ドル高基調継続、月末需給要因などにも注意
〇ドル円、主要通貨に対するドル売り目立つ中130円台を小安い
〇130円を超えたことで、チャート的には再び軽い青天井状態、さらなるドル高円安進行に注意
〇米経済指標や企業決算とともに、週末・月末の決算需要要注視
〇2002年4月1日に記録した133.84円が「中期ターゲット」だが意外に早く到達する可能性も
〇欧米時間のドル/円予想レンジは129.40-130.90、上は131円、下は130円の攻防に要注目
<< アジア市場の動き >>
29日のアジア市場はドルが小安い。大きく崩れることはなかったが、東京休場のなか調整と思しきドル売り・円買いがやや優勢だった。
ドル/円は130.80円レベルで寄り付いたのち、しばらくはドル底堅い。しかし底割れすると、夕方に掛けては130.20円台へと緩やかな右肩下がりをたどっている。16時現在、ドル/円は130.30円前後で推移、欧米市場を迎えていた。
なお、本日は対円以外でもドル売りが目に付く。対ユーロやポンド、豪ドルなどでもドルは売り込まれ終日弱含み。
一方、材料的に注視されていたものは、「ロシア情勢」と「円安けん制発言」について。
前者は、ウクライナのレズニコフ国防相などが、ロシアが首都キーウに向けミサイル2発を発射したと明らかにしたほか、その発射が、国連のグテレス事務総長によるキーウ訪問中だったとして物議を醸す。いずれにしても、現地は依然として緊迫ムードに包まれている。また、26日にウクライナ大統領と現地で会談したばかりのIAEA事務局長から、ロシア管理下にある「ザポロジエ原発に強い懸念が示された」とされ、こちらも思惑を呼んでいたようだ。
対して後者は、昨日欧米時間に一時131.25円まで上昇するなど、止まらぬドル高・円安について、財務省幹部から「他国の通貨当局とも緊密に意思疎通を図り、必要があれば適切な対応をとる」といった発言も聞かれたが、反面で安倍元首相からは「円安が進んでいるからといって、是正に金融政策を使うことは間違っている」といった間接的な円安容認コメントも聞かれていた。なお、ブルームバーグによると、米金融大手であるGSは発表したレポートにおいて「市場介入でさえ円安の運命を変えられない」などと指摘していたという。
<< 欧米市場の見通し >>
昨日のドル/円は一日で3円近い変動を記録。オセアニア・東京早朝の128円台から、一気に131円台へとジャンプアップしている。これは2002年以来、20年ぶりのドル高値圏だ。何度もレポートしているように、130円を超えたことで、チャート的には再び軽い青天井状態となっており、目立ったテクニカルポイントはしばらくうかがえない。円安進行スピードは確かに速く、ポジション的にも偏っているものの、さらなるドル高・円安の進行にも一応要注意だ。
かねてから指摘されてきた利上げに積極的な米国や欧州に対し、日本は利上げに消極的というスタンスが、昨日の日銀決定会合を受けてさらに鮮明化した感がある。また、その後も前述した安倍元首相の発言や、時事通信も「円安阻止の妙手なし」としたうえで、「為替介入や利上げは困難」と報じていた。「ファンダメンタルズに沿った動き」として、多少の時間がかかるにせよ、いま一段のドル高も否定できない。そんな中、まずは発表される米経済指標や企業決算とともに、週末・月末の決算需要が注視されている。
テクニカルに見た場合、3月のドル/円は2年ぶりとなる月間変動幅10円超を記録したが、4月もここまでで月間安値が121.67円に対して同高値は131.25円。やはり10円近い変動をたどっている。それも、月間を通した動きは「月初安・月末高」の様相だ。さすがに行き過ぎ、やり過ぎの域にあることは間違いないものの、さらなるドル高の進行にも一応要注意。ちなみに、2002年4月1日に記録した133.84円を「中期ターゲット」として認識しているが、これまでの経緯からすると、存外早く到達する可能性も否定できない。
材料的に見た場合、中長期的には、ここ最近人民元の下げが目立っており、ドル/人民元はザラ場ベースで2020年11月以来のレベルをつけた「中国情勢」。「危機的状況は脱した」とする認識が世界的に高まるなか、昨日はIMF専務理事によるコロナ感染が改めて伝えられるなど依然として根強くはびこる「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」、「北朝鮮情勢」−−などに注目。
一方、本日は米経済指標として、3月のPCEデフレーターや4月のシカゴ購買部協会景気指数などが発表される見込みで、そのほか米企業を中心とした決算発表も相次ぐ見込み。ただ、決定事項という意味では少し材料に乏しいか。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは129.40-130.90円。ドル高・円安方向は、本日アジア時間にとどかなかった131円レベルが最初の抵抗。上抜けると昨日高値131.25円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、再び接近してきた130円レベルの攻防にまず注目。あっさりと割り込めば129円台をスルーし、128円台へと深押しが入る危険性もないではない。(了)
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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