ドル円、有事のドル買いと米金利上昇で底堅く推移。続伸リスクに要警戒
〇ドル円122円台後半での推移、米国時間に一時122.96まで反発
〇ウクライナをめぐる地政学リスク長期化懸念、株価の堅調、米金利上昇に伴うドル買いが背景
〇ユーロドル、地政学的リスクの長期化懸念と指標不冴えに一時1.0961まで急落
〇ドル円、年末特有の下落圧力こなし、再びドル高・円安トレンドに回帰か
〇ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:122.30ー123.60
海外時間のレビュー
週明け4日(月)のドル円相場は底堅い動き。@中国における新型コロナウイルス感染拡大の影響や、A原油先物価格の軟調推移、B日経平均株価の冴えない動きが重石となり、アジア時間朝方にかけて、安値122.29まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、Cロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念(ロシアがウクライナ占領地で市民を虐殺した疑いが浮上→欧米諸国による対ロ制裁強化の思惑)や、D上記Cを背景とした有事のドル買い、E株式市場の堅調推移(日経平均株価を含むアジア株の持ち直し)、F米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、米国時間にかけて、高値122.96まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと(先週末金曜に記録した高値123.04をバックに戻り売り圧力が強まると)、引けにかけて反落し、本稿執筆時点(日本時間4/2午前4時45分現在)では、122.79前後で推移しております。
週明け4日(月)のユーロドル相場は大幅下落。アジア時間朝方にかけて、高値1.1055まで上値を伸ばすも、買い一巡後に伸び悩むと、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念(ロシアがウクライナ占領地で市民を虐殺した疑いが浮上→欧米諸国による対ロ制裁強化の思惑)や、A上記@を背景とした欧州経済の先行き不透明感、B欧米金融政策の方向性の違い(ロシア・ウクライナ問題長期化でECBは年内利上げに踏み切れないとの見方が再燃)、Cユーロ圏4月投資家信頼感指数(結果▲18.0、予想▲9.4)の冴えない結果が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0961まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4/2午前4時45分現在)では、1.0973前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は3/31に記録した安値121.28をボトムに反発に転じると、先週末金曜日・昨日共に、一時123円付近まで上昇しました(4/1高値123.04、4/4高値122.96)。年度末特有の下落圧力(本邦勢のレパトリ+ECBフィキシングに絡むドル売りなど)をこなしたことで、再びドル高・円安トレンドに回帰しつつあります。テクニカル的にも、強い買いシグナルを示唆する三役好転やパーフェクトオーダーが日足・週足・月足の全てで成立するなど、地合いの強さが確認されます。目先は3/28に記録した約6年7ヵ月ぶり高値125.11(2015年8月12日以来の高値圏)に向けて上昇する展開が意識されそうです。また、ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜観測(先週末金曜日に発表された米雇用統計が堅調な結果を示したことで、早期バランスシート圧縮に加えて、5月・6月・7月の3会合連続50bp利上げを織り込む動き)や、A日銀による金融緩和の長期化方針(指値オペを実施するなど金融緩和の長期化スタンスを明確化)、
B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差拡大に伴うドル高・円安)、Cロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念(有事のドル買い圧力)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。先週まで警戒されていた本邦政府・当局者による円安牽制発言についても、その効果は限定的との見方が増えつつあるため(※今回は米国がインフレに苦しんでいる状況下にあるため、2016年6月のように円安牽制とドル高牽制の組み合わせは想定しづらく、あくまで円安牽制単体に留まる公算大)、ドル円相場に対するインパクトはそれほど大きくはならないものと推察されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日はアジア時間午前中に予定されている衆院財務金融委員会での黒田総裁発言(通貨および金融の調節に関する報告書についての説明および質疑応答)や、米2月貿易収支、米3月ISM非製造業景況指数、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁発言、ブレイナードFRB理事発言、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁発言に注目が集まります。
本日の予想レンジ:122.30ー123.60
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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