米連銀議長の議会証言にサプライズ無く米長期債利回り低下、上昇一服で揉み合う
〇パウエル議長議会証言サプライズなく米長期債利回り低下、ドル円は一時135.67まで下落
〇パウエル議長、利上げによるドル高に対する懸念見られず、ドル円の円安についても許容範囲
〇議会証言でのリセッションへの言及で株式市場にはマイナス、NYダウ前日比47.12ドル安に
〇22日夜安値135.67割れからは134円台後半を試すとみる、134.50以下は反騰警戒
〇22日朝高値136.71超えからは新たな上昇期入りとみて138円試しへ向かうとみる
【概況】
ドル円は6月22日朝に136.71円へ上昇、1998年8月天井147.63円直後の1998年10月以来となる136円台後半に到達したがその後は利益確定売りにやや押される展開。6月22日夜はパウエル米連銀議長の議会証言で特段のサプライズなく米長期債利回りが低下したために一時135.67円まで下落し、その後は136円台序盤へ戻したものの23日午前序盤には136円を割り込んでおり、6月16日夜からの急伸も一服している。
【米連銀議長、ソフトランディング目指すもリセッションのリスクに言及】
米連銀のパウエル議長は6月22日に上院銀行委員会で半期に一度の証言に立ち金融政策姿勢を説明した。議長はインフレ抑制へ利上げを継続してゆく姿勢を改めて表明し、金融引き締めによる景気への影響についてはソフトランディングを目指すとしたものの難しくなっており、リセッション=景気後退に陥る可能性は現時点では特に高まっているとは思わないとしたがその可能性はあると言及した。議長は「意図した結果ではなくても確かにリセッションの可能性はある」「リセッションを引き起こすつもりはないが物価安定の回復が絶対に不可欠だ」と述べている。
米連銀FOMCは3月に0.25%、5月に0.50%、6月に0.75%の利上げを決定し、7月についても0.50%ないし0.75%の利上げ可能性を示唆している。議長は「現行の政策金利はなお低水準」とし、「より中立的な水準(2.5%)へ一層素早く引き上げたい」と述べた。
現段階での市場の認識は7月に0.75%利上げ、9月も0.50%利上げが行われ、その後に0.25%の通常の利上げ幅へと落ち着かせる可能性を模索する流れと受け止めているところだが、今後のインフレ動向次第では0.50%以上の大幅利上げがしばらく続く可能性も否定できないところだ。
パウエル議長の発言姿勢については6月16日未明のFOMC後の会見時と比較すればやや落ち着いた印象との声もあり、よりタカ派的にはならなかったとしてサプライズは無しと市場は受け止めたようだ。また為替についても利上げによるドル高に対する懸念は見られず、ドル円としては現状の円安についても許容範囲と見られている印象となったようだ。
【米長期債利回りは大幅低下】
パウエル議長の議会証言ではリセッションへの言及があったことで、株式市場にはマイナスとなりNYダウが前日比47.12ドル安、ナスダック総合指数が16.22ポイント安と下げたが、債券市場には安全資産買いのバイアスが働いて長期債利回り低下反応となった。
指標の10年債利回りは前日比0.12%の大幅低下で3.16%となり、6月14日につけた昨年来最高値3.50%以降の安値更新となった。下落規模としては5月9日に3.20%まで上昇したところから5月27日2.70%まで下げた時に近いかやや角度の大きい調整局面という印象だ。
30年債利回りは0.09%低下の3.25%、2年債利回りは0.13%低下の3.07%となった。ドル円にとっては一段高への押し上げにかける動きだが、依然として高水準にあるため日米金利差の拡大基調は変わらずドル円の大上昇基調も継続と思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては6月15日朝高値からの急落を6月16日深夜安値からのV字反騰で解消したために、6月21日時点では6月16日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして高値形成期を20日朝から22日午前にかけての間と想定した。
6月22日朝高値136.71円から22日夜にいったん135.67円まで下げているため、22日朝高値で直近のサイクルトップを付けて調整期に入っている印象だ。ボトム形成期は21日夜から23日夜にかけての間と想定されるため、すでに反騰注意期にあるが、22日午前高値を超えないうちはもう一段安余地ありとし、22日午前高値超えからは新たな強気サイクル入りとして25日朝から29日朝にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では6月22日夜の下落時に遅行スパンが悪化したが、先行スパンに若干食い込みながらも転落を回避している状況にある。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が早まる可能性に注意するが、遅行スパンが再び好転するところからは上昇再開とみて高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は6月22日夜に40ポイント台まで低下し、50ポイント台へ戻しても維持できずにいるため、まだ下落余地が残る印象だ。60ポイントを超えないうちは30ポイント台への低下余地ありとし、30ポイント前後は反発注意とする。60ポイント超えからは上昇再開と仮定して70ポイント超を目指す流れとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月22日夜安値135.67円を下値支持線、6月22日朝高値136.71円を上値抵抗線とする。
