ドル円見通し 米長期債利回り大幅低下で126円台序盤へ一段安、5月9日からの調整続く(22/5/25)

ドル円は5月24日夜に127円を割り込んで126.35円まで安値を切り下げた。

ドル円見通し 米長期債利回り大幅低下で126円台序盤へ一段安、5月9日からの調整続く(22/5/25)

ドル円見通し 米長期債利回り大幅低下で126円台序盤へ一段安、5月9日からの調整続く

〇ドル円5/24夜安値126.35、米長期債利回り低下、日米金利差縮小で127円台維持できず
〇米10年債利回り5/9以降安値更新、NYダウ小幅続伸、ナスダック11/22以降最安値更新
〇業績悪化でSNS/IT関連に売り、株売り債券買い米長期債利回り低下促す
〇米4月新築戸建て住宅販売件数、予想大幅に下回り20年4月以来低水準
〇127.25超えからは戻りを試すとみて、127円台後半への上昇を想定する
〇127.25以下での推移中は下向きとし、126.35割れからは125円台中盤への下落を想定する

【概況】

ドル円は5月24日夜に127円を割り込んで126.35円まで安値を切り下げた。5月19日夜に127.01円まで下げ、23日午前も127.13円までの下げで127円割れを回避していたものの、23日及び24日の日中は128円をつけたところで戻り売りに押される展開となり、24日夜は米経済指標が総じて弱く景気減速懸念を背景に米長期債利回りが低下、日米長期金利差縮小から127円台を維持できずに一段安となった。
5月9日高値131.34円からの下げ幅は4.99円に拡大したが、昨年1月底以降では最大の下げ幅となり、3週連続の下落で調整規模も拡大している。5月9日からの米10年債利回り低下と同調した動きであり、ドル円が上昇に転じるためには米10年債利回りの反騰が必要であり、低下が続くようだとさらに安値試しを続けやすい局面と思われる。5月26日未明にFOMC議事録公開があるが、そこで流れが変わるのかどうか見極めたいところだ。

【米10年債利回りは5月9日以降の安値更新】

5月24日の米10年債利回りは前日比0.11%低下の2.75%へ下げた。5月9日に3.20%をつけてパンデミック発生時の大規模金融緩和開始によりつけた0.32%を底とした上昇の最高値としたが、米連銀による大幅利上げについてはある程度織り込んだことで調整局面入りしている。30年債利回りも2.97%となり3%を割り込み、2年債利回りも0.13%低下して2.49%をつけ5月11日につけた2.86%以降の安値更新となった。
米連銀は3月に0.25%、5月に0.50%の利上げを決定、6月と7月も0.50%ずつの利上げを想定するとしたことで米長期債利回りが一段高してきたが、0.75%利上げなどの超大幅利上げは回避される見通しとなっていることや、6月と7月の連続大幅利上げの後は金融引き締め姿勢を継続しつつ様子見に入る可能性も示唆されている。5月26日未明に公開されるFOMC議事録で年後半へ大幅利上げペースが継続するのかどうかを見極めたいところだ。

【NYダウは下げ渋りだがナスダックは終値ベースで11月天井以降の安値更新】

5月24日のNYダウは前日比48.38ドル高と上昇、終値ベースでは3連騰となったが、一時は500ドル安を超える下落となった。ナスダック総合指数は270.83ポイント安と下落し、終値ベースでは11月22日につけた史上最高値16212.23以降の最安値となる11264.45をつけた。
SNS運営の米スナップが業績悪化から43%安の大幅下落となり、メタ(旧フェイスブック)が7.6%安、アルファベットが5.0%安、ツイッターが5.2%安となるなどSNS関係、IT関連が売られた。感染規制緩和により巣ごもり需要が後退していることや金融引き締めによる景気圧迫感が背景と思われる。

