ドル円、高値更新後に反落に転じるも下値は堅い。パウエル議長はインフレ抑制に強くコミット(6/23朝)

22日(水)のドル円相場は下落後に持ち直す展開。

ドル円、高値更新後に反落に転じるも下値は堅い。パウエル議長はインフレ抑制に強くコミット(6/23朝)

ドル円、高値更新後に反落に転じるも下値は堅い。パウエル議長インフレ抑制にコミット

〇ドル円、米国時間にかけ135.71まで下落するもパウエル議長のタカ派発言等に136円台回復
〇ユーロドル、米金利低下、株式市場の持ち直しに1.0606まで急伸後1.0565に反落
〇ドル円、アジア時間に約23年8ヵ月ぶり高値136.71を示現、その後反落するも下値堅い
〇テクニカルの地合い極めて強く、ファンダメンタルズもパウエル議長がインフレ抑制重視の姿勢再鮮明化
〇ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:135.25ー137.00

海外時間のレビュー

22日(水)のドル円相場は下落後に持ち直す展開。アジア時間朝方にかけて、約23年8ヵ月ぶり高値となる136.71まで上値を伸ばすも、心理的節目137.00をバックに伸び悩むと(短期筋による利食い売りが強まると)、@株式市場の軟調推移(時間外のダウ先物の下落)や、A上記@を背景としたリスク回避の円買い圧力、BパウエルFRB議長の半期に一度の議会証言を控えたポジション調整、C米金利低下に伴うドル売り圧力(米10年債利回りは先週6/16に記録した3.49%から3.13%へ急低下)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値135.71まで急落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、DパウエルFRB議長による半期に一度の議会証言でのタカ派的な発言(100bpの利上げに関する質問に対し、「いかなる利上げ幅も排除しない」と回答→インフレ押し下げへの強いコミットを改めて強調)や、E米主要株価指数の持ち直し(ダウ平均株価がマイナス圏からプラス圏へ浮上)、F上記Eを背景としたリスク選好の円売り圧力、Fシカゴ連銀エバンズ総裁による「今後数カ月で政策金利をさらに大幅に引き上げる必要性がある」とのタカ派的な発言が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間6/23午前5時00分現在)では、136.25前後まで持ち直す動きとなっております。

22日(水)のユーロドル相場は下落後に急反発。@株式市場の軟調推移や、A上記@を背景としたリスク回避のドル買い圧力、B欧州債利回りの急低下、C欧州経済の先行き不透明感などが重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値1.0470まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、C米金利低下に伴うドル売り圧力や、D株式市場の持ち直し、E短期筋のショートカバーが支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0606まで急伸する場面も見られました。もっとも、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線に続伸を阻まれると、F米当局者によるタカ派的な発言(パウエルFRB議長やシカゴ連銀エバンズ総裁など)や、Gユーロ圏6月消費者信頼感指数(結果▲23.6、予想▲20.5)の冴えない結果が重石となり、本稿執筆時点(日本時間6/23午前5時00分現在)では、1.0565前後まで反落する展開となっております。

本日の見通し

ドル円はアジア時間早朝にかけて136.71まで上昇するなど、1998年10月以来、約23年8ヵ月ぶり高値を更新しました(その後135.71までちょうど1円の値幅で下落するもすぐに136円台まで持ち直すなど下値が堅い)。ローソク足が全ての主要テクニカルポイントの上側に位置していること(ダウンサイドに複数のサポートポイントを控えているため、下がったところでは押し目買いがでやすい。黒田シーリング2と呼ばれた135円台がロールリバーサルでサポートとして意識されている状態)や、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転、強気のパーフェクトオーダー、ダウ理論の上昇トレンド」が成立していることなどを踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜観測(パウエルFRB議長は半期に一度の議会証言委で「インフレ抑制重視」のスタンスを最強調。100bpの利上げに関する質問に対しても「いかなる利上げ幅も排除しない」と否定せず)や、A日銀による金融緩和の長期化観測、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い、C日本とその他各国との金融政策格差(米国のみならず世界の大半の国が金融引き締めスタンスに転換する中、日本とその他各国との金融政策格差は顕著→構造的に円独歩安に繋がり易い)、D米国によるドル高容認スタンス(米財務省が先週公表した半期為替報告書や、パウエルFRB議長による議会証言でも円安に対するけん制は入らず→米国はインフレ抑制に繋がり得るドル高を容認する構え)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米1ー3月期経常収支、米新規失業保険申請件数、米6月製造業・非製造業PMI速報値、パウエルFRB議長による下院金融委員会での議会証言、米6月カンザスシティ連銀製造業活動指数などに注目が集まります。米経済指標が良好な結果を示す場合や、パウエル議長よりタカ派的な発言が出てくる場合などには、リスク選好の円売りと、米タカ派傾斜に伴うドル買いが組み合わさることから、ドル円には再び上昇圧力が加わるものと推察されます。目先は1998年10月1日に記録した直近高値136.93や、1998年9月24日高値137.24を試すシナリオを想定いたします。

本日の予想レンジ:135.25ー137.00

注:ポイント要約は編集部

ドル円、高値更新後に反落に転じるも下値は堅い。パウエル議長インフレ抑制にコミット

ドル円日足

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