ドル円見通し 122円台で確り、125円到達後の調整消化で上昇再開入りを試す
〇ドル円、4/4午前122.25へ下落した後ややジリ高の推移、夜122.94をつけ122円台後半で確りした動き
〇3/28高値から3/31深夜安値への下落幅の半値戻し手前につける、クリアすれば上昇再開入りか
〇米株価は確り、米長期債利回りは高止まりで、2年債と10年債の利回りが逆転する逆イールドとなる
〇NY原油は上昇、欧米によるロシア制裁エスカレートの可能性から、資源エネルギー供給不安再び強まる
〇122.25を割り込まないうちは上向きとし、123.03超えからは123円台中盤を目指すとみる
〇122.25割れからは121円台後半を試すとみる、その後に122.50を超えるところからは上昇再開とみる
【概況】
ドル円の4月4日は122円台での小動き。米製造業受注のほかは主要な経済指標発表がなく、中国市場が4日と5日が清明節の連休のため手掛かりにかける状況だったが、ウクライナ紛争をめぐってはロシアが前線を後退させた後に多数の死者が確認されているとして欧米によるロシア非難と追加制裁への動きを警戒してNY原油が上昇、為替市場ではリスク回避的にユーロ安ドル高となったが、原油高を見て豪ドルが上昇するなどまちまちの推移となった。
ドル円は4日午前序盤に122.25円へ下落したところからはややジリ高の推移となり4日夜高値で122.94円をつけ、1日夜高値123.03円には届かなかったものの122円台後半で確りした動きとなっている。
【3月28日高値からの下落幅に対する半値戻し手前につける】
3月28日に125円台に到達した後は米長期債利回りの上昇一服と高値警戒感から調整安に入ったが、3月31日深夜安値から持ち直しに入っている印象だ。
3月28日高値125.10円から3月31日深夜安値までの下げ幅は3.84円であり、その半値戻しが123.18円にある。現状は半値戻しの一歩手前に付けたところであり、123円前後が当面する戻りの壁となっているが、半値戻しをクリアしてくれば調整安を消化して上昇再開入りの印象が強まり、3分の2戻しラインの123.82円を超えれば125円台を再び試す流れへ進みやすくなると思われる。
昨年1月底を起点としたドル円の上昇は、感染拡大の波を繰り返しながら景気回復することによるサプライチェーンの停滞とインフレ、インフレ抑制へ積極的な姿勢をとる米連銀と金融緩和政策継続にこだわる日銀のスタンスの差が日米長期金利差の拡大と円売りを招いていること、原油高騰による輸入インフレが日本景気への足かせとなり経常収支悪化への懸念から悪い円安の様相となってきたことが背景だ。
円安の進行に対して、2015年6月に125.84円へ上昇した際に日銀黒田総裁がこれ以上の円安はないと発言したことで125円=黒田ラインによる円安の限界水準という認識が定着していたが、125円へ迫る中で日銀が連続指値オペを通告して長期金利上昇を抑えようとしたことで、円安容認水準が125円からさらに切り上がっている可能性も出てきているところだ。125円到達でいったん調整安に入ったところから再び125円を目指す中で、円安けん制が強まるか容認姿勢か、市場も試してゆくことになるのだろうと思われる。
【米長期債利回りは高止まり、NYダウは確り、原油反騰】
米商務省が発表した2月の米製造業受注は前月比0.5%減となり市場予想と一致したが、1月の1.5%増からの悪化で10か月振りのマイナスとなった。変動の激しい輸送関連を除くと前月比0.4%増、国防関連を除くと0.7%減だったが、市場の反応は鈍かった。
4月4日のNYダウは前日比103.61ドル高、ナスダック総合指数は271.05ポイント高と上昇した。ダウは3月31日に前日比550.46ドル安と下落した後は落ち着いており34000ドル台中盤で下支えられて2月24日以降の反騰基調を維持しているが、1月5日の史上最高値から2月9日、3月29日と戻り高値は切り下がっており、上昇が勢い付くには2月9日高値35824.28ドルを超える必要がありそうだ。ウクライナ情勢とロシア制裁に対する先行き不安については今のところ米国市場には大きな影響を与えていない。
米長期債利回りは上昇。米10年債利回りは前日比0.01%上昇の2.40%、30年債利回りは0.02%上昇の2.46%、2年債利回りは0.04%上昇の2.42%となった。
先週末に2年債と10年債の利回りが逆転する逆イールドが発生、この日も解消せずにいる。2年債利回りは30年債利回りにも迫っており、米連銀による利上げペース加速を意識した動きとなっている。
2年債利回りの上昇基調と指標の10年債利回りの高止まりはドル円には押し上げ材料となっている。
NY原油は4月4日に前日比4.01ドル高(4.04%高)と上昇した。ウクライナにてロシア軍の前線後退後に大量の死者が発見されたことで、欧米によるロシア制裁がエスカレートする可能性が資源エネルギー供給不安を再び強めている。NY原油はロシア軍のウクライナ侵攻開始から急騰して3月7日には130.50ドルまで高値を切り上げた後はやや過剰なパニック買いが落ち着いているが、100ドルを割り込んだところは買い戻されており、米国の戦略備蓄在庫大量放出決定から4月1日に97.78ドルまで下げたところから切り返しに入っており、5日午前序盤には104ドル台を回復している。
