ドル円、約1ヵ月半ぶり高値圏へ急上昇。7/14高値139.40が射程圏内に
〇ドル円、米国時間に138.29まで下押しするも底堅く、138.50前後で推移
〇ユーロドル、フォンデアライエン欧州委員長の電力市場介入発言に、一時1.0029まで反発
〇ドル円、昨日日本時間に一時139.00まで上昇し主要レジスタンス上抜け地合い強い
〇ファンダメンタルズも先週末のジャクソンホール会合で日米金融政策の方向性の違いを再確認
〇ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:138.00ー139.75
海外時間のレビュー
週明け29日(月)のドル円相場は大幅上昇。アジア時間早朝に安値137.57を示現するも、一巡後に下げ渋ると、@先週末のジャクソンホール会議でパウエルFRB議長が「物価を安定させるためには、金融引き締め政策を一定期間維持することが必要」「歴史は早急過ぎる政策緩和を強く戒めている」と予想以上にタカ派的な見解を示したことや、A上記@を背景に米FRBによるタカ派傾斜観測が再燃したこと(9月FOMCでの75bp利上げ観測再燃→米10年債利回りは3.12%へ上昇→ドル全面高の流れ→米ドル指数は2002年9月以来、約20年ぶり高値を更新)、B黒田日銀総裁によるハト派的な発言(黒田総裁はジャクソンホール会議で「日銀は金融緩和策を維持する必要がある」との見解を強調→円全面安)が支援材料となり、日本時間14時過ぎに、7/15以来、約1ヵ月半ぶり高値となる139.00まで急伸しました。米国勢参入後に一時138.29まで下押す場面も見られましたが下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/30午前5時30分現在)では、138.70前後で推移しております。
週明け29日(月)のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。@パウエルFRB議長によるジャクソンホール会議でのタカ派的な発言や、A上記@を背景としたドル全面高の流れ(米金利上昇→米ドル買い)、B欧州経済の先行き不透明感(エネルギー危機発生への警戒感)が重石となり、日本時間14時過ぎに、安値0.9914まで下落しました。しかし、8/24安値0.9909や、8/23安値0.9901をバックに下げ渋ると、C短期筋のショートカバーや、Dフォンデアライエン欧州委員長による「電力市場への緊急介入を準備している」との発言(電力価格押し下げを目的とした緊急措置→欧州経済を巡る過度な悲観論後退→ユーロ買い)が支援材料となり、日本時間21時過ぎに、高値1.0029まで反発する場面も見られました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、EレーンECB専務理事兼チーフエコノミストによる通常より大きな利上げを行うことに対する慎重な発言(市場で燻る次回ECB理事会での75bp利上げ観測を牽制)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間8/30午前5時30分現在)では、0.9995前後まで値を崩す展開となっております。
本日の見通し
ドル円は8/2に記録した安値130.40をボトムに反発に転じると、昨日は一時139.00(7/15以来、約1ヵ月ぶり高値圏)まで急伸しました。この間、主要レジスタンスポイント(一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や雲上限、フィボナッチ50%戻しや61.8%戻しなど)を軒並み上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する一目均衡表三役好転や強気のパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜観測(ジャクソンホール会議でパウエルFRB議長はタカ派姿勢を強調→CMEが提供するFedWatchで9月FOMCでの75bp利上げ確率が74.5%へ急上昇)や、A日銀による金融緩和の継続方針(ジャクソンホール会議で黒田日銀総裁はハト派姿勢を強調)、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い、C米政府・米当局によるドル高容認スタンス(米ドルが過度に強くなったとしても、米政府・米当局はインフレ抑制に繋がるとの理由でドル高を許容する構え)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米8月消費者信頼感指数や米7月JOLT雇用動態調査に加えて、リッチモンド連銀バーキン総裁講演やニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁講演にも注目が集まります。米経済指標が市場予想を上回る場合や、米当局者よりタカ派的な発言が出てくる場合には、米長期金利上昇→米ドル買いの経路で、ドル円が7/14に記録した高値139.40を突破し、心理的節目140.00に向けて上値を伸ばすシナリオも想定されるため、本日海外時間はドル円相場のアップサイドリスクに特に警戒が必要でしょう。
本日の予想レンジ:138.00ー139.75
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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