ドル円見通し 126円台からの持ち直し図る、原油高の影響にも注目(22/5/31)

30日夜には127.81円をつけて5月24日夜からの持ち合い中における高値であった5月26日高値127.58円を上抜いた。

ドル円見通し 126円台からの持ち直し図る、原油高の影響にも注目(22/5/31)

ドル円見通し 126円台からの持ち直し図る、原油高の影響にも注目

〇ドル円、5/30夜に127.81をつけ、5/26高値127.58を上抜く、5/31午前には128円台を回復
〇5/24夜安値126.35へ下落した後127円を挟んだ下げ渋り型の持ち合い推移だったが、上放れ始める
〇ユーロ・ポンドは反騰を継続、豪ドル等も上昇、原油高再燃による資源通貨買いも
〇5/30の原油価格上昇、EUのロシア産原油禁輸合意により世界規模でロシア産以外の原油争奪戦本格化か
〇128円台を維持するうちは上昇余地ありとし、128.50超えからは129円を目指すとみる
〇127.70割れを弱気転換注意として、127円台前半を試すとみる

【概況】

ドル円は5月24日夜安値で126.35円へ下落した後も127円を挟んだ下げ渋り型の持ち合いで推移していたが、5月26日から27日、30日午前へと徐々に底上げをして確りし、ユーロドルや豪ドル等がこの間の高値を更新する中でユーロ円や豪ドル円の上昇を背景にクロス円全般の円安感が意識されて30日夜には127.81円をつけて5月24日夜からの持ち合い中における高値であった5月26日高値127.58円を上抜いた。5月31日午前には128円台を回復しており5月24日夜以降の持ち合いから上放れ始めた。
4月28日高値131.24円と5月9日高値131.34円をダブルトップとして大幅下落してきたが、5月24日夜安値まで4.99円の下げ幅となったところで下げ一服となり、それまでの戻り高値を切り下げて一段安してきた下落パターンから抜け出してきた。

【ユーロ高、豪ドル等も高い】

ユーロドルは昨年1月6日高値1.2349ドルと5月25日高値1.2266ドルをダブルトップ型として大幅下落が続いてきたが、5月13日安値で1.0348ドルをつけたところで2020年3月23日安値1.0636ドルを割り込んだものの2017年1月3日安値1.0341ドル割れを回避して反騰入りしている。
5月9日に米10年債利回りが3.20%をつけたところから大上昇一服により低下へ転じ、米2年債利回りも5月11日の2.86%を当面のピークとして低下に転じたことで米連銀による大幅利上げと今後の引き締め姿勢をひとまず織り込んだとして調整局面入りした。これまでのドル全面高が一服していること、ECBも出遅れながらインフレ進行対策での7月利上げ姿勢を強めたことでユーロドルの反騰入りを助長している。

5月30日に発表されたドイツの5月消費者物価上昇率は前年同月比で7.9%となり4月の7.4%を超えて第一次石油危機の1974年以来の高水準に達したが、これもECBの利上げを急がせる要因となっている。5月31日にユーロ圏の5月HICP消費者物価の発表もあり、市場予想では4月の全体が7.4%から7.8%へ、コア指数でも4月の3.5%から3.6%へと伸びると見られている。
ユーロドルのほか、ポンドドルが5月13日からの反騰を継続、豪ドル米ドルも5月12日から鋭角的な上昇に入っているが、原油高が再燃してきていることで資源通貨買いも助長されており、南アランドも5月16日から反騰入りしている。メキシコペソも5月30日には昨年11月以降の最高値を更新している。

5月31日午前序盤は、休場明けの米長期債利回りが反騰開始したことでユーロドルが上昇一服で下落するなどドル高反応もみられるが、主要国が金融引き締めへ動く中で金融緩和政策から抜け出せない日銀の姿勢を踏まえれば、米長期債利回り上昇局面でドル高優勢になればドル円が上昇し、ユーロ等が上昇してドルストレートでドル安となってもクロス円全般で円安ならドル円においても円安ドル高が優勢となって上昇するような展開に入ることも考えられるのではないか。

【EUのロシア産原油禁輸合意での原油高再燃】

5月30日のコモディティ市場ではロンドン原油が120ドル台に到達、NY原油も31日早朝の電子取引で117ドル台へと上昇している。
EUは30日の臨時首脳会議でロシア産原油の原則禁輸方針で合意した。5月4日に全面禁輸方針を示したもののロシア産への依存度が高いハンガリー等の反対で合意形成が長引いたが、陸上パイプラインによるハンガリーのロシア産原油輸入については例外としたことで妥協がまとまった。これによりEUとしてはロシア産原油に対して3分の2が禁輸となり、さらに2022年末までには9割を禁輸するとしている。