S&Pグローバルによる5月の米総合PMI速報値は53.8となり4月の56.0から低下して4か月振り低水準となった。製造業PMIは57.5で市場予想と一致したが4月の59.2から悪化、サービス業PMIも4月の55.6から53.5へと悪化して市場予想の55.2を下回った。
米商務省による4月新築戸建て住宅販売件数(年換算)は前月比16.6%減の59万1000戸で市場予想の75万戸を大幅に下回り、4か月連続のマイナスで2020年4月以来の低水準となった。
ダウが下げ渋っているものの勢いを欠き、ナスダックが大幅下落したことで株売り債券買いにより米長期債利回り低下を助長した印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、5月12日夜安値から5日目となる5月19日夜に127.01円まで下げたところで直近のサイクルボトムをつけて戻しに入ったが、20日夕高値で128.29円へ戻した後は128円台を維持できずに23日午前には127.13円まで反落するなど上値の重い展開となっていたため、24日午前時点では128円以下での推移中は下向きとし、127.01円割れからは弱気サイクル入りとして24日夜から26日夜にかけての間への下落を想定するとした。
5月24日夜に127円割れから一段安しているので現状は5月20日夕高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしたところと思われる。5月24日深夜に126.35円をつけたところからはやや戻しているので19日夜安値から3日目となる24日深夜安値でボトムをつけた可能性もある。このため、127.50円を超えないうちはもう一段安余地ありとし、127.50円超えからは強気サイクル入りとして25日午後から27日夕にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では5月24日夜の一段安で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落し、その後も両スパン揃っての悪化が続いている。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。安値更新を回避して推移すれば遅行スパンは好転しやすくなると注意する。遅行スパン好転からは戻りを試しに入るとみるが、その際は先行スパンが上値抵抗帯となりやすいとみて、先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とする。ただし、先行スパンを上抜き返すところからはリバウンド継続とみて上昇に勢いがつくのではないかとみる。

60分足の相対力指数は5月24日夜の下落時に20ポイント台へ低下してから戻しているが40ポイント前後にとどまっている。50ポイント以下での推移中は一段安余地ありとし30ポイント割れからは20ポイント割れを目指すとみるが、相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られる場合は反騰注意とする。50ポイント超えからは戻りに入ったとみて60ポイント台後半への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5月24日夜安値126.35円を下値支持線、127.25円を上値抵抗線とする。
(2)127.25円以下での推移中は下向きとし、5月24日夜安値126.35円割れからは125円台中盤(125.70円から125.30円)への下落を想定する。125.50円以下は反発注意とするが、127円以下での推移なら26日も安値試しへ向かいやすいとみる。またFOMC議事録等をきっかけに急落商状となる場合は125円前後試しへ下値目途を引き下げる。
(3)127.25円超えからは戻りを試すとみて127円台後半(127.50円から127.90円)への上昇を想定する。127.75円以上は反落注意とするが、FOMC議事録等をきっかけに急伸する場合は128円台前半へ上値目途を引き上げる。

【当面の主な予定】

5/25(水)
11:00 (NZ) ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 1.50%、予想 2.00%)
12:00 (NZ) オア・ニュージーランド中銀総裁、会見
14:00 (日) 3月 景気先行指数改定値 (2月 101.0)
14:00 (日) 3月 景気一致指数改定値 (2月 97.0)
15:00 (独) 6月 GFK消費者信頼感 (5月 -26.5、予想 -25.5)
15:00 (独) 1-3月期 GDP改定値 前期比 (速報 0.2%、予想 0.2%)
15:00 (独) 1-3月期 GDP改定値・季調前 前年同期比 (速報 4.0%、予想 4.0%)
16:00 (欧) パネッタECB理事、講演
16:40 (欧) ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
17:00 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、講演(ダボス)
20:05 (日) 黒田東彦日銀総裁、挨拶
21:30 (米) 4月 耐久財受注 前月比 (3月 0.8%、予想 0.6%)
21:30 (米) 4月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (3月 1.1%、予想 0.6%)
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
27:00 (米) 財務省5年債、2年物変動利付債入札

5/26(木)
休場、スイス)
08:50 (日) 4月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (3月 1.3%、予想 1.5%)
10:30 (豪) 1-3月期 民間設備投資 前期比 (10-12月 1.1%、予想 1.5%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP改定値 前期比年率 (速報 -1.4%、予想 -1.3%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP個人消費改定値 前期比年率 (速報 2.7%、予想 2.8%)
21:30 (米) 1-3月期 コアPCE改定値 前期比年率 (速報 5.2%、予想 5.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.8万件、予想 21.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 131.7万人、予想 131.0万人)
23:00 (米) 4月 住宅販売保留指数 前月比 (3月 -1.2%)
23:00 (米) 4月 住宅販売保留指数 前年同月比 (3月 -8.9%)


注:ポイント要約は編集部

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