ドル円、黒田シーリング2を突破し136円台半ばへ急伸。本日は議会証言に注目
〇ドル円、株価の復調と米長期金利の上昇に米国時間午後にかけ136.63まで上昇
〇ユーロドル欧州序盤に1.0583まで上昇するも地政学リスク悪化懸念と米金利上昇に反落
〇ドル円、直近高値135.60をブレイク、1998年10月以来、約23年8ヵ月ぶり高値圏へ急伸
〇レジスタンス見当たらず、テクニカルの地合い極めて強い
〇ファンダメンタルズも「黒田シーリング2」が警戒された135円台突破がドル円をサポート
〇本日パウエルFRB議長の議会証言要注視
〇本日の予想レンジ:135.00ー137.00
海外時間のレビュー
21日(火)のドル円相場は大幅上昇。アジア時間朝方にかけて、安値134.95まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、@株式市場の堅調推移(日経平均株価や欧米株が軒並み上昇)や、A上記@を背景としたリスク選好の円売り圧力、B米金利上昇に伴うドル買い圧力(米10年債利回りは3.31%まで上昇)、C6/15に記録した直近高値135.60突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売り、Dリッチモンド連銀バーキン総裁による「インフレを低下させる緊急性は高い」とのタカ派的な発言が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値136.63(1998年10月以来、約23年8ヵ月ぶり高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間6/22午前4時20分現在)では、136.55前後で推移しております。
21日(火)のユーロドル相場は上昇後に反落。アジア時間午後にかけて、安値1.0513まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、@欧州株の堅調推移や、A上記@を背景としたリスク選好のドル売り圧力、Bフィンランド中銀レーン総裁による「9月ECB理事会での利上げ幅は0.25%より大きくなる見通し」とのタカ派的な発言が支援材料となり、欧州勢参入後に、高値1.0583まで上昇しました。もっとも、心理的節目1.0600をバックに伸び悩むと、Cロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの悪化懸念(ウクライナのゼレンスキー大統領は昨日、「ロシアによる攻撃が今週以降激化する可能性がある」との見解発表)や、D米金利上昇に伴うドル買い圧力、E欧州経済の先行き不透明感(スタグフレーション懸念が燻る中での金融引き締め転換は景気への強い逆風)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間6/22午前4時20分現在)では、1.0535前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は直近高値135.60(6/15高値)の上方ブレイクに成功すると、一時136.63(1998年10月以来、約23年8ヵ月ぶり高値圏)まで急伸しました。ローソク足が全ての主要テクニカルポイントの上側に位置していること(レジスタンスポイントが見当たらない為、上昇時に歯止めがききづらい)や、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転、強気のパーフェクトオーダー、強気のバンドウォーク、ダウ理論の上昇トレンド」が全て成立していることなどを踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます(目先は1998年10月1日に記録した直近高値136.93や、1998年9月24日高値137.24、1998年9月9日高値138.28、1998年9月3日高値138.52、心理的節目140.00などが意識されます)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜観測(先週の米FOMCで75bpの利上げとドットチャートの上方修正が実現。米FRBは「景気下支え」よりも「インフレ抑制」を重視する構えであり、次回7月FOMCでの大幅利上げや、それ以降のFOMCでの大幅利上げを織り込む展開)や、A日銀による金融緩和の長期化観測(マーケットによる度重なる緩和修正圧力に対して日銀および黒田総裁はゼロ回答→金融緩和の長期化を改めて強調)、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差拡大に伴うドル買い・円売り)、C世界的な円独歩安のトレンド(米国のみならず世界の大半の国が金融引き締め政策に転換→日本とその他各国との金融政策格差拡大→日本とその他各国との名目金利差拡大→クロス円上昇→ドル円連れ高)、D米国によるドル高容認スタンス(米財務省が先週公表した半期為替報告書の中で円安に対するけん制は入らず→米国はインフレ抑制に繋がるドル高を容認する構え)、E黒田シーリング2として警戒された135円台をあっさり突破したことに伴う失望感(円安を食い止める手段の欠如)など、ドル円相場の続伸を連想させる材料が揃っています。
こうした中、本日は日本時間23時00分から始まるパウエルFRB議長による半期に1度の議会証言(上院銀行委員会)に注目が集まります。パウエルFRB議長が景気への配慮を見せる形で引き締めトーンを緩和させれば、「米金利低下→ドル売り」に繋がる一方、「株高→リスク選好の円売り」も同時に見込まれるため、ドル円には結果として上昇圧力が加わるものと推察されます。また、米景気よりインフレ退治を優先して金融引き締めスタンスを強調する場合には、「米金利上昇→ドル高」の経路と、「リスクアセット下落→資産現金化需要のドル買い」の経路が組み合わさるため、この場合においてもドル円には上昇圧力が加わるものと考えられます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:135.00ー137.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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