EUがロシア産原油以外の原油調達を本格化させることにより、世界規模でのロシア産以外の原油争奪戦が本格化する。ロシア制裁に参加していないインドでは割安なロシア産原油の輸入が急増しており、世界全体の供給バランスとしてはパニック的な状況には陥らない可能性もあるが、長期契約が主である世界の原油貿易が混乱してゆくことで3月序盤のような原油高騰となれば、エネルギー輸入価格高騰による日本における輸入インフレの長期化と貿易及び経常収支の悪化で円安感が強まることも警戒される。
ロンドンの北海ブレント原油は3月7日に139.13ドルへ急騰した後に100ドル割れまでいったん下げたが、その後も100ドル前後では買われて三角持ち合いの様相となり、4月末からの上昇で三角持ち合いの抵抗線を突破してきている。米金融大手バンカメは5月27日に北海ブレント原油が1バレル=150ドルを突破する可能性があると指摘したが、既に120ドル台を回復したことでその可能性も高まりつつある印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、5月24日夜安値以降127円を挟んだ持ち合いで推移していたところから上抜けてきているため、持ち合いの終点となる5月27日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りと仮定する。5月26日午前高値を基準として高値形成期を31日午前から6月2日午前にかけての間と想定する。弱気転換は直前高値から1円を超えるような急落からとする。

60分足の一目均衡表では127円を挟んだ持ち合いから上放れに入ったために遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いた状況で推移しているので、遅行スパン好転中は高値試し優先とする。遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみるが、先行スパンからの転落を回避するうちはその後に遅行スパンが好転するところから上昇再開とみる。

60分足の相対力指数は5月31日午前の上昇で70ポイントを超えてきているので短期的には買われ過ぎからの反動安に注意がいるが、50ポイント以上での推移中は一段高余地ありとし、弱気転換は50ポイント割れからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、127.70円を下値支持線、128.50円を上値抵抗線とする。
(2)128円台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、128.50円超えからは129円を目指すとみる。129円以上は反落注意とするが、128円台を維持しての推移なら6月1日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)127.70円割れを弱気転換注意として127円台前半(127.50円から127.15円)を試すとみるが、127円台序盤へ下げたところは押し目買い有利の水準と考える。

【当面の主な予定】

5/31(火)
EU首脳特別会合(最終日)
10:00 (NZ) 5月 ANZ企業信頼感 (4月 -42.0)
10:30 (中) 5月 国家統計局製造業PMI (4月 47.4、予想 49.0)
10:30 (豪) 1-3月期 経常収支 (10-12月 127億豪ドル、132億豪ドル)
10:30 (豪) 4月 住宅建設許可件数 前月比 (3月 -18.5%、予想 2.0%)
14:00 (日) 5月 消費者態度指数・一般世帯 (4月 33.0、予想 33.8)
14:00 (日) 4月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (3月 6.0%、予想 3.0%)
16:55 (独) 5月 失業者数 前月比 (4月 -1.30万人、予想 -1.60万人)
16:55 (独) 5月 失業率 (4月 5.0%、予想 5.0%)

18:00 (欧) 5月 消費者物価・HICP速報値 前年同月比 (4月 7.4%、予想 7.8%)
18:00 (欧) 5月 消費者物価・HICPコア指数速報値 前年同月比 (4月 3.5%、予想 3.6%)
22:00 (米) 3月 米連邦住宅金融局住宅価格指数 前月比 (2月 2.1%、予想 2.0%)
22:00 (米) 3月 ケース・シラー住宅価格指数 前年同月比 (2月 20.2%、予想 20.0%)
22:45 (米) 5月 シカゴ購買部協会景況指数 (4月 56.4、予想 55.0)
23:00 (米) 5月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (4月 107.3、予想 103.9)

6/1(水)
08:50 (日) 1-3月期 全産業設備投資額 前年同期比 (10-12月 4.3%、予想 3.4%)
10:30 (豪) 1-3月期 GDP 前期比 (10-12月 3.4%、予想 0.7%)
10:30 (豪) 1-3月期 GDP 前年同期比 (10-12月 4.2%、予想 3.0%)
10:45 (中) 5月 財新製造業PMI (4月 46.0、予想 49.8)
15:00 (英) 5月 ネーションワイド住宅価格 前月比 (4月 0.3%、予想 0.6%)
16:55 (独) 5月 製造業PMI改定値 (速報 54.7)
17:00 (欧) 5月 製造業PMI改定値 (速報 54.4)
17:30 (英) 5月 製造業PMI改定値 (速報 54.6)
18:00 (欧) 4月 失業率 (3月 6.8%、予想 6.7%)

20:00 (欧) ラガルドECB総裁、中国人民銀総裁らとオンラインイベント討論会
22:45 (米) 5月 製造業PMI改定値 (速報 57.5)
23:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 1.00%、予想 1.50%)
23:00 (米) 5月 ISM製造業景況指数 (4月 55.4、予想 54.5)
23:00 (米) 4月 建設支出 前月比 (3月 0.1%、予想 0.7%)
24:30 (欧) レーンECB理事、講演
24:30 (英) 英中銀ハウザー理事、講演
24:30 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、挨拶
26:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)


注:ポイント要約は編集部

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