ドル円見通し 介入警戒での急落一服、143円台で揉み合う(22/9/16)

15日午後に143.80円をつけた後は伸びず、143円台での揉み合いとなっている。

ドル円見通し 介入警戒での急落一服、143円台で揉み合う(22/9/16)

ドル円見通し 介入警戒での急落一服、143円台で揉み合う

〇ドル円、介入警戒感による売り一巡後持ち直すも、9/15午後143.80をつけた後は143円台で揉み合い
〇昨日発表の米経済指標は強弱まちまち、ドル高基調と米長期債利回り上昇基調に寄与した可能性
〇米長期債利回りは上昇、米CPI・PPI発表後の2年債利回りの上昇が顕著
〇NYダウは前日の急落一服からの反落で下落継続感強まる、ナスダックも反落
〇144円以下での推移中は一段安余地ありとし、9/14夜安値142.54割れからは142円試しとみる
〇144円超えからは上昇再開と仮定して、145円超えを目指すとみる

【概況】

ドル円は9月13日夜の米8月CPI上昇率が市場予想を上回ったことをきっかけに14日午前高値144.95円へ急伸したが、鈴木財務相による円安けん制発言と日銀のレートチェックによる市場介入警戒感から14日夜安値142.54円まで急落した。介入警戒感による売り一巡後は全般的なドル高基調に支えられてやや持ち直したが、15日午後に143.80円をつけた後は伸びず、143円台での揉み合いとなっている。
9月15日夜の米経済指標は強弱まちまちの内容だったが小売売上高やNY連銀景況指数及び週間新規失業保険申請件数の改善等がドル高を助長し、ユーロは下げ渋ったもののポンドや豪ドル、南アランドなどがこの間の安値を更新し、米2年債利回りはこの間の最高値を更新している。
当面は9月14日夜安値142.54円を割り込んでもう一段安へ進むか、144円台回復から上昇基調再開感を強めるか試される。

【米経済指標は強弱まちまち】

9月15日夜発表の米経済指標は強弱まちまちだったが、米FRBによる大幅利上げ継続姿勢を阻害する内容ではなくドル高基調と米長期債利回り上昇基調に寄与したと思われる。
8月の米小売売上高は全体の前月比が0.3%増、7月の0.4%減からプラス転換となり市場予想の0%を上回った。自動車・部品を除くと0.3%減で予想の0.1%増を下回ったが、ガソリンを除くと0.8%増、自動車・部品とガソリンを除くと0.3%増だった。
新規失業保険申請件数は9月10日までの週間で前週比5000件減の21万3000件となり、5週連続の改善で市場予想の22万6000件を下回った。失業保険受給者総数は9月3日までの週間で140万3000人となり、前週比2000人増だったが市場予想の147万5000人を下回った。

8月の米輸入物価は前月比1.0%低下となり、市場予想の1.2%低下を上回り7月の1.5%低下も上回った。輸出物価は前月比1.6%低下で市場予想の1.2%低下を下回ったが7月の3.7%低下を上回った。
NY連銀の9月製造業景況指数はマイナス1.5となり、8月のマイナス31.3を大幅に上回って2か月振りの改善で市場予想のマイナス13.0も上回った。
フィラデルフィア連銀による9月製造業景況指数はマイナス9.9で8月の6.2から低下して市場予想の2.8を下回った。
8月の米鉱工業生産指数は前月比0.2%低下して前月の0.5%上昇から悪化、3か月振りにマイナスとなった。設備稼働率は80.0%で7月の80.2%から若干の低下となった。
7月の米企業在庫は前月比0.6%増で市場予想と一致、6月の1.4%増からは低下した。

【NYダウは13日の暴落後の安値を更新、米長期債利回り上昇】

9月15日の米10年債利回りは前日比0.04%上昇の3.45%となり14日につけた3.48%を超えなかったものの終値ベースでは8月2日以降の最高値を更新して徐々に6月14日の3.50%へ迫っている。30年債利回りは前日比変わらずの3.47%だったが、9月13日につけた2014年以来の高値3.57%の後も高止まりの様相。利上げに敏感な2年債利回りは前日比0.08%上昇の3.87%となり、この間の高値を更新して2007年11月以来15年ぶりの高値水準となった。9月13日の米CPIと14日の米PPIの発表からFRBによる大幅利上げ継続感が強まっており、2年債利回りの上昇が顕著となっている。

一方でNYダウは前日比173.27ドル安と反落した。9月13日に前日比1276.37ドル安と今年最大の下げとなり14日は急落一服だったものの15日はさらに安値を更新しており下落継続感が強まっている。ナスダック総合指数も前日比167.32ポイント安と反落した。
金融引き締め継続による景気後退懸念が背景だが、世銀は9月15日に各国中央銀行がインフレ対策で利上げを加速させれば世界経済は2023年に景気後退に向かう可能性があるとし、特に途上国は金融危機に陥る可能性もあると警告した。世銀によれば各国中銀が2023年に政策金利をGDP加重平均で2022年の3.1%から5.8%へ引き上げれば世界のGDP伸び率は2022年の2.8%から2023年に0.5%へ低下するとしている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、9月9日夜と13日夜の両安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしたが、日銀介入警戒による反落により14日朝高値で直近のサイクルトップを付けたと思われる。144円以下での推移中は一段安警戒とし、14日夜安値142.54円を割り込む場合は16日夜から20日夜にかけての間への下落を想定する。144円超えからは上昇再開の可能性ありとみて14日朝高値試しへ向かうとみるが、強気サイクル入りは14日朝高値超えからとし、その際は19日朝から21日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では9月14日夜安値の後は143円台での揉み合いのために方向感に欠ける。144円超えからは上昇再開の可能性ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、143円以下での推移中は下向きとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は143円台での揉み合いのため50ポイントを挟んだ小動きとなっている。60ポイント超えからは上昇再開の可能性を優先して70ポイント試しとするが、45ポイント割れからは下向きとして30ポイント前後へ向かう流れとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9月14日夜安値142.54円を下値支持線、9月15日午後高値143.80円を上値抵抗線とする。
(2)144円以下での推移中は一段安余地ありとし、14日夜安値142.54円割れからは142円試しとみる。142円割れは買い戻されやすいとみるが、切り下げ推移が先行する場合は141円試しへ向かうとみる。また142.50円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)144円超えからは上昇再開と仮定して145円超えを目指すとみる。145円手前は再び口先介入等による牽制で反落しやすいとみるが、145円超えからは146円台、先行きで147円台を目指す上昇期に入る可能性が高まるとみる。また144円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

9/16(金)
休場、メキシコ、マレーシア
北大西洋条約機構(NATO)会合 9/18まで
11:00 (中) 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 2.7%、予想 3.5%)
11:00 (中) 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 3.8%、予想 3.8%)
15:00 (英) 8月 小売売上高 前月比 (7月 0.3%、予想 -0.5%)
15:00 (英) 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 -3.4%、予想 -3.7%)
15:00 (英) 8月 小売売上高・除自動車 前月比 (7月 0.4%、予想 -0.7%)
15:00 (英) 8月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (7月 -3.0%、予想 -3.4%)
18:00 (欧) 8月 HICP(消費者物価指数)改定値 前年同月比 (速報 9.1%、予想 9.1%)
18:00 (欧) 8月 HICPコア指数改定値 前年同月比 (速報 4.3%、予想 4.3%)
23:00 (米) 9月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 (8月 58.2、予想 60.0)



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