ドル円見通し 8月15日夜安値から2円強の上昇、8月2日以降の出直り継続を試す
〇ドル円、8/15夜安値132.54まで反落するが、米長期債利回り上昇を見て8/16夜高値134.67まで反騰
〇8/17未明公開のFOMC議事録、9月会合や今後の利上げペースに注目
〇7月米住宅着工件数は予想下回る一方、同鉄工業生産は堅調、深刻な不況への不安感まだ緩いか
〇NYダウ5連騰、小売り大手2社の決算堅調で買い材料視、米10年債利回りは前日比0.02%上昇
〇134円以上での推移中は、134.67超えから135円台前半を目指すとみる
〇133.50割れからは仕切り直しの下落とみて、132円台後半への下落を想定する
【概況】
ドル円は8月15日夜安値で132.54円まで反落したところから16日夜高値134.67円まで2円を超える反騰となり、8月12日夜高値133.89円を超えて8月11日夜安値131.72円以降の高値を更新した。
8月10日の米CPI、11日の米PPIがいずれも予想を下回り米FRBによる利上げペースが鈍化すると受け止められたことで135円前後の水準だったところから8月10日夜安値で132.01円へ、8月11日夜安値で131.72円へと大幅下落した後だったが、15日に米中経済指標の悪化と米長期債利回り低下を見ていったんは戻り売りにつかまったものの8月11日安値からは底上げをして、16日は午後からの米長期債利回り上昇を見て12日高値を超える上昇となった。大幅下落していたユーロやポンド等が戻してクロス円全般が上昇したことも円安に寄与した。7月14日高値139.39円から8月2日安値130.39円まで大幅下落した後、新たな安値更新を回避して持ち直しを図る動きを見せているところだが、米長期債利回り上昇が勢い付くのかどうか、明日未明のFOMC議事録公開内容が注目される。
【米住宅着工は予想を下回るも鉱工業生産は堅調】
8月16日に米商務省が発表した7月住宅着工件数(年換算)は前月比9.6%減の144万6000戸となり、市場予想の154万戸を下回った。米FRBによる利上げを反映して住宅ローン金利が上昇していることとインフレ高止まりによる価格高騰が住宅取得意欲を削いており、前月比の落ち込みぶりは2021年2月以来の水準となった。ただ、先行指標である住宅着工許可件数は1.3%減の167万4000戸にとどまり、市場予想の165万戸を上回った。
米FRBが発表した7月鉱工業生産は前月比0.6%上昇となり、6月の0.2%低下から持ち直して市場予想の0.3%上昇を上回った。製造業では前月比0.7%上昇で市場予想の0.2%上昇を上回った。また7月の設備稼働率は80.3%で6月の79.9%から上昇して市場予想の80.1%を上回った。
住宅市況の悪化や全般的な景気後退感はあるものの製造業は堅調であり、金融引き締めによるリセッション入りへの懸念は継続しているものの深刻な不況への不安感はまだ緩いようだ。
【米長期債利回りはまちまち、ダウは5連騰】
8月16日のNYダウは前日比239.57ドル高と上昇して5連騰となった。金融引き締めに入り大幅利上げが続く中での景気後退懸念がある一方、最近の経済指標の鈍化傾向により米FRBの大幅利上げペースも鈍化するだろうとして株式市場は楽観的といえる。この日は米小売り大手のウォルマートやホーム・デポの5-7月期決算が堅調だったことも買い材料視された。ただナスダック総合指数は米長期債利回り上昇局面で売られて前日比25.50ポイント安と小幅低下に終わった。
一方で米長期債利回りはまちまちだった。長期金利の指標である10年債利回りは前日比0.02%上昇の2.81%で終了、一時は2.87%をつけた。8月2日に2.52%をつけて6月14日のピークである3.25%以降の安値としたところから持ち直していたが、8月12日に2.91%まで高値を切り上げた当日から15日にかけて2日間の続落となっていたものの、16日はダウの連騰を見て株買い債券売りによる利回り上昇を招いた印象だ。FOMC議事録前のポジション調整的な買い戻しも見られた。
30年債利回りは0.01%低下の3.09%に終わり、2年債利回りは0.08%上昇の3.27%となった。2年債と10年債の逆イールドが続いているが、逆イールド幅は8月10日にマイナス0.56%まで拡大して2000年以降で最大となったが、16日もマイナス0.43%と格差が大きいままとなっている。
8月17日未明に公開されるFOMC議事録内容で9月FOMC及び年末にかけての利上げペースがタカ派的なものになるのか見定めたいところだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、8月11日夜安値をサイクルボトムとして強気サイクル入りしたが、15日夜安値からの反騰を続けて16日夜に12日夜高値を超えたため、現状は15日夜安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクル入りしていると思われる。サイクルトップ形成期は17日夜から19日夜にかけての間と想定されるため、17日の日中から夜にかけては高値試しを続けやすい時間帯と思われるが、133.50円を割り込むような下落発生の場合は直前高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りにより17日夜から18日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では8月16日夜の上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いているため、遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は8月10日夜から11日夜への一段安に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行を発生させてからの上昇基調が続いている。