ドル円、約2週間ぶり高値圏へ急上昇。リスクオンと米金利上昇の組み合わせ(6/1朝)

31日(火)のドル円相場は急上昇。

ドル円、約2週間ぶり高値圏へ急上昇。リスクオンと米金利上昇の組み合わせ(6/1朝)

ドル円、約2週間ぶり高値圏へ急上昇。リスクオンと米金利上昇の組み合わせ

〇ドル円、米国時間にかけ約2週間ぶり高値128.90(5/19以来)まで急伸
〇中国経済持ち直し期待からの投資家心理改善、米金利上昇、米指標の改善等が背景
〇ユーロドル、米金利上昇、欧州圏のスタグフレーション懸念に一時1.0679まで反落
〇ドル円テクニカルの地合い改善、ファンダメンタルズもドル円上昇材料増える
〇ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想、本日の予想レンジ:128.00ー129.50

海外時間のレビュー

31日(火)のドル円相場は急上昇。アジア時間朝方にかけて、安値127.54まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、@中国経済の持ち直し期待(中国上海市は6/1に新型コロナウイルス感染予防を目的としたロックダウンを解除)や、A上記@を背景とした投資家心理の急速な改善(リスク選好の円売り圧力)、B本邦輸入企業と思しき実需のドル買い・円売り(月末公表相場のドル不足)、C米金利上昇に伴うドル買い圧力(米10年債利回りは一時2.87%へ急上昇)、Dレジスタンス・ブレイクに伴う仕掛け的なドル買い・円売り(一目均衡表転換線および心理的節目128.00突破に伴う短期筋のストップBUY)、E米経済を巡る過度な悲観論後退(昨日発表された米3月ケースシラー住宅価格指数、米5月シカゴ購買部協会景気指数、米5月コンファレンスボード消費者信頼感指数が軒並み市場予想を上回る結果)、F米主要株価指数の底堅い動きが支援材料となり、米国時間にかけて、約2週間ぶり高値となる128.90(5/19以来)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間6/1午前4時45分現在)では、128.70前後で推移しております。

31日(火)のユーロドル相場は高値圏から急反落。前日海外時間に、約1ヵ月ぶり高値1.0787まで上値を伸ばすも、一目均衡表雲下限をバックに伸び悩むと、@米金利上昇に伴うドル買い圧力や、Aユーロ圏5月消費者物価指数(結果8.1%、予想7.8%)の伸び率加速(過去最高水準を更新)、B上記Aを背景とした欧州経済のスタグフレーション懸念(これまで見られていた「インフレ昂進→ECBによるタカ派傾斜→ユーロ買い」の波及経路よりも、「インフレ昂進→スタグフレーション懸念→欧州経済の先行き懸念→ユーロ売り」の波及経路が勝る展開)が重石となり、米国時間にかけて、安値1.0679まで下落しました。

もっとも、月末ロンドンフィキシングに絡むユーロ買いフローが下支えすると、米国時間午後にかけて持ち直し、本稿執筆時点(日本時間6/1午前4時45分現在)では、1.0735前後で推移しております。尚、昨日はフランス中銀ビルロワドガロー総裁による「最新のインフレ指標を受けて金融政策の正常化が一段と必要になった」との発言や、イタリア中銀ビスコ総裁による「政策金利がマイナス状態から脱するのは正当化される」との発言が見られましたが、市場の反応は限定的となりました(欧州当局者発言への感応度が低下)。

本日の見通し

ドル円は先週5/24に記録した約1ヵ月半ぶり安値126.36をボトムに反発に転じると、昨日は一時128.90まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線やボリンジャーミッドバンド、節目127.00や128.00を上抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を印象付けるチャート形状となりつつあります(底固め成功→短期トレンドが下落から上昇に転換)。

ファンダメンタルズ的に見ても、日米金融政策の方向性の違い(米FRBがタカ派スタンスを明確化する一方、日銀は金融緩和スタンスの継続方針を強調→日米名目金利差拡大に伴うドル買い・円売り)や、米経済を巡る過度な悲観論後退(米経済指標に幾分持ち直しの兆しが見られる他、対中関税引き下げなどへの期待感あり)、中国上海市のロックダウン解除(市場心理改善)、資源価格再上昇に伴う本邦貿易赤字の拡大懸念(構造的な円売り圧力)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。

こうした中、本日は米国時間に発表される米5月ISM製造業景況指数や、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁発言、セントルイス連銀ブラード総裁発言、米地区連銀経済報告(ベージュブック)などに注目が集まります。米ISM製造業景況指数が市場予想を上回る場合や、米当局者よりタカ派的な見解が示される場合、ベージュブックにてインフレへの強い警戒感が示される場合などには、米リセッション懸念後退に伴う米株買い(リスク選好の円売り)と、米タカ派傾斜観測再燃に伴う米金利上昇(米ドル買い)が組み合わさることから、ドル円には強い上昇圧力が加わるものと推察されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします(目先は128.86に控える一目均衡表基準線、5/19高値128.96、心理的節目129.00を試すシナリオを想定)。

本日の予想レンジ:128.00ー129.50

ドル円、約2週間ぶり高値圏へ急上昇。リスクオンと米金利上昇の組み合わせ

ドルん日足

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