ドル円、レートチェックから一夜明けて持ち直す展開。本邦貿易赤字拡大も円売り要因(9/16朝)

15日(木)のドル円相場は下落後に持ち直す展開。

ドル円、レートチェックから一夜明けて持ち直す展開。本邦貿易赤字拡大も円売り要因(9/16朝)

ドル円、レートチェックから一夜明けて持ち直す展開。本邦貿易赤字拡大も円売り要因

〇ドル円、欧州時間朝方にかけ143.80まで上昇するも、米指標まちまちで方向感失う
〇ユーロドル、欧州時間朝方に安値0.9956まで下落後、ECB副総裁のタカ派発言にパリティ回復
〇ドル円、ダウンサイドに複数のサポートポイントが並び、買いシグナルも継続、地合い強い
〇来週の米FOMCでの100bp利上げ観測が一部で浮上するなどファンダメンタルズもドル円サポート
〇為替介入の実現性は乏しく、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:142.50ー144.50

海外時間のレビュー

15日(木)のドル円相場は下落後に持ち直す展開。@本邦通貨当局による円安牽制(口先介入やレートチェック)が警戒される中、アジア時間朝方にかけて、安値142.79まで下落しました。しかし、前日海外時間に記録した安値142.57をバックに下げ渋ると、A本邦8月貿易収支(結果2兆8173億円赤字、予想2兆3820億円赤字、前回1兆4339億円赤字)の赤字額急拡大(比較可能な1979年以降で最大→構造的に円売り圧力)や、B公表相場決定にかけてのドル買い・円売り(5・10日のドル不足)、C米金利上昇に伴うドル買い圧力(米10年債利回りが3.40%から3.46%へ上昇)、D日経平均株価の持ち直し(リスク選好の円売り圧力)、

E前日とは打って変わって本邦通貨当局による円安牽制やレートチェックが無かったことに対する安堵感(円ロング解消の動き)が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値143.80まで上昇しました。もっとも、その後は、米経済指標が強弱入り混じる結果(米8月小売売上高や米9月ニューヨーク連銀製造業景況指数が市場予想を上回る良好な結果となった一方、米9月フィラデルフィア連銀製造業景況指数や米8月鉱工業生産などは市場予想を下回る冴えない結果)となる中、方向感を見出せず、本稿執筆時点(日本時間9/16午前5時10分現在)では、143.45前後で推移しております。

15日(木)のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。@米金利上昇に伴うドル買い圧力や、A欧州経済の先行き不透明感、Bリスク回避のドル買い圧力が重石となる中、欧州時間朝方にかけて、安値0.9956まで下落しました。しかし、前日安値0.9955をバックに下げ渋ると、CデギンドスECB副総裁による「経済への懸念よりも物価高との戦いを優先」とのタカ派的な発言や、D上記Cを背景とした次回ECB理事会での大幅利上げ観測、E欧州債利回り上昇似伴うユーロ買い圧力、F短期筋のショートカバー(パリティを再度上抜けたことに伴うストップBUY)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0018まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間9/16午前5時10分現在)では、0.9998前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は前日海外時間に記録した安値142.55をボトムに反発に転じると、昨日は一時143.80まで反発しました。ダウンサイドに複数のサポートポイントが並んでいること(特に一目均衡表転換線が日足ローソク足の強力な支持線)や、強い買いシグナルを示唆する一目均衡表三役好転や強気のパーフェクトオーダーが継続していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強い(上昇トレンド継続中)と判断できます。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜観測(CPI・PPIが市場予想を上回ったことで、来週の米FOMCでの100bp利上げ観測が浮上)や、A日銀による金融緩和の継続方針(来週の日銀金融政策決定会合で金融政策の現状維持が決められる公算大)、B上記@Aを背景とした日米金融政策格差(日米名目金利差拡大に伴うドル買い・円売り)、C日本とその他先進国との金融政策格差(米国のみならず、豪州やニュージーランド、カナダやスイス、欧州や英国など、日本以外のほぼ全ての先進国が金融引き締めに転換済→日本とその他各国との名目金利差拡大→クロス円上昇→ドル円連れ高の波及経路)、D米政府・米当局によるドル高容認スタンス(米国はインフレ抑制に繋がるドル高を支持する構え)、E本邦貿易赤字拡大に伴う構造的な円売り圧力(昨日発表された米8月貿易収支は過去最大の赤字額)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。

本邦通貨当局による為替介入が引き続き警戒されてはいるものの、上記A(金融緩和継続中の円買い為替介入は諸外国に受け入れて貰いづらい)や、上記D(米政府との関係性悪化が懸念されるため為替介入に踏み切りづらい)の視点を踏まえると、為替介入の実現性は乏しいと考えられます(口先介入に留まる公算大)。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は、米9月ミシガン大学消費者信頼感指数(23:00)に注目が集まります。市場予想を上回る場合には、米金利上昇→米ドル買いの経路と、米株上昇→リスク選好の円売りの経路の組み合わせを通じて、ドル円に強い上昇圧力を加える恐れがあるため、本日海外時間はドル円のアップサイドリスク(144円台への押し上げ)に特に警戒が必要でしょう(アジア時間は円安牽制やレートチェックへの思惑からやや伸び悩む地合いが続く可能性あり。昨日同様、円安牽制やレートチェックが報じられない場合は、安堵感から本邦夕方にかけて持ち直す展開を想定)。

本日の予想レンジ:142.50ー144.50

注:ポイント要約は編集部

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