ウクライナでは春の作付けが始まったが、戦争の影響で大幅な作付け減少の見込みであり、ロシア制裁も踏まえてウクライナ及びロシアの穀物・飼料・肥料の輸出減少が世界規模の食糧需給逼迫を招きかねないという懸念を強めている。原油と天然ガスの高騰も含め、国際商品の上昇が一段とエスカレートするようだと、ドル円にとっては輸入インフレと経常収支悪化による円売りが進むことも警戒される。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては3月28日高値125.10円をサイクルトップとして下落したが、3月31日深夜安値で直近のサイクルボトムを付けて反騰入りしている。3月28日高値を基準とすればサイクルトップ形成期は3月31日から4月4日にかけての間と想定されるが、既にトップ形成期を超えているものの目立った下げが見られないため、サイクルトップ形成期の延長入りによる上昇継続の可能性がある。また4月1日夜高値を直近のサイクルトップとして高値更新から新たな強気サイクル入りとなる可能性も考えられるが、その場合は4月6日夜から8日深夜にかけての間への上昇が想定される。
4月4日午前安値122.25円を割り込む場合はいったん弱気サイクル入りとして4月5日夜から7日深夜にかけての間への下落を想定するが、その後に3月31日深夜安値以降の高値を更新するところからは新たな強気サイクル入りとして上昇が勢い付くことも考えられる。
60分足の一目均衡表では4月1日夜に先行スパンを上抜いたが、その後も先行スパンを上回る状況を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。遅行スパンが悪化するところからはいったん下げに入るとみて安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が早まることを予想するが、再び遅行スパンが好転するところからは上昇再開に入るのではないかと考える。
60分足の相対力指数は4月1日夜高値からほぼ横ばい推移のため50ポイント台中心で小動きとなっている。45ポイント以上での推移中は上向きとして60ポイント超えからは70ポイント台を目指す上昇を想定し、45ポイント割れからは30ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月4日午前安値122.25円を下値支持線、4月1日深夜高値123.03円を上値抵抗線とする。
(2)4月4日午前安値を割り込まないうちは上向きとし、1日深夜高値超えからは123円台中盤(123.30円から123.70円)を目指すとみる。123.60円以上は反落注意とするが、材料を伴って勢い付く場合は124円へ迫る可能性もあるとみる。
(3)4月4日午前安値割れからは121円台後半(121.50円から122.00円)を試すとみるがそこは押し目買いされやすいところとし、その後に122.50円を超えるところからは上昇再開とみる。
【当面の主な予定】
4/5(火)
休場、中国、香港、台湾
13:30 (豪) 豪中銀、政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
16:55 (独) 3月 サービス業PMI改定値 (速報 55.0、予想 55.0)
17:00 (欧) 3月 サービス業PMI改定値 (速報 54.8、予想 54.8)
17:30 (英) 3月 サービス業PMI改定値 (速報 61.0、予想 61.0)
21:30 (米) 2月 貿易収支 (1月 -897億ドル、予想 -885億ドル)
22:45 (米) 3月 サービス業PMI改定値 (速報 58.9、予想 58.9)
23:00 (米) 3月 ISM非製造業景況指数 (2月 56.5、予想 58.4)
23:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、ブレイナード連銀理事、討論会参加
27:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、討論会参加
4/6(水)
休場、タイ
NATO外相会議(4/7まで)
10:45 (中) 3月 財新サービス業PMI (2月 50.2、予想 49.8)
15:00 (独) 2月 製造業新規受注 前月比 (1月 1.8%、予想 -0.3%)
15:00 (独) 2月 製造業新規受注 前年同月比 (1月 7.3%、予想 5.8%)
18:00 (欧) 2月 生産者物価指数 前月比 (1月 5.2%、予想 1.2%)
18:00 (欧) 2月 生産者物価指数 前年同月比 (1月 30.6%、予想 31.7%)
19:45 (欧) レーンECB理事、講演
22:30 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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