トルコリラ円見通し ドル円の上値重く、ドル高リラ安進行に圧される(22/9/16)

トルコリラ円の9月15日は7.87円から7.81円の取引レンジ、16日早朝の終値は7.86円で前日終値の7.85円から0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円の上値重く、ドル高リラ安進行に圧される(22/9/16)

トルコリラ円見通し ドル円の上値重く、ドル高リラ安進行に圧される

〇トルコリラ円、ドル円に連動、9/15午後7.87をつけた後やや軟調な推移、9/16午前序盤7.84割り込む
〇対ドル、9/15は18.28をつけ昨年末以降の最安値更新、終値ベースでも9/14終値を超え史上最安値更新
〇米FOMCとトルコ中銀MPCへ向けリラ売り圧力強まりやすい局面、取引時間中史上最安値へ迫る流れか
〇トルコの外貨準備高は増加傾向だがリラ安は止まらず、トルコ8月財政収支は改善するも安定せず
〇7.88以下での推移中は下向きとし、7.80割れからは7.70台中盤への下落を想定する
〇7.88超えからは上昇再開の可能性ありとみて、7.90及び7/14朝高値7.93試しとみる

【概況】

トルコリラ円の9月15日は7.87円から7.81円の取引レンジ、16日早朝の終値は7.86円で前日終値の7.85円から0.01円の円安リラ高だった。
9月14日に鈴木財務相の円安けん制発言と日銀のレートチェックにより円安阻止への市場介入警戒感が強まったことでドル円が14日午前高値144.95円から14日夜安値142.54円へ急落したため、トルコリラ円は13日夜安値7.77円から14日午前高値7.94円へ急伸して9月7日高値7.95円に迫ったところから14日夜安値7.81円まで反落した。その後はドル円が急落一服で143円台へ戻して揉み合いとなったものの15日午後に143.80円をつけてからは伸びず、トルコリラ円も午後に7.87円をつけた後はやや軟調な推移となっている。
9月16日午前序盤はドル円がやや軟調推移となりトルコリラ円も7.84円を割り込んでいる。

【ドル高リラ安継続、昨年末以降の安値及び終値ベースの史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの9月15日は18.28リラから18.23リラの取引レンジ、16日早朝の終値は18.26リラで前日終値の18.23リラからは0.03リラのドル高リラ安だった。
8月18日にトルコ中銀が予想外の利下げを強行したところから1ドル18リラの壁を超えてリラ安が進行し、その後も徐々に昨年12月23日以降の取引時間中の最安値更新と終値ベースの史上最安値更新を繰り返してきたが、9月15日は全般的なドル高感が強まる中で18.28リラをつけて昨年末以降の最安値を更新、終値ベースでも9月14日終値の18.24リラを超えて史上最安値を更新した。一部ベンダーでは18.30リラを超える安値レートの提示も見られた。

【来週の米FOMCとトルコ中銀MPCへ向けてドル高リラ安圧力強まりやすい局面】

9月13日の米8月CPI発表から為替市場はドル全面高となったが、15日はユーロが下げ渋ったもののポンド、豪ドル、南アランド等がこの間の安値を更新しており、米FRBによる9月20-21日のFOMCにおける0.75%利上げのほかに11月のFOMCでも0.75%利上げがあり得るのではないかとの見方が強まっており、米2年債利回りが1昨年来の最高値を更新して15年ぶり高値水準へと上昇しているため、新興国通貨への売り圧力も高まっている。
トルコ中銀の金融政策決定会合は9月22日であり、市場の事前予想中央値は13%での据え置き予想だが、8月に予想外の小幅利下げを強行した後だけに、今回も小幅な利下げを行う可能性も捨てきれない。このためトルコリラは徐々に水準を切り下げて昨年12月20日の取引時間中史上最安値18.36リラへ迫る流れと思われる。

【トルコの外貨準備高は増加傾向だがリラ安は止まらず】

9月15日夜に発表されたトルコの週次外貨準備高は9月9日時点のグロスで736.8億ドルとなり9月2日時点の723.0億ドルから増加したが、ネットでは140.9億ドルにとどまり9月2日時点の140.8億ドルからはわずかな増加にとどまった。
ネットの外貨準備高は8月序盤に60.7億ドルまで急減したところから倍増まで持ち直しているが、エルドアン大統領は友好国の協力によるものと説明しており、通貨スワップ協定内容の強化で増加してきたと思われる。ただ今回は頭打ち傾向を見せているため、今後さらに増加してゆかなければトルコ中銀による国内金融機関とのスワップ取引でのドル売りリラ買いポジションと比較した場合の過少な状況から脱却できず、正味としては外貨不足の状況にあるという印象がぬぐえない。トルコは現時点で中国、UAE、カタール、韓国と通貨スワップ協定を締結しており、資本面ではイスラエルやエジプトとの関係改善を模索し、ロシアとの通貨スワップ協定についても検討されているのではないかとの憶測報道もあった。

トルコの8月財政収支は331.3億リラの黒字で7月の640億リラの赤字から改善した。財政収支は1月、2月、5月、8月が黒字だが、3月、4月、6月、7月が赤字であり安定していない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月13日夜の急伸により9月9日夜と13日夜の両安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしたが、日銀レートチェックによる介入警戒感でドル円が急落してトルコリラ円も失速したために9月15日午前時点では14日朝高値で直近のサイクルトップを付けて弱気サイクル入りとした。ボトム形成期は16日夜から20日夜にかけての間と想定し、7.90円以下での推移中は一段安警戒として13日夜安値割れからは週明けへの続落を想定する。ただし、7.90円超えからは上昇再開の可能性ありとみて9月14日朝高値超えを目指す上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では、9月15日の上昇時には先行スパンを上抜けずに16日午前の下落で先行スパンから転落している。このため先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は9月15日の上昇局面では60ポイントに届かず、16日午前の下落で40ポイントを割り込んでいるので20ポイント台前半への低下を想定する。強気転換は55ポイント超えからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.80円を下値支持線、7.88円を上値抵抗線とする。
(2)7.88円以下での推移中は下向きとし、7.80円割れからは7.70円台中盤(7.77円から7.73円)への下落を想定する。7.75円以下は反騰注意とするが、7.80円を割り込んだ後も7.83円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。また円高ないしリラ安が厳しくなる場合は7.70円前後へ下値目途を引き下げる。
(3)7.85円から7.88円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、7.88円超えからは上昇再開の可能性ありとみて7.90円及び7月14日朝高値7.93円試しとみる。また7.88円を超えての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

9月20日
 23:30 8月 中央政府債務 (7月 362.1億リラ)
9月22日
 16:00 9月 消費者信頼感指数 (8月 72.2)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 13.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 9/16時点 グロス (9/9時点 736.8億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 9/16時点 ネット (9/9時点 140.9億ドル)



注:ポイント要約は編集部

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