英、カナダが休場となり欧米関連の主要発表も限られたが米FOMCも9月20-21日の予定で始まるためポジション調整的な動きにとどまったようだ。

9月22日には未明の米FOMC、昼頃の日銀金融政策決定会合、夜の英中銀MPCのほかにもブラジル、スイス、ノルウェー、トルコ、南ア等での政策金利発表が集中する。
ドル円としては9月7日高値144.98円と9月14日高値144.95円による145円手前のラインが上値抵抗線となっているものの9月9日夜と13日夜に141円台へ下げたところは買い戻されて確りしており、FOMCや日銀の金融政策発表をきっかけに145円台へ向かうのか9月7日高値以降の安値更新へ進むのか試される局面だ。

【FOMCは3会合連続の0.75%利上げ予想】

米FRB(連邦準備制度理事会)は9月20-21日にFOMC(連邦公開市場委員会)を開く。9月13日発表の8月米CPI上昇率が前月比でマイナス予想だったところをプラス0.1%となり、コア指数の前月比は7月の0.3%と同程度の伸びと予想されていたところを0.6%の上昇となったことで、インフレが早期に収まり米FRBによる利上げも早期に終了するのではないかとの楽観見通しが崩れ、NYダウは悲観売りで前日比1276.37ドル安の今年最大の下落幅となり、米長期債利回りは上昇、特に利上げに敏感な2年債利回りが15年ぶり高水準を連日更新する急伸となった。

FOMCでの利上げ予想は3会合連続で0.75%の引き上げになるとの見方が濃厚となっているが、一部には1.00%の利上げもあり得るのではないかとの見方も出ていた。さすがに1.00%利上げの可能性は低いとしても、11月FOMCにおいてさらに0.75%利上げとなる可能性も高まっている。
パウエル米FRB議長は「景気よりも物価抑制を最重要課題」としてハイペースの利上げを繰り返してきたが、インフレ率が顕著に低下しない状況にあり、11月の米中間選挙へ向けたバイデン政権によるインフレ抑制への成果を示すためにもタカ派姿勢を続けるものと思われる。

【日銀の取り残され感はさらに顕著となるか】

9月22日には日銀金融政策決定会合がある。黒田総裁在任中は金融緩和政策継続が濃厚と思われ、今年4月から8月にかけてはマイナス金利の維持と指値オペによる長期金利上昇抑制姿勢が強く打ち出されてきた。コロナ対策での大規模無利子無担保融資政策の見直しが議論されるとの見方や、9月14日の鈴木財務相の円安けん制発言がトーンを上げたこととそれに呼応して日銀が複数行に介入をにおわせるレートチェックを実施したこともあり、日銀の金融政策姿勢に変化があるのかどうか、金融政策は変わらずに円安のみをけん制するのか市場も注目するところだ。
9月22日は英中銀の0.50%利上げやスイス中銀の0.75%利上げ、南ア中銀の0.75%利上げ等も予想されており、主要国の中で景気回復が鈍く賃金も上がらない中で金融緩和を止められずに輸入インフレにより経常収支が悪化する円安助長のファンダメンタルズを踏まえれば、積極的な政策変更姿勢が示されなければ市場は実弾介入があるのかどうかを試すような挑発的な円安ドル高で145円超えにトライする可能性もあると思われる。

【米2年債利回りは15年ぶり高値を連日更新、10年債利回りも11年ぶり高値】

9月19日の米10年債利回りは前日比0.04%上昇の3.49%で終了したが、一時は3.51%をつけて6月14日に付けた3.50%を超えて2011年以来11年ぶり高値水準とした。
30年債利回りは変わらずの3.52%で終了したが、9月13日につけた3.57%以降は高止まりで2014年4月以来の高水準にある。
利上げに敏感な2年債利回りは前日比0.07%上昇の3.94%をつけて2007年以来15年ぶりの高値水準を連日更新しており、FOMCによる利上げのピーク想定での4%超を試す流れが続いている。

