短期調整局面継続で上値は重くなる
〇先週のドル円、パウエル議長タカ派発言で7月0.75%利上げを意識、137.00をつけ年初来高値更新
〇週後半は日経平均株価の下げがリスクオフの円買いに、134円台後半まで下げる
〇日米金利差拡大でドル高・円安の動きは継続だが、今週は短期的な調整局面か
〇今週はFOMC議事録公表、米6月ISM非製造業景況指数、同雇用統計発表など予定
〇今週は134.00レベルをサポートに136.00レベルをレジスタンスとする週とみる
今週の週間見通し
先週のドル円は、前週の136.71レベルで目先の高値をつけたと考える向きが多かった一方で長期的には押し目を拾いたいと考える参加者も多かったのですが、結局週初の押しを安値にじり高となる動きの中、135円台前半ではドル買いに動いた向きが多かったことが改めて円安に動くきっかけとなりました。その後ECB年次フォーラムでパウエルFRB議長がタカ派的な発言をしたことから137.00レベルの高値をつめましたが、積極的に買い上げるほどの材料でも無く、週後半は日経平均株価の下げがリスクオフの円買いとなったことから134円台後半まで押しが入る動きとなっていました。
ドル円はベースには日米金利差の拡大がドル高・円安の動きを継続させていますが、先々週には下げから上昇に転じていた株式市場が改めて下げる動きとなり、先週は日経平均株価が下げる動きにより従来型のリスクオフから円買いが強まる動きが目立ちました。株式市場は米国の大幅かつ速いペースの利上げ思惑が景気後退を懸念させ、世界の主要株価指数に影響を及ぼしています。ただ、米国政府もFRBも今は景気を犠牲にしてもインフレを抑えることを中心に置いているため、しばらくは株式市場の上値は抑えられやすい流れになってきました。
そうした中でここからの動きを考えると、先々週の136.71レベルは高値にならなかったものの先週の137.00レベルは高値になる可能性が高く、短期的とはいえ現在のドル円は戻り売りを考える流れにあります。今週はイベントとしてはFOMC議事録公表、米国雇用統計、参議院選挙といったあたりですが、FOMC議事録はタカ派な内容でしょうし、米国雇用統計も非農業部門の雇用者総数がコロナショック前のピークまで84.1万人にまで近づき、ほぼ完全雇用状態にあることを考えると一時的な材料としかならないでしょう。
なお参議院選挙も与党過半数からどこまで伸ばせるかという話となっていることから、相場への影響は限定的と思われます。ただ株式市場が好感すれば円安となる可能性もありますので、このあたりは来週の週報でもう一度見てみます。
テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
ドル円(日足)チャート
先週高値は137.00レベルと136.42(3月末の押しを起点に上昇N波動を考えた場合の100%エクスパンション)をだいぶ超えてしまった感はありますが、次のターゲットまでは距離も大きくかろうじて誤差の範囲内の高値と見てもよさそうです。すると6月16日安値と先週高値との押しを考えることとなりますが、半値押しが134.24、61.8%押しが133.59(それぞれ赤のターゲット)となっていて、これら両ターゲットの間までは押す可能性があると見てよいでしょう。
いっぽうで上値に関しては青のラインで示した上昇ウェッジを下抜けつつあり、その下側のラインが135円台後半から136円台に上昇していますので、136円を上値の目途と見ておけば良さそうです。今週は短期的な調整局面継続を考え、134.00レベルをサポートに136.00レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
7月4日(月)
**:** NY市場休場
10:30 豪州5月住宅建設許可
15:00 ドイツ5月貿易収支
18:00 ユーロ圏5月PPI ☆
23:00 ドイツ連銀総裁講演
24:00 デギンドスECB副総裁講演
7月5日(火)
10:45 中国6月MarkItサービス業PMI
13:30 豪中銀政策金利発表 ☆
15:45 フランス5月鉱工業生産
16:50 フランス6月サービス業PMI
16:55 ドイツ6月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏6月サービス業PMI
17:30 英国6月サービス業PMI
18:30 英中銀金融安定報告書公表 ☆
23:00 米国5月製造業新規受注
7月6日(水)
15:00 ドイツ5月製造業新規受注
16:00 フィンランド中銀総裁講演
17:30 英国6月建設業PMI
18:00 ユーロ圏5月小売売上高
22:45 米国6月サービス業PMI
23:00 米国6月ISM非製造業景況指数 ☆
27:00 FOMC議事録公表 ☆
7月7日(木)
10:30 豪州5月貿易収支
15:00 ドイツ5月鉱工業生産
18:45 レーンECB理事講演 ☆
20:30 ECB理事会議事録公表 ☆
20:30 米国6月チャレンジャー人員削減数
21:15 米国6月ADP全国雇用者数 ☆
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国5月貿易収支
24:00 週間原油在庫統計
26:00 ウォラーFRB理事講演
26:00 セントルイス連銀総裁講演
7月8日(金)
08:50 本邦5月貿易収支(国際収支)
15:45 フランス5月貿易収支
20:55 ラガルドECB総裁講演 ☆
21:30 米国6月雇用統計 ☆
23:00 米国5月卸売売上高
24:00 NY連銀総裁講演
7月10日(日)
**:** 参院選投開票 ☆
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
6月27日(月)
ドル円は朝方の株の下げに引っ張られて134.52レベルの安値をつけましたが、下がったところで買いたい向きが多かったこと、また米金利が上昇する動きも重なって東京昼前から海外市場を通してじり高の展開を辿りました。NY朝方には135.55レベルの高値をつけましたが、米金利の上昇も止まり引けにかけては横方向のもみあいとなりました。
6月28日(火)
ドル円は東京午後3時頃までは前日高値圏で動意薄の展開を続けていましたが、底堅かった株式市場が引け後に日経先物一段高の動きとともにリスクオンの円売りが強まりました。前週後半に下げきれず押し目買いを狙っていた向きが諦めて135円台半ばで買った動きもドル高の動きを強め、NY後場には136.38レベルまで上昇後、高値もみあいのまま引けました。
6月29日(水)
ドル円は東京市場では前日の高値圏でもみあいを続けていましたが、欧州市場に入り目立った材料も無い中で前日高値を上抜けると買い仕掛けと見られる動きが強まりました。前日に続いて月末実需のドル買いも入っていたと見られましたが、ECB年次フォーラム最終日のパウエル議長講演ではインフレを抑える発言が7月0.75%利上げを意識させ一時137.00レベルと年初来高値を更新、引けにかけてはやや押して引けました。
6月30日(木)
ドル円は前日に137円をつけ達成感もあった様子で東京市場では株安も重なって上値が重たい流れが続きました。海外市場に入り米金利低下と日経先物の下げを見て改めて売りが広がりNY市場ではユーロドルの買いがドル円の上値を抑える結果となり135.55レベルまで下げ安値圏で引けました。
7月1日(金)
ドル円は東京市場寄り付き直後に135.99レベルの高値を見た後は日経平均株価が下げる動きとともにリスクオフの円買いの動きとなりました。欧州市場序盤には134.74レベルの安値をつけましたが、押しでは買いも見られ135.20レベルをもみあいの中心としてそのまま週末クローズとなりました。
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