ドル円見通し 127円を挟んだ持ち合い上放れから続伸、129円に迫る(22/6/1)

31日は米10年債利回りが反騰開始したことをきっかけに午前高値で128.33円へ上昇、夜には128.88円へ高値を伸ばして129円に迫っている。

ドル円見通し 127円を挟んだ持ち合い上放れから続伸、129円に迫る(22/6/1)

ドル円見通し 127円を挟んだ持ち合い上放れから続伸、129円に迫る

〇ドル円、5/31夜128.88へ上昇、5/24安値以降の127円挟んだ持ち合い上抜け
〇米10年債利回り、休場明けに2.85%到達し反騰開始、NYダウは7日ぶり反落
〇3月全米住宅価格指数堅調、5月消費者信頼感指数前月から低下、金融引き締めやインフレの影響示す
〇ユーロ圏HICP、前年同月比8.1%上昇、ECBへの利上げ催促感強まる
〇128.45以上での推移中は129円超えから129.50前後への上昇を想定する
〇128.45割れからは下げに入る可能性ありとみて、128円前後への下落を想定する

【概況】

ドル円は5月24日夜安値で126.35円へ下落した後127円を挟んだ下げ渋り型の持ち合いで推移していたが、5月30日夜に127.81円をつけて持ち合い中の高値だった5月26日高値127.58円を上抜いた。そこから上放れ地合いに入ったが、31日は米国市場休場明けの米10年債利回りが反騰開始したことをきっかけに午前高値で128.33円へ上昇、いったん夕刻安値127.62円まで反落したところも押し目買いされて31日夜には128.88円へ高値を伸ばして129円に迫っている。

4月28日高値131.24円と5月9日高値131.34円をダブルトップ型として5月24日夜安値まで4.99円の下落幅となり、その間は戻り高値を切り下げて一段安を繰り返す弱気パターンでの推移だったが、5月24日安値以降は底上げをしつつ戻り高値切り上げに入っており、これまでの下落基調から抜け出し始めた状況だ。
5月24日安値をつけた当日の日足陰線にはらまれた形での持ち合いから上抜けた状況にあるが、5月9日高値からの下げ幅に対する半値戻し128.85円を5月31日高値でクリアし、反騰入りに際して上値抵抗線となりやすい26日移動平均(現在128.88円)にも到達している。129円台回復から勢い付くか、半値戻しで戻り一巡となるのか試されるところだ。

【米10年債利回り、休場明けは反騰開始】

5月31日の米10年債利回りは先週末比0.11%高の2.85%へと反発した。5月9日に3.20%をつけてパンデミック発生以降の最高値を更新して2018年10月の3.26%に迫ったところで大上昇が一巡し、その後は丸3週の調整局面入りとなり先週末安値では2.70%まで下げていたが、休場明けに反騰開始したことでこれまでの調整から抜け出して上昇再開に入るのではないかという印象を強めた。30年債利回りも0.08%高の3.05%へ上昇して3%台を回復、利上げに敏感な2年債利回りも0.08%上昇の2.56%へ戻した。
5月30日に米連銀のウォラー理事が「インフレ率が目標の2%に近づくまで0.50%ずつの大幅利上げ検討を続ける」と述べたことで流れが変わり始めた印象がある。同理事は「今後の数会合において通常の倍となる0.50%の利上げ実施を支持する」「(市場が予想する2.5%程度への利上げについても)必要ならもっと引き上げる」と述べた。

31日はユーロ圏のHICP消費者物価上昇率の発表があり、5月のHICPが前年同月比8.1%上昇となり4月の7.4%からさらに伸びて過去最高を更新したため、ECBへの利上げ催促感も強まった。ECBにおいてはスロバキア中銀総裁やオランダ中銀総裁らが7月からの大幅利上げを含めた利上げ開始を強く支持する一方、債務残が大きいイタリアやスペインの中銀総裁はやや慎重な姿勢で利上げを緩やかに進めるべきとの主張をしている。
5月13日からのユーロ高はECB利上げ再開への動きを反映したものだったが、米長期債利回りが再び上昇し始めた事で市場の関心が再び米連銀の引き締め姿勢の強さに向き始めているようだ。

【NYダウは7日ぶり反落】

5月31日のNYダウは先週末比222.84ドル安と下落、ナスダック総合指数も49.74ポイント安と下落した。NYダウは昨年11月8日の史上最高値36565.73ドルを起点に下落へ転じ、5月24日安値まで週間では8週連続の大幅下落が続いていたが、5月24日安値からの反騰で先週は9週ぶりの上昇だった。しかし8週連続の週足陰線による下落に対して直前2週分の陰線レンジを解消する1週の上昇にすぎず、今週末の米雇用統計を通過しながら戻りを継続できないようだともう一段安へ進みかねないところでもある。
株安なら債券買いへと裁定が働き米長期債利回りの上昇も抑えられる可能性があるが、米景気は堅調として株高なら米長期債利回り上昇再開感はさらに強まり、株安でも原油高騰等によるインフレ感が強まれば長期債利回りは欧米等主要国での上昇が相乗効果となって上昇継続へと進みやすくなると思われる。

