年初来高値も視界内、ドル続伸期待強い
〇本日のドル円、寄り付き137.50-60レベルを安値に右肩上がり、午後大幅続伸し139円に到達
〇予想外に週明け早々からドル買い意欲強く、年初来高値139.39を意識した展開に
〇先週末のパウエルFRB議長講演、予想よりタカ派色強く、緩和継続強調の黒田総裁との対照際立つ
〇このままドル高・円安傾向続く可能性高いが、ダブルトップ示現後反落の可能性を指定する向きも
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは138.00-139.40、139円レベルが最初の抵抗
<< 東京市場の動き >>
週明け29日の東京市場はドルが一段高。一時139円レベルまで値を上げる局面も観測されている。
先週末は、開催されていた「核不拡散条約」(NPT)の再検討会議において、ロシアの不合意により「最終文書」を採択できず。またAPECも、日米やカナダとロシアやその友好国の中国などのあいだで意見が対立し、「食料安保」共同声明がまとめられなかった。
そうした状況下、ドル/円は寄り付いた137.50-60円を日中安値に右肩上がり。早々に先週高値137.75円を超えて138円台へ。しかし、その後もドルの続伸が続くと、午後には139円前後まで一時値を上げている。そこでさすがにドル高も一服。引けにかけて小緩むと16時現在では138.80-85円で推移し、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「ザポロジエ原発」と「米金融政策」について。
前者は、IAEA事務局長から「専門家による原発への現地入り調整急ぐ」との発言、WSJ紙「IAEAの調査団が29日にも訪問する」などといった情報が錯綜するなか、ロシア国防省は「ウクライナの攻撃によってザポロジエ原発に17発の砲弾が撃ち込まれ、4発が核燃料貯蔵施設の屋根を直撃した」と発表した。事実とすれば由々しき問題で、続報なども気掛かりだ。なお、ウクライナ国営原子力企業エネルゴアトムは別途、原発で重大事故が起きた場合、ウクライナ南部だけでなく、ロシア南部にも被害が及ぶと警告していた。
対して後者は、東京時間の26日深夜、ジャクソンホール会合でパウエルFRB議長が講演を実施したが、その内容が市場筋の予想よりもタカ派的なモノとなった。市場の一部で取り沙汰されていた「早期利下げ転換」観測を明確に否定している。そうしたなか、クリーブランド連銀総裁からは「9月利上げ幅、雇用統計ではなくインフレ指標で判断する」との発言が聞かれており、思惑を呼んでいたという。一方、黒田日銀総裁による「金融緩和策を維持する以外の選択肢はない」などと、米国とあまりに対照的なコメントも観測されていたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
先週末段階で137.75円まで値を上げていたドル/円だが、本日東京時間に大幅続伸をたどると、一気に139円レベルへと到達している。今週は週末の雇用統計をはじめ、重要な米経済指標が発表されることから、週内のどこかで139.39円の年初来高値を意識した展開もありうるとは予想していたものの、まさか週明けの東京で近いレベルまで到達するとは思わなかった。短期的にはさすがに行き過ぎの域にあるものの、勢いなどを勘案するとこのまま139円台へと乗せてきても不思議はない。
各国の金利情勢に対する関心が高い環境下、日米については上記のとおり。改めて指摘するまでもなく、パウエル氏と黒田氏の発言を見てもわかるように、あまりに対照的な対応だ。いずれにしても、性急とも言える米利上げが経済に一段の悪影響を及ぼすことでもない限り、為替市場におけるドル高・円安傾向は続くことになるのだろう。なお、ドル/円の影に隠れがちだが、ユーロ/ドルも一時0.9910ドル台とかなり危険な水準へと到達しており、その動静には要注意。
テクニカルに見た場合、ドル/円は139.39円から130.40円まで下落したのち、本日東京で139円レベルへとさらに値を戻してきた。つまり、ほぼ100%近い戻りを達成したことになる。普通に考えればリスクはドル高だが、「ダブルトップを示現し、ドルは再び下落に転じる」といった見方をする向きもある。139円前後などでもたつき、なかなか高値更新ができないようなら、そうした弱気派の見方が少しずつ有力視されていく可能性もある。
本日は米経済指標として、8月のダラス連銀製造業活動指数が発表されるほか、ブレイナードFRB副議長による講演も予定されており、そちらに対する関心も高い。また、欧州情勢も気掛かりのなか、マールズ豪国防相がフランス、ドイツ、英国を29日から9月1日に歴訪するもようだ。一応注意しておきたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは138.00-139.40円。ドル高・円安方向は本日東京高値に当たる139円レベルが最初の抵抗で、抜ければ139.39円を目指す展開か。
対するドル安・円高方向は、138.40円レベルに弱いサポートも見られるが、明確な下値となると138円前後、そして先週高値の137.75円など。取り敢えずは下値も堅いイメージだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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