ドル円、政府・当局者による円安牽制発言とロシア・ウクライナ停戦期待で急反落
〇ドル円海外時間に急反落、米国時間にかけ安値121.99に下落、その後122.93前後に持ち直す
〇利食い売り、年度末リパトリ観測、当局関係者の円安けん制、停戦期待からの資源価格下落が重石
〇ユーロドル、ロシア・ウクライナ停戦期待の高まりに米国時間に一時1.1137まで急伸
〇ドル円、1日で3.09円の急落、ただしテクニカルの地合いは強く、一時的ポジション調整か
〇ファンダメンタルズも日米金融政策の方向性の違い、本邦貿易赤字拡大懸念等が上昇要因
〇引き続き、ドル高・円安トレンドの継続を予想
〇本日の予想レンジ:122.00ー124.00
海外時間のレビュー
29日(火)のドル円相場は急反落。アジア時間朝方にかけて、高値124.31まで上値を伸ばすも、前日アジア時間に記録した約6年7ヵ月ぶり高値125.08(2015年8月12日以来)をバックに伸び悩むと、@短期間で高騰したことに伴う反動売り(利食い売り)や、A年度末に向けてのリパトリ観測、B鈴木財務相による「悪い円安にならないようしっかり注視」との円安牽制発言、C神田財務官による「為替の急激な変動は望ましくない」「最近の円安進行含め経済の影響など緊張感もって注視」との円安牽制発言、D松野官房長官による「為替市場の動向や日本経済への影響を注視」との円安牽制発言、Eロシア・ウクライナの停戦期待に端を発した資源価格の急反落(資源価格急落→世界的なインフレ懸念後退→米金利低下→米ドル売りの波及経路と、資源価格急落→本邦貿易赤字拡大懸念後退→円買いの波及経路の組み合わせ)が重石となり、米国時間にかけて、安値121.99まで急落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、引けにかけて持ち直し、本稿執筆時点(日本時間3/30午前5時00分現在)では、122.93前後で推移しております。
29日(火)のユーロドル相場は急上昇。アジア時間朝方にかけて、安値1.0970まで下げ幅を広げるも、売り一巡後に下げ渋ると、@ロシア・ウクライナを巡る停戦期待の高まり(トルコで開催された停戦協議で一定の進展あり)や、A上記@を背景としたエネルギー価格の急低下、B上記Aを背景とした欧州経済を巡る過度な悲観論の後退(エネルギー価格低下→スタグフレーション懸念後退)、CECBによる利上げ観測(欧州債利回り急上昇→ユーロ買い)、D米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、米国時間にかけて、高値1.1137まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間3/30午前5時00分現在)では、1.1085前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は前日記録した約6年7ヵ月ぶり高値(2015年8月12日以来)125.08をトップに反落に転じると、昨日は一時121.99まで急落しました(わずか1日で▲3.09円の急落劇)。背景には、急ピッチで進んだドル高・円安の反動が見られたことと、政府・当局者による相次ぐ円安牽制発言、地政学的リスク後退に伴うエネルギー価格急低下の組み合わせが挙げられます。但し、テクニカル的に見ると、日足・週足・月足の全てにおいて強い買いシグナルが点灯しているため、昨日の下落はあくまで上昇トレンドの過程で見られる一時的なポジション調整と整理できます(ドル高・円安トレンドは不変。事実、引けにかけて急速に値を戻し、日通し安値121.99から約1円の値幅で反発するなど下値も堅い)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜観測や、A日銀による金融緩和の長期化観測、B上記@Aを背景とした日米金融政策格差、C本邦貿易赤字の拡大懸念など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続を予想いたします(本日はロシア・ウクライナ情勢を巡るヘッドラインや、それに伴うエネルギー価格の動向、政府・当局者による円安牽制発言、海外時間に予定されている米3月ADP雇用統計、米10ー12月期GDP確報値、リッチモンド連銀バーキン総裁発言、それに伴う米長期金利の動向に注目。またアジア時間帯は5・10日公表相場のドル不足に要警戒。引き続きボラティリティの高い相場展開が見込まれることから、ドル円相場の予想レンジは2円の値幅で設定継続)。
本日の予想レンジ:122.00ー124.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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