ドル続落に要注意、米指標などに一喜一憂か
〇本日のドル円、134.65レベルを示現した後にドル安進行、132.50-55まで一時値を下げる
〇7/27に記録した137.46を目先高値に、本日にかけておよそ5円下落、過去1年程度で最大の下押し
〇大きな流れはドル高基調だがトレンド転換の可能性も、6月半ば安値131.49をめぐる攻防に要注意
〇しばらくは発表される経済指標や企業決算、株価の動きなどに一喜一憂する展開か
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは132.10-133.60、ドル高・円安方向は133円半ばに弱い抵抗
〇ドル安・円高方向は、本日東京安値の132円半ばをめぐる攻防に注目
<< 東京市場の動き >>
29日の東京市場はドルが大幅続落。6月17日以来、およそ1ヵ月半ぶりの132円台を示現している。
ドル/円は134.25円レベルで寄り付いたのち、当初はドルの強保ち合い。一連の動きのなかで日中高値の134.65円レベルを示現した。しかし、昼頃に突然底割れするとストップロスを巻き込みつつ、そのまま夕方に掛けて一気にドル安が進行。日中高値から2円程度も下落した132.50-55円まで一時値を下げ、16時現在でもそのままドルは安値圏で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「米中首脳会談」と「米ファンダメンタルズと金融政策」について。
前者は、バイデン米大統領と中国の習国家主席が、実に2時間を超える長時間の電話会談を行った。習氏は台湾情勢をめぐり台湾の独立と外部の干渉に断固反対すると強調したうえで、ペロシ米下院議長の台湾訪問にも強い懸念を示したようだ。対して米国は、現状の変更もしくは台湾海峡の平和と安定を損なうような一方的な動きに、強く反対すると伝えたという。なお、そののちペロシ氏による日本を含めたアジア歴訪日程が伝えられたが、台湾は「仮」の訪問先として記載されているだけで、正式訪問するかは未定だった。
対して後者は、27日の米FOMC後の記者会見でパウエルFRB議長は「いずれ利上げペースを落とすことになる」などと発言し、市場の金利先高観に懸念を示したが、昨日発表された4-6月期の米GDP速報値は2期連続のマイナス成長となり、「マイルドリセッション」入りが声高に指摘され始めている。こうした見方が、本日東京時間の1ヵ月半ぶりドル/円安値示現などにも繋がっていた感を否めない。ただ、バイデン氏はその後の会見で、景気減速は驚くべきことではないとの見解を示したうえで、「我々は正しい道を進んでいる」とFRBの行動も正当化していた。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は27日に記録した137.46円を目先高値に、本日東京にかけおよそ5円の下押しが入っている。ドル高の起点をどこから取るのかにもよるが、少なくとも過去1年程度では最大の下押しが入っていることに間違いない。まだ大きな流れ、中期的なドル高基調そのものは変わっていないと思われるものの、それでもトレンド転換についてもそろそろ考える必要があるようだ。6月半ば安値131.49円をめぐる攻防にまずは要注意。
米国は、先日のFOMCを含めて2会合連続「0.75%」という大幅利上げを実施したものの、その反動ともいえる景気減速が鮮明となってきた。これまでのように積極的にドルを買っていくことは出来ないとの指摘も多い。しばらくは広義の米ファンダメンタルズ、具体的には発表される経済指標や企業決算、株価の動きなどに一喜一憂する展開か。いずれにしても、さらなるドル安・円高の進行にも注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、ドル/円は27日の137.46円を目先高値に、あれよあれよという間に5円も下落。久しぶりの本格的な価格調整が入っている。以前もレポートした6月半ば安値131.49円を起点とした上げ幅のフィボナッチでは、半値戻しや61.8%戻しだけでなく76.4%戻しの133.35円も下回っており、100%戻しも否定できない状況だ。ややドル安の進行スピードが速いことが気掛かりではあるものの、根っこ部分は依然としてドルロングと見られるだけに、さらなる下押しにも一応要注意。
一方、本日は米経済指標として、6月のPCEデフレーターや7月のミシガン大学消費者信頼感指数確報などが発表されるほか、米企業の決算発表も引き続き活発で、それらはいずれも要注意。また、米国ではないが本日はドイツやユーロ圏の4-6月期GDP速報値が発表される予定で、そちらも警戒されている。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは132.10-133.60円。ドル高・円安方向は133円半ばに弱い抵抗あり。抜けたら134円前後がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値の132円半ばをめぐる攻防に注目。割り込めば132円割れも否定できない。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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