ドル円見通し 1998年10月以来の136円台到達、円安に歯止めかからず限界試し続く(22/6/22)

21日夜には136円台に到達、さらに22日早朝は136.71円へ高値を伸ばしている。

ドル円見通し 1998年10月以来の136円台到達、円安に歯止めかからず限界試し続く(22/6/22)

ドル円見通し 1998年10月以来の136円台到達、円安に歯止めかからず限界試し続く

〇ドル円、6/21夜に98年10月以来の136円台到達、6/22早朝136.71へ高値伸ばす
〇米市場休場明けのNYダウは反発、株高債券売りで米10年債利回り3.28%へ上昇
〇今晩のパウエル議長議会証言、利上げペース加速支持の場合、ドル円一段高招くか
〇5月米中古住宅販売戸数、20年6月以来の低水準、連銀利上げ開始で不動産業界に陰りも
〇136円以上での推移中は上昇余地ありとし、137円超えからは138円を目指した上昇を想定する
〇135.75割れを弱気転換注意として、135.00前後試しを想定する

【概況】

ドル円は6月15日午前高値で135.58円をつけて2021年1月底102.57円以降の最高値を更新したところから6月16日夜安値131.48円まで4.10円の急落となったが、17日深夜には135.42円へ切り返すV字反騰となり、2日間で4円を超えた下げ幅を丸1日で解消した。
6月20日は米国市場休場で手掛かりにかけ21日の日中も休場の余波で値動きが乏しく135円を挟んでほぼ横ばいの推移だったが、休場明けの欧米市場で株高となり米長期債利回りが反発、岸田首相が金融緩和政策維持を支持する発言を行い、リッチモンド連銀総裁の大幅利上げ支持発言等を背景に6月15日高値を超えて21日夜には136円台に到達、さらに22日早朝は136.71円へ高値を伸ばしている。
136円台は1998年8月11日天井で147.63円をつけた直後の1998年10月以来の水準、137円に迫ったことにより140円台への先高期待も強まるところだ。今晩23時、米連銀のパウエル議長による半期に一度の議会証言が注目される。

【株高債券売りで米長期債利回りは反発】

米長期金利の指標である10年債利回りは先週末比0.05%高の3.28%と上昇した。6月14日3.50%をつけて昨年来の最高値を更新したところから6月16日未明の米FOMCによる0.75%利上げ決定を通過して当面の材料消化により低下へ転じて6月16日には3.18%まで下げていたが、先週末は下げ渋りとなり6月20日の米国市場休場明けはNYダウの反発などによる株買い債券売りの動きもあって利回り上昇となった。
30年債利回りは先週末比0.06%高の3.34%、利上げに敏感な2年債利回りも0.01%高の3.20%へとわずかに上昇した。

6月21日のNYダウは前日比641.47ドル高と反騰した。1月5日の史上最高値3万6952.65ドルを天井とした下落が続き、6月8日から14日まで5営業日続落、6月16日に前日比741.46ドル安で3万ドルを割り込み6月17日には2万9653.29ドルまで安値を切り下げてきたが、連休明けで市場心理もやや落ち着いて買い戻し優勢となった印象だ。ナスダック総合指数も6月17日の前日比152.25ポイント高から21日は270.95ポイント高の連騰となり11000ポイント台を3日ぶりに回復した。
しかし株安基調を覆すような新たな強気材料も見られず下げ過ぎの反動で買い戻された程度の動きにとどまっている。6月21日に発表された米不動産業者協会(NAR)の5月米中古住宅販売戸数(年率換算)は前月比3.4%減の541万戸となり2020年6月以来の低水準となったが、米連銀の利上げ開始により住宅ローン金利も上昇、モノ不足によるインフレと賃金上昇によるコストアップで不動産価格が高騰した状況にあり不動産業界のバブル的な上昇に陰りが見えることが懸念材料だ。

【日銀の金融緩和継続と米連銀の利上げペース加速の差で円安はまだ続く】

6月21日にリッチモンド連銀のバーキン総裁は6月FOMCでの0.75%利上げを支持したとし、パウエル議長が7月について0.50%から0.75%の大幅利上げを継続する姿勢を示していることについても「非常に理にかなったガイダンスだ」と支持を表明した。
パウエル米連銀議長は6月22日に半期毎の議会証言で上院銀行委員会に出席、23日には下院金融委員会に出席するが、そこで利上げペースの加速感が再認識されれば米長期債利回り上昇がドル円の一段高を招くことも考えられる。