(2)6月22日朝高値を超えないうちは一段安余地ありとし、135.67円割れからは134円台後半(135円から134.50円)を試すとみる。134.50円以下は反騰警戒とするが、136円を下回っての推移なら24日午前にかけて安値試しを続けやすいとみる。
(3)6月22日朝高値を超えるところからは新たな上昇期入りとみて138円試しへ向かうとみる。138円到達では売られやすいとみるが、136.71円を超えた後も136.50円以降での推移なら24日午前にかけても高値試しへ向かいやすく、先行きでの140円到達の可能性も高まってくると思われる。
【当面の主な予定】
6/23(木)
米連銀の銀行ストレステスト結果公表、EU首脳会議(6/24まで)
16:30 (独) 6月 製造業PMI速報値 (5月 54.8、予想 54.0)
16:30 (独) 6月 サービス業PMI速報値 (5月 55.0、予想 54.5)
17:00 (欧) 6月 製造業PMI速報値 (5月 54.6、予想 53.9)
17:00 (欧) 6月 サービス業PMI速報値 (5月 56.1、予想 55.5)
17:30 (英) 6月 製造業PMI速報値 (5月 54.6、予想 53.7)
17:30 (英) 6月 サービス業速報値 (5月 53.4、予想 53.0)
21:30 (米) 1-3月期 経常収支 (10-12月 -2179億ドル、予想 -2735億ドル)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.9万件、予想 22.7万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 131.2万人、予想 131.5万人)
22:45 (米) 6月 製造業PMI速報値 (5月 57.0、予想 56.0)
22:45 (米) 6月 サービス業PMI速報値 (5月 53.4、予想 53.5)
22:45 (米) 6月 総合PMI速報値 (5月 53.6、予想 52.8)
23:00 (米) パウエル米連銀議長、半期毎の議会証言(下院金融委員会)
24:00 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省インフレ指数連動5年債入札
6/24(金)
休場、ニュージーランド
08:01 (英) 6月 GFK消費者信頼感 (5月 -40、予想 -40)
08:30 (日) 5月 全国消費者物価指数 前年同月比 (4月 2.5%、予想 2.5%)
08:30 (日) 5月 全国消費者物価指数・生鮮食品除く 前年同月比 (4月 2.1%、予想 2.1%)
08:30 (日) 5月 全国消費者物価指数・生鮮食品・エネルギー除く 前年同月比 (4月 0.8%、予想 0.8%)
08:50 (日) 5月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (4月 1.7%、予想 1.7%)
15:00 (英) 5月 小売売上高 前月比 (4月 1.4%、予想 -0.7%)
15:00 (英) 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 -4.9%、予想 -4.5%)
15:00 (英) 5月 小売売上高・除自動車 前月比 (4月 1.4%、予想 -0.9%)
15:00 (英) 5月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (4月 -6.1%、予想 -5.0%)
15:40 (日) 雨宮日銀副総裁、全国信用金庫大会挨拶
17:00 (独) 6月 IFO企業景況感指数 (5月 93.0、予想 92.7)
20:30 (豪) ロウ豪中銀総裁、討論会参加
21:30 (英) ピル英中銀理事、講演
22:45 (英) ハスケル英中銀委員、講演
23:00 (米) 6月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 50.2、予想 50.2)
23:00 (米) 5月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (4月 59.1万件、予想 59.0万件)
23:00 (米) 5月 新築住宅販売件数・前月比 (4月 -16.6%、予想 -0.2%)
29:00 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、講演
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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