9月19日のNYダウは前日比197.26ドル高、ナスダック総合指数は86.62ポイント高と反発した。
NYダウは9月13日の米CPIショックで前日比1276.37ドル安の今年最大の下落となり、14日は30.12ドル高とわずかに下げ渋ったものの15日に173.27ドル安、16日に同139.40ドル安と続落し、19日も一時は260ドル安の続落気配だったが、FOMC前の突っ込み警戒感で反発、ナスダックも同様の展開だった。しかし16日には一時400ドル安を超える局面もあり、米物流大手フェデックスが3か月前の業績見通しを撤回したことがショッキングな経済ニュースとされ、不況入りへ向けた「炭鉱のカナリア」ではないかと騒がれたことは先行きへの暗雲となった印象がある。上海総合株価指数が3日続落したことも懸念される動きだ。
ドル円としては米長期債利回りの上昇基調継続が2021年1月以降の歴史的大上昇の土台として継続しているものの、市場介入警戒感と株安警戒によるリスク回避感が上値を抑える状況でもある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、9月9日夜と13日夜の両安値をダブルボトムとして急伸したものの日銀介入警戒から反落したために9月14日朝高値で直近のサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしたとしてボトム形成期を16日夜から20日夜にかけての間と想定した。
9月19日午前に14日夜安値を試してからやや戻したものの15日夕高値には届いておらず方向性が定まらない状況にある。9月19日午前安値を割り込む場合は14日朝高値を起点とした弱気サイクルの継続と仮定するが、19日午前安値を直近のサイクルボトムとして底割れから新たな弱気サイクル入りにより下落期が長引く可能性も検討される。ただし、9月19日夜高値超えからは19日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして20日の日中から21日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では9月14日夜安値の後は143円台での揉み合いのために方向感に欠ける。144円超えからは上昇再開として遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、143円以下での推移中は下向きとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は143円台での揉み合いのため50ポイントを挟んで方向感に欠ける。次に60ポイントを超えるところからは上昇再開と仮定して70ポイント台へ向かうとみるが、45ポイント割れからは下向きとして30ポイント前後へ向かう流れとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9月19日午前安値142.63円を下値支持線、9月19日夜高値143.64円を上値抵抗線とする。
(2)143.64円以下での推移中は一段安余地ありとし、19日午前安値142.63円割れからは13日夜安値141.83円試しとみる。142円割れは買い戻されやすいとみるが、143円以下での推移なら21日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)143.64円超えからは上昇期入りと仮定して145円を目指すとみる。145円手前は再び介入警戒で反落しやすいとみるが、143.64円を超えた後も143円台を維持しての推移なら21日午前も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

9/20(火)
米連邦公開市場委員会(FOMC)初日
第77回国連総会一般討論(9/26まで)
10:30 (豪) RBA・豪中銀、金融政策会合議事要旨
15:00 (独) 8月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (7月 5.3%、予想 1.6%)
17:00 (欧) 7月 経常収支・季調済 (6月 42億ユーロ)
21:30 (米) 8月 住宅着工件数・年率換算 (7月 144.6万件、予想 145.0万件)
21:30 (米) 8月 住宅着工件数 前月比 (7月 -9.6%、予想 0.3%)
21:30 (米) 8月 建設許可件数・年率換算 (7月 167.4万件、予想 160.4万件)
21:30 (米) 8月 建設許可件数 前月比 (7月 -1.3%、予想 -4.8%)
26:00 (米) 財務省20年債入札

9/21(水)
英中銀金融政策委員会(MPC)初日
日銀金融政策決定会合初日
11:00 (豪) ブロック豪中銀副総裁、講演
23:00 (米) 8月 中古住宅販売件数・年率換算 (7月 481万件、予想 470万件)
23:00 (米) 8月 中古住宅販売件数 前月比 (7月 -5.9%、予想 -2.3%)
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利 (現行 2.25-2.50%、予想 3.00-3.25%)
27:30 (米) パウエルFRB議長、会見



注:ポイント要約は編集部

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