一方で日本政府、日銀の金融緩和姿勢は変わらない。6月22日の参院選公示に先立つ与野党党首による日本記者クラブ討論会で岸田首相は現在の為替水準については「財務省、金融庁、日銀の三者で先日、急激な円安は懸念すべきだと確認した」と述べたが、日銀の大規模金融緩和策に関して「現在の状況の中で維持していく。具体的な手法は日銀が判断する」と表明しており、円安けん制については口先のみで金融緩和継続を強調した印象を与えている。
景気回復が鈍く賃金が上がらずに輸入インフレが進む中で利上げや金融引き締めへ転換すると日本経済は一層悪化すると懸念されるため、景気対策による賃上げや購買力拡大策をとらなければ、対外的には弱い円という印象が一層強まると思われる。また国内投資家にとっては円安による株価の名目的な押し上げ効果、外貨預金やFXなどによるクロス円の上昇益を追求するような円売り外貨買いがますます進行する状況と思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては6月15日朝高値からの急落を6月16日深夜安値からのV字反騰で解消したため、6月21日時点では6月16日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、高値形成期を20日朝から22日午前にかけての間と想定した。
既に上昇一服による反落警戒期にあるが、6月21日夕刻まで横ばい型の持ち合いで推移していたところから一段高しているため、持ち合い上放れから新たな強気サイクル入りしている可能性も検討される。このため135円台を維持するうちは一段高余地ありとし、23日から25日にかけての間へ高値形成期が延びる可能性もあると考える。135円割れからはいったん弱気サイクル入りするとみて22日午後から23日深夜にかけての間への下落を想定するが、そこを押し目形成として次の上昇再開へと進みやすい展開と考える。

60分足の一目均衡表では6月21日夜の一段高値により遅行スパンが好転、先行スパンを上回る状況を維持しているため遅行スパン好転中は高値試し優先とする。遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみるが先行スパンからの転落を回避するうちはその後に遅行スパンが好転するところから上昇再開とみる。6月16日深夜からの反騰基調が崩れるには先行スパンからの転落が必要と思われる。

60分足の相対力指数は6月21日夜の一段高で80ポイント台へいったん到達してから70ポイント前後へ低下しているが、60ポイントを上回るうちはもう一段高余地ありとみる。ただし相場が高値を更新してゆくところで指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる場合は反落注意とし、50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて40ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、135.75を下値支持線、137円を上値抵抗線とする。
(2)136円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、137円超えからは138円を目指した上昇を想定する。138円到達では売られやすいとみるが、136円以上での推移なら23日も高値試しを続けやすいとみる。
(3)135.75円割れを弱気転換注意として135.00円前後試しを想定する。135円台序盤以下は押し目買いされやすい水準とし、その後に136円を超えるところからは上昇再開とみるが、135円を割り込んでの推移が続く場合は23日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

6/22(水)
参議院選公示
15:00 (英) 5月 消費者物価指数 前月比 (4月 2.5%、予想 0.6%)
15:00 (英) 5月 消費者物価指数 前年同月比 (4月 9.0%、予想 9.1%)
15:00 (英) 5月 消費者物価コア指数 前年同月比 (4月 6.2%、予想 6.0%)
15:00 (英) 5月 小売物価指数 前月比 (4月 3.4%、予想 0.5%)
15:00 (英) 5月 小売物価指数 前年同月比 (4月 11.1%、予想 11.4%)
17:40 (英) カンリフ英中銀副総裁、講演
23:00 (欧) 6月 消費者信頼感速報値 (速報 -21.1、予想 -20.5)
23:00 (米) パウエル米連銀議長、半期毎の議会証言(上院銀行委員会)
25:50 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演
26:00 (米) 財務省2年物変動利付債、20年債入札
26:30 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、メスター・クリーブランド連銀総裁、講演

6/23(木)
米連銀の銀行ストレステスト結果公表、EU首脳会議(6/24まで)
16:30 (独) 6月 製造業PMI速報値 (5月 54.8、予想 54.0)
16:30 (独) 6月 サービス業PMI速報値 (5月 55.0、予想 54.5)
17:00 (欧) 6月 製造業PMI速報値 (5月 54.6、予想 53.8)
17:00 (欧) 6月 サービス業PMI速報値 (5月 56.1、予想 55.5)
17:30 (英) 6月 製造業PMI速報値 (5月 54.6、予想 53.7)
17:30 (英) 6月 サービス業速報値 (5月 53.4、予想 53.0)

21:30 (米) 1-3月期 経常収支 (10-12月 -2179億ドル、予想 -2740億ドル)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.9万件、予想 22.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 131.2万人、予想 131.5万人)
22:45 (米) 6月 製造業PMI速報値 (5月 57.0、予想 56.0)
22:45 (米) 6月 サービス業PMI速報値 (5月 53.4、予想 53.9)
22:45 (米) 6月 総合PMI速報値 (5月 53.6)
23:00 (米) パウエル米連銀議長、半期毎の議会証言(下院金融委員会)
24:00 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省インフレ指数連動5年債入札


注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る