【米経済指標は概ね良好】

5月31日の米経済指標は総じて堅調だった。米連邦住宅金融局(FHFA)による3月の全米住宅価格指数は前月比1.5%上昇、前年同月比は19.0%上昇と高い伸びだった。1-3月期の四半期ベースでは前年同期比18.7%上昇、前期比では4.6%上昇で10-12月期の3.6%上昇を上回った。またS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスによる3月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数も前月比2.6%上昇、前年同月比は2月の20.3%上昇から3月は21.2%上昇へと伸びが加速した。
米MNIインディケーターズによる5月のシカゴ購買部景況指数は60.3となり4月の56.4から上昇、市場予想の55.0を上回った。
米コンファレンス・ボードによる5月消費者信頼感指数は106.4で4月の108.6から低下したものの市場予想の103.9を上回った。ただ、現況指数は4月の152.9から149.6へ低下、期待指数も4月の79.0から77.5へと低下しており、金融引き締めとインフレの影響が見られるところだ。先行き見通しについても「改善する」が17.7%で前月の18.6%から低下し、「悪化する」は前月の21.7%から24.9%へ増えている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、5月24日夜安値以降を127円を挟んだ持ち合いで推移していたところから上抜けてきたため、5月31日午前時点では持ち合いの終点となる5月27日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、5月26日午前高値を基準として高値形成期を31日午前から6月2日午前にかけての間と想定した。31日夜へ一段高となり1日午前序盤も高値をさらに切り上げているのでまだ上昇途中と見るが、前回サイクルトップから4日目に入るので128.45円割れを弱気転換注意とし、128円割れからは弱気サイクル入りとして1日午後から3日の日中にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では持ち合い上放れにより遅行スパンが好転、先行スパンを上抜き、その後も両スパンそろっての好転を維持しているために遅行スパン好転中は高値試し優先とする。遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみるが、先行スパンからの転落を回避するうちはその後に遅行スパンが好転するところから上昇再開とみる。

60分足の相対力指数は5月31日午前高値から31日夜への一段高に際しては指数のピークが切り下がる弱気逆行気配が見られるが50ポイント台を維持して切り返しているため、まだ上昇余地ありとし、80ポイント前後へ上昇する局面では反落警戒とするが、弱気転換は50ポイント割れからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、128.45円を下値支持線、129.00円を上値抵抗線とする。
(2)128.45円以上での推移中は129円超えから129.50円前後への上昇を想定する。129.50円以上は反落注意とするが、128.45円以上での推移か、直前高値から1円を超える反落が発生しないうちは6月2日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)128.45円割れからはいったん下げに入る可能性があるとみて128円前後への下落を想定する。128円以下は反発注意とするが、128.45円以下での推移が続く場合は6月2日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

6/1(水)
10:30 (豪) 1-3月期 GDP 前期比 (10-12月 3.4%、予想 0.7%)
10:30 (豪) 1-3月期 GDP 前年同期比 (10-12月 4.2%、予想 3.0%)
10:45 (中) 5月 財新製造業PMI (4月 46.0、予想 49.0)
15:00 (英) 5月 ネーションワイド住宅価格 前月比 (4月 0.3%、予想 0.6%)
16:55 (独) 5月 製造業PMI改定値 (速報 54.7)
17:00 (欧) 5月 製造業PMI改定値 (速報 54.4)
17:30 (英) 5月 製造業PMI改定値 (速報 54.6)
18:00 (欧) 4月 失業率 (3月 6.8%、予想 6.7%)
20:00 (欧) ラガルドECB総裁、中国人民銀総裁らとオンラインイベント討論会

22:45 (米) 5月 製造業PMI改定値 (速報 57.5)
23:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 1.00%、予想 1.50%)
23:00 (米) 5月 ISM製造業景況指数 (4月 55.4、予想 54.5)
23:00 (米) 4月 建設支出 前月比 (3月 0.1%、予想 0.5%)
24:30 (欧) レーンECB理事、講演
24:30 (英) 英中銀ハウザー理事、講演
24:30 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、挨拶
26:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

6/2(木)
休場、英国
08:50 (日) 5月 マネタリーベース 前年同月比 (4月 6.6%)
10:30 (豪) 4月 貿易収支 (3月 93.14億豪ドル、予想 95.00億豪ドル)
18:00 (欧) 4月 生産者物価指数 前月比 (3月 5.3%、予想 2.3%)
18:00 (欧) 4月 生産者物価指数 前年同月比 (3月 36.8%、予想 38.6%)
21:15 (米) 5月 ADP非農業部門民間就業者数 前月比 (4月 24.7万人、予想 29.5万人)
21:30 (米) 1-3月期 非農業部門労働生産性改定値 前期比 (速報 -7.5%、予想 -7.5%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.0万件、予想 21.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 134.6万人)
23:00 (米) 4月 製造業新規受注 前月比 (3月 2.2%、予想 0.8%)
24:00 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
25:00 (米) ローガン・ニューヨーク連銀副総裁(ダラス連銀次期総裁予定)、挨拶
26:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演

注:ポイント要約は編集部

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