ドル円、与党圧勝と黒田総裁発言で約23年10ヵ月ぶり高値圏へ急上昇
〇ドル円米国時間にかけ23年10か月ぶり高値137.76まで急上昇
〇本邦参議院選での与党圧勝、黒田日銀総裁のハト派発言等が背景
〇ユーロドル、ユーロ圏のエネルギー供給不安、欧州経済先行き不透明感に1.0034まで下落
〇ドル円、全てのテナーで強い買いシグナル点灯、テクニカルの地合い極めて強い
〇ファンダメンタルズもドル高・円安トレンドの継続材料多い
〇ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想、心理的節目140.00が次のターゲット
〇本日の予想レンジ:136.50ー138.50
海外時間のレビュー
週明け11日(月)のドル円相場は急上昇。アジア時間早朝にかけて、安値135.99まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、@先週末金曜日に発表された米6月雇用統計が良好な結果となったこと(ドル高圧力)や、A週末の参議院選で自民・公明与党が圧勝したこと、B黒田日銀総裁による「必要があれば躊躇なく追加緩和」とのハト派的な発言、C上記@ABを背景とした日米金融政策の方向性の違い(米FRBによるタカ派傾斜観測と、日本政府・日銀による金融緩和の長期化観測)、D日経平均株価の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)、E6/29に記録した直近高値137.01を突破したことに伴う仕掛け的なドル買い・円売りが支援材料となり、米国時間にかけて、高値137.76(1998年9月以来、約23年10ヵ月ぶり高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間7/12午前5時15分現在)でも、137.43前後で推移しております。
週明け11日(月)のユーロドル相場は冴えない動き。アジア時間早朝にかけて、高値1.0184まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの高まりや、A上記@を背景としたユーロ圏へのエネルギー供給不安、B欧州経済の先行き不透明感(スタグフレーション懸念が燻る中での金融引き締め→欧州経済への逆風)、C欧米金融政策の方向性の違い、Dパリティ割れを狙った仕掛け的なユーロ売り・ドル買い、E欧州株の軟調推移が重石となり、米国時間にかけて、2002年12月以来、約19年7ヵ月ぶり安値1.0034まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間7/12午前5時15分現在)では、1.0045前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は6/29に記録した直近高値137.01を上抜けすると、1998年9月以来、約23年10ヵ月ぶり高値となる137.76まで急伸しました。上位足から下位足に至る全てのテナーで強い買いシグナル(一目均衡表三役好転や強気のパーフェクトオーダーなど)が点灯するなど、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。
ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜観測(先週は複数の米当局者より「景気よりインフレ抑制を重視する構え」が再強調。米6月ISM非製造業景況指数や米6月雇用統計が力強い内容を示したことも連続大幅利上げ観測を後押し)や、A日銀による金融緩和の長期化観測(黒田日銀総裁は昨日「必要があれば躊躇なく追加緩和」とハト派的なスタンスを再強調)、B上記@Aを背景とした日米金融政策格差(日米名目金利差拡大に伴うドル買い・円売り)、C米政府・当局によるドル高容認観測(米国はインフレ抑制に繋がるドル高を容認する構え)、D日本国民による円安容認観測(週末の参議院選で自民・公明与党が圧勝→日本国民が足元の円安を容認したとの見方が拡大)など、ドル高・円安トレンドの継続を連想させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします(心理的節目140.00が次のターゲット)。尚、本日は日本時間13:45から始まる日米財務相会談(鈴木俊一財務相とイエレン米財務長官)に注目が集まります。市場の関心は「円安」についての両大臣の見解に移っていますが、上述の通り、米国はインフレ抑制に繋がるドル高を当面の間容認する構えを示しているため、本日の日米財務相会談で足元の円安をけん制する類の発言は出てこないと予測されます。このため、日米財務相会談後のドル円急伸に注意が必要でしょう(円安けん制発言なし→ドル売り・円買い為替介入観測後退→ドル円上昇の波及経路に要警戒)。
本日の予想レンジ:136.50ー138.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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