円安けん制発言効果なく、ついに128円台
〇本日のドル円はドルが一段高、127円レベルで寄り付き127.20台で上げ渋るも、128円台へ1円以上続伸
〇本邦要人からの口先介入相次ぐが効果は乏しい、このあとさらなるドル高進行の可能性も
〇3/31の121.28から7円を超える上昇、130円台も現実的な上値メドとして意識され始める
〇ドル高進行のスピード速く、調整的な動きにも要注意
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは127.30-128.60、本日東京高値128.30-35の攻防にまず注目
〇ドル安・円高方向は、127円台後半が少し底堅くなってきたか
<< 東京市場の動き >>
19日の東京市場はドルが一段高。これまでの年初来高値を大きく超える128円台まで上伸する局面も観測されていた。
前日のNY終了にかけてドル/円は127円をワンタッチ。そのまま東京も同レベルで寄り付いたものの、しばらくはレンジ取引に。127.20円台では上値も重く上げ渋ったが、上抜けると128円台へと1円以上も続伸。途中、鈴木財務相などからの円安けん制発言も聞かれたものの、目立った影響はほぼ見られなかった。16時現在でもドル/円は128円台を維持し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「ロシア情勢」と「円安けん制発言」について。
前者は、米国防総省高官から「ロシア軍はウクライナに1万人の追加投入を実施」といった分析が聞かれるなか、ロシア軍がウクライナ西部リビウ近郊にあるウクライナ軍の兵站基地を空爆。またウクライナ東部でも、新たな攻撃「ドンバス戦争」がいよいよ開始されたもようだ。なお、そうしたなか米ホワイトハウスは、「バイデン氏が同盟国と19日にロシア対応の電話協議を行う」旨を明らかにしていた。
対して後者は、ドル/円は早朝から127円台。そののち128円台で推移したこともあり、引き続き執拗ともいえる本邦要人からの口先介入が観測されている。山際経財相から「為替相場を注視していく」との発言が聞かれたほか、鈴木財務相による「過度な変動や無秩序な動きは悪影響を与えうる」、「市場動向や経済への影響を緊張感持って注視」、「急激な円安が進行、経済状況考えるとデメリットもたらす面が強い」−−などと連続で円安けん制発言が発せられていたものの、効果は乏しい。
<< 欧米市場の見通し >>
度々取り上げているように、2015年高値の125.86円を上抜けたドル/円は、軽い青天井状態なのだが、それを裏付けるようにドルは続伸を続け、本日東京時間にはついに128円台まで達してきた。「130円」というレベルを中期的な上値メドとして掲げていた向きもあったが、そんな水準ももはや実際に手の届くところまで達している。このあと、さらなるドル高の進行から、130円にいよいよ接近する展開を否定できないだろう。
「日米の金利差」と「日本の貿易収支悪化」の2つが主な円安要因として指摘されるなか、市場は口先だけの円安けん制ではなく、具体的な政策行動を催促する相場となっている感を否めない。また、「実弾」と言われるドル売り・円買いの市場介入は予想しにくいものの、その前段階としていわゆる「レートチェック」が観測されても不思議はない。ポジションが溜まったようなタイミングで実施されれば、流れが反転するまでには至らないにせよ、かなりの効果はありそうだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場は軽い青天井状態となっており、仮に先月末3月31日の121.28円を起点としても、すでに7円を超える上昇だ。当初は遥か彼方というイメージだった130円台も、それほど遠くはなく現実的な上値メドとして意識され始めている。欧米勢参画後のドル高・円安再進行にも一応要注意。
ただ、前述したように短期的にもドル高の進むスピードが速いだけに、調整的な動きにも気を付けたい。本格的な調整が入れば1-2円程度は短時間で下落する可能性もある。
材料的に見た場合、中長期的には依然として厳しい外出制限もあり、他国を含めた経済活動への不安がジワリと広がりつつある「中国情勢」。米の現地メディアが、感染収束に向かっていたNY州で2つの新たなオミクロン亜種が広がり、再び感染者が増加傾向に転じていると伝えた「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」、「北朝鮮情勢」−−などに注目。
一方、本日は米経済指標として、3月の住宅着工件数や同建設許可件数が発表されるほか、米企業決算も引き続き数多く予定されている。また国際通貨基金(IMF)と世銀の春季会合がワシントンで行われるほか、前段で取り上げた「バイデン氏が同盟国とロシア対応の電話協議を行う」見込みだ。これらの動きにも注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは127.30-128.60円。ドル高・円安方向は、本日東京高値の128.30-35円の攻防にまず注目。上抜けたときに勢いがつけば、一気に130円接近も。
対するドル安・円高方向は、すでにビッドが切り上がってきた感もある127円台後半が少し底堅くなってきたか。ただ、割り込めば一気に急落となるリスクもあるだろう。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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