15日夜の40ポイント割れから切り返して16日夜には80ポイントに迫り、その後も60ポイント以上を維持しているため上昇継続とみるが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる場合はその後に50ポイント割れするところからの下げ再開を疑う。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、133.50円を下値支持線、8月16日夜高値134.67円を上値抵抗線とする。
(2)134円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは134.67円超えから135円台前半を目指すとみる。135.30円以上は反落警戒とするが、134円以上での推移なら18日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)133.75円割れを弱気転換注意とし、133.50円割れからは仕切り直しの下落とみて132円台後半への下落を想定する。132円台後半では押し目買いも入りやすいとみるが、133.50円以下での推移なら18日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
8/17(水)
休場、インドネシア
10:30 (豪) 4-6月期 賃金指数 前期比 (1-3月 0.7%、予想 0.8%)
11:00 (NZ) RBNZ・ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 2.50%、予想 3.00%)
15:00 (英) 7月 CPI・消費者物価指数 前月比 (6月 0.8%、予想 0.4%)
15:00 (英) 7月 CPI・消費者物価指数 前年同月比 (6月 9.4%、予想 9.8%)
15:00 (英) 7月 CPI・消費者物価コア指数 前年同月比 (6月 5.8%、予想 5.9%)
15:00 (英) 7月 RPI・小売物価指数 前年同月比 (6月 11.8%、予想 12.1%)
18:00 (欧) 4-6月期 GDP改定値 前期比 (速報 0.7%、予想 0.7%)
18:00 (欧) 4-6月期 GDP改定値 前年同期比 (速報 4.0%、予想 4.0%)
21:30 (米) 7月 小売売上高 前月比 (6月 1.0%、予想 0.1%)
21:30 (米) 7月 小売売上高・除自動車 前月比 (6月 1.0%、予想 0.0%)
23:00 (米) 6月 企業在庫 前月比 (5月 1.4%、予想 1.4%)
23:30 (米) EIA・エネルギー省週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省20年債入札
27:00 (米) FOMC・連邦公開市場委員会議事要旨
8/18(木)
10:30 (豪) 7月 新規雇用者数 (6月 8.84万人、予想 2.65万人)
10:30 (豪) 7月 失業率 (6月 3.5%、予想 3.5%)
18:00 (欧) 6月 建設支出 前月比 (5月 0.4%)
18:00 (欧) 6月 建設支出 前年同月比 (5月 2.9%)
18:00 (欧) 7月 HICP・消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 8.9%、予想 8.9%)
18:00 (欧) 7月 HICP・消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (速報 4.0%、予想 4.0%)
21:30 (米) 8月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (7月 -12.3、予想 -5.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 26.2万件、予想 26.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 142.8万人、予想 145.0万人)
23:00 (米) 7月 中古住宅販売件数・年率換算 (6月 512万件、予想 488万件)
23:00 (米) 7月 中古住宅販売件数 前月比 (6月 -5.4%、予想 -4.7%)
23:00 (米) 7月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (6月 -0.8%、予想 -0.5%)
26:20 (米) ジョージ・カンザスシティ連銀総裁、講演
26:45 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論会参加
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2022.08.17
ドル円、134円台半ばを回復。先週の米CPI後の下げ幅を概ね取り戻す展開(8/17朝)
16日(火)のドル円相場は下落後に急上昇。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。