ドル円軟調推移、黒田総裁と岸田総理大臣会談後143近辺に急反落
9日午前の東京市場でドル円は軟調推移。朝方、144.11レベルで取引の始まったドル円は、日銀黒田総裁が、午前中首相官邸に入り岸田総理と面会すると伝えられたこと等で警戒感が広がり、軟調に推移し、昼前には143円台半ばに低下、更に正午過ぎには黒田総裁が「金融資本市場の動向を首相に説明した」と述べましたが「岸田首相から特段の要請はなかった」「為替の水準や市場の動きについてコメントするのは控える」等新たな材料は出てきていません。一方で「1日に2円も3円も動くのは急激な変化と認識している」とも述べたため、ドル円は一時143.12まで値を下げています。
日経平均株価は、昨晩米市場でECB理事会での利上げ、パウエル議長のタカ派発言の後も欧米主要株価指数が上昇した流れを受けて買いが先行。その後はもみ合いとなりましたが、154円高で午前の取引を終了しています。
昨晩海外市場では、米長期金利の低下、財務省・日銀・金融庁の3者会合が開催されたことの警戒感(声明文は公表されず)から米国時間序盤に143.32まで下押ししました。その後は、ECBの0.75%の利上げ実施、FRBパウエル議長の「我々はこれまで同様、直ちに、真っすぐに、力強く行動する必要がある」とタカ派姿勢を強める発言等で米長期金利が急反発。ドル円も144.44まで戻すなど乱高下の展開となり、144.10近辺で東京時間につないでいます。
テクニカルにはドル円は145円を前に一旦足踏みとなったものの、下押しは浅く、ドル買い基調にあまり変化はありません。サポートは9/6に上抜けてきた直近の上昇トレンドチャネル上限が143.36レベル。ここを明確に下抜けてきた場合には一旦再考が必要です。上方向のターゲットは145.00、147.66、150.00。
スイス中銀が2015年に2011年以来の対ユーロの無制限為替介入に失敗、反動でスイスフランが暴騰したことを最後の教訓に、「為替介入は効果がないばかりか副作用が大きい事すらある」というのが市場や先進国中銀のコンセンサスになっていると考えられます。かつ、今回はドル高許容姿勢の米国政府の協力も望み薄で、財務省・日銀の為替介入が実現する可能性は限りなく低いと考えられます。
一方で、急激な円安進行に高値警戒感が広がっているだけに、例えば日銀が主要銀行に対してレートチェックを行う等すれば、サプライズ感もあって比較的大きな戻りにつながる可能性はあり、2-3円の深めの下押しに注意が